心が死ぬ前に(続編1)
なぜ彼女は俺に何も告げずに何処かに行ってしまったのか?
そしてなぜ彼女は濡れた一通の手紙を残したのか?
俺の中で謎が有りすぎて心の中をすべて謎という一文字で埋め尽くしてしまいそうだ。
俺はまた封筒から手紙を取り出して読んだ・・・。
『貴方に会えてよかったよ。すっごい楽しかった。・・・景子』
この言葉はまるでもう一生会えない男に対して言う言葉ではないだろうか。
ということはもう一生俺は彼女に会えない?
その事は俺の心を一層追いつめた。
「なあ?健斗お前がもしも俺だったらどうする?こんなことってありかよ」
難しそうな顔をして健斗は考えている。そして少しの沈黙が続いた後、重たい口を開いた。
「俺だったらか・・・。もしもその・・・・大切な人がいきなり自分の前から何も言わずに消えたらまず怒るかな。なんで俺に何も相談してくれなかったんだよっていう事は絶対思う。そして本当に大切な人なら例え宇宙に居ようと何処に居ようと探して見せる」
健斗は真面目な顔で語った。俺は本当に良い親友を持ったと思う。いつもはふざけていて、こいつバカじゃねえの?とか思ってしまうけど真剣な時は本当に優しいし頼りになる。
「そっか、お前に相談して良かった。いっそお前と付き合うかな」
もちろん冗談で言ったんだが健斗は思いっきり肩と腹を殴ってきた。
あっっっっ痛っっったたtったt。
軽く青痰ができるぐらいまで殴って健斗は家を出て行った。
最期に家を出る時に何かを言っていた。何を言ってるかは良く聞き取れなかったがきっと奴の事だから俺は慰める言葉を言っていたに違いない。
健斗が家を出た後、無性に寂寥の念に押しつぶされる。いつも学校帰り俺の家によって隣でどうでも良い会話をしたり、怖い怖い言いながらもバイオをやったりした。毎回泣きながら抱きついてきてたっけか・・・。
家に居るとどうしても景子の事を考えてしまう。気晴らしに外に行くことにした。
外の世界は廻っている。景子無しで廻っている。俺は両手を見る。血が流れている。指が動く、俺は生きている。
涙が滝のように流れてくる。
学生たちが帰る姿が見えた。
「あれ?ああマジウケたよね~~?あの禿の教師まじキメ~~教師辞めて死ねって感じだよね」
「うんうん。ほんとほんとあの家庭科の教師もキモくね?消えろっていう~~~」
スカートを物が見える限界まで上げて何かをほざいている。死ねだの消えろだの人が居なくなって初めて気づくなんとかだな。本気で人を殴りたくなった。
心が死ぬ前に(続編1)