星結び

Starry☆Skyの二次創作です。星空文庫開設記念のお話。

何度この時間を過ごしてきたんだろう。

でもお前は知らないだろうけど、俺はこの時間が結構好きなんだよ。

最初の頃はよく公園に行ったよな。

あの頃は家でのお手伝いの延長、ままごとに過ぎなかったけど

お前と哉太が喜んでくれるのが本当に嬉しくて。

まぁ、そのおかげで俺は今「おかん」とか言われてるんだけど。

俺自身は自覚ないんだけど、世話焼きって呼ばれるのも定着してきた頃、

ふと思ったんだ。

なんで俺はお前の世話を焼いてるんだろうって。

決して嫌になったわけじゃないんだ。

ただ、昔の“喜んでくれるのが嬉しい”だけじゃ片付かないような気がしてならなかった。

そんな時、いつもの天体観測で哉太が言ったんだ。

「並んだ星はくっつくことはねぇのかな」って。

きっと何気ない言葉だったと思う。

その時の知識で考えてみたけど、

哉太のおじさんに星を教えてもらって興味を持って、そのうち3人で待ち合わせて観に行くようになって。

ランドセルから制服に変わったけど、星の位置は変わらないままだ。

それにたぶん、くっつくってことはぶつかるってことじゃないか?

近くにいるのにくっつかなくて

くっついたとしてもそれはお互いを壊してしまう。

俯いて思わず苦笑してしまったのを覚えているよ。

そして、今にして思えば、その時が自覚ってやつだったのかな。

それから哉太と羊と4人で自分の星座を決めたりして…

「錫也ー、お待たせ。ごめんね?遅れちゃって。」

「いいよ、生徒会で忙しかったんだろ?

それにお前を待ってる間、星眺めてたから。

それよりほら、寒かっただろ?紅茶、持ってきたんだ。」

「ありがとう。錫也の淹れる紅茶、天体観測の必需品だもんね!」

「じゃあ、哉太も羊も待ってるだろうから行こっか」

いつもよりゆっくり歩き出す。

すっと手が温かい感触に包まれる。

突然のことに顔が火照るのがわかって、思わず固まってしまう。

「錫也の手、冷たいね。ごめんね、こんなに冷たくなるまで待たせちゃって。」

「…いいって、俺がお前を待つのが」

いいかけた言葉を喉の奥に押し込む。

好きなんだから。

「?」

きっとお前は鈍感だから、

俺がこの言葉を飲み込んだわけに気付かないんだろ?

それでもいいよ。

ずっと隣でお前を見てきたんだ。

それに、今なら思えるよ。

並んでるからこそ、星は星に出会えたんだって。

いつかこの手の温もりが俺だけのものになりますようにと

光の中で願ったんだ。

星結び

星空文庫での初めての新しいお話、いかがだったでしょうか?

開設を決めた時に何か新しいお話を書きたいな、と思いまして。

でも、開設を決めたのが3日前ぐらいの直前だったので、

オリジナルを書くにも設定とか決められそうにないし、

しばらく書いていない黒執事を新しいところで書くのもなと思ったんです。

それで考えた“星空”文庫ということで、スタスカかと(笑)

そしてスタスカならば一番好きな錫也かと。

後で気付いたら黒執事から小野Dボイスで繋がってますしね(笑)

でも、錫也難しかったです、しばらくお話書いてなかったのもあるかもしれませんが。

錫也風味、ということで楽しんでもらえたら嬉しいな、と。

タイトルは星と星を結んで星座になる、ということで星結びにしました。

最初は私、語彙力がないので造語のつもりで星結びとしてたんですが、

ちゃんと言葉としてあるようですし、

調べてみたら裁縫の用語でも星結びってあるらしくて、錫也にピッタリだなと思って、これにしました。

そして、今回は“星空”文庫ってことで、テーマソングは自由くんの『星空WEEKEND』です。

とても素敵な曲なので、ぜひ一度聴いてみてください♪


それでは駄文、失礼しました。

星結び

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-01-02

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