消したい恋物語。

消して、消して、未来を描く。そんなお話。

、、、にするつもりですが!!まったくをもっての作りかけです!というか、プロローグくらいしか書いてません!

しかし、じわりじわりと書いていきたいのでよろしくお願いします!

あの日の話。

今でも覚えてる。
あの日は得に酷い一日だった。
全てが嫌になって空を飛んだ。
生まれて初めてとも言える解放感。きっと最初で最後の解放だと思ってた。
だって、このまま落ちれば先にあるのは死と言う名前の「無」だ。そのことをしっかりと理解しながら落ちた。

ただ、ゆっくりと落ちた。
「無」に出会えるのを少し楽しく思いながらも、 自分を今まで苦しめた人を社会を世界を呪いながら落ちた。
地面が近づいてくる。
「あぁ、やっと消えられる、、、。」
そう思った私の頭の中に響いたのは、私の頭が飛び散る音でもなければ、骨が砕ける音でもなかった。

一人の男の声だった。

「君はまだ、消えちゃいけない。泣きながら死ぬなんて勿体ないよ。君は笑うと可愛いんだから、笑いながら死になよ。」

「笑いながらなんて、死ねるわけないよ、、!」
咄嗟に出た私の声はとても震えてた。
「それは、君が満足してないからだよ?満足いくまでこの世界を楽しめばいい。君に魔法をあげよう。この魔法で世界を楽しんでおいで。死ぬのは、それからでも遅くないからさ。」
「魔法って何?あなたは、、、」
そんな私の声を無視して視界が白くなっていく。

最後に男の微かな声が聞こえた

「君の死は消したよ。」

、、、、、、、、私は飛び降りたはずの屋上に、垂直に立っていた。
そう、まるで地球に初めて降り立った宇宙人のように。

ただいまの話。

死のうとしていたことなんてすっかり忘れていた。

何が起きたのかと、ひたすら自分と対話していた。
私はいつも通りの道を通ってのんびりと帰った。ゆっくり、振り返るように歩いた。学校でのことや、さっきの不可思議な話のことを。
「私は飛び降りた。間違いないよ、、、。なのになんで。」
私は何も分からない。でも一つ確かに言えることは、
「私は生きてる。」
ほっぺを摘まんでも、耳をおもいっきり引っ張っても痛みはある。そのことがなによりもの生きている証だ。

感情なんて持ってない、空気も読めない信号機が私の邪魔をする。信号機に時間を奪われながら少し昔を思い出す。あの日を境に私の人生は変わった。あの事件さえなければ私はどこにでもいる可愛いものが大好きな女の子でいられたんだろうな、、。

ふと横を見ると私と同じように信号機が色を変えるのを待ってる人々がいた。スーツに身を包んだおじさんもいるし買い物袋を自転車のカゴにのせたおばさんもいる。そのなかに、楽しそうに話すカップルが見えた。
私は彼らを見て恨めしく、羨ましく思う。
「私を守ってくれる彼氏とかいたらな、、。私の人生は楽しくなるのかな。」
まだ、話してる、、。
「彼氏欲しいな~、、、。」
呟いたって彼氏が出来るわけない。

、、、、、、、、「はぁっ」

溜め息に息を合わしたように信号が色を青に変えた。自転車に乗り横に並んだカップルを白い目で見送りながら私もゆっくりと歩き出す。

『君の死は消したよ。』

彼の最後の言葉が妙に頭の中で輪唱され響く。
「あの人は誰なんだろ、、、、。」
呟いても何も変わらない。世界は分からないことだらけだ。
気付くと家の玄関先まで帰っていた。
扉の前に立ち頭の中を整理した。私にとってこの扉は大きな意味を持っている。
きっと他の奴らには理解出来ないし、されたくもない。

この扉の先は別の世界だ!
ほんとの私に帰れる時間だ!

中学のある事件を境にイジめられるようになってから私は2つの人格を持っていた。

家では今まで通り明るく元気な私。

学校では、ほとんど喋らず地味で暗くて、、な私。

家族には話してなんかいない。話したらきっと心配するだろうしうちの親は俗にいう親バカだから、、。

そんな私にとって、この玄関は暗い私と明るい私の境界線なんだ。
暗い私を消して明るい私に帰れる!

だから、私は色んな気持ちを込めて大きな声でこう言うんだ!
それはとてもとても大きな声で!

「ただいま!」

私は私に帰ってきたよ、と。

おかえりの話

トタタタタタタタタタッ
いつもの家にいつもの音が聞こえてきた。
この音を聞いたとき凄く安心する。私の居場所だって感じがするんだ。

「お姉ちゃんっ、おかえりっ!」

私の可愛い天使が迎えてくれるこの瞬間が大好きなんだ。天使とは可愛い可愛い、それはとてもとても可愛い私の愛すべき弟だ。
弟のユウキは私の事が大好きだ。
それ以上に私が弟のことを溺愛してるのだが。

小学3年生のユウキは今、サッカー部に入っている。とても元気で明るく活発な奴だ。
以前、好きなものは何?と聞くと満面の笑み、いや天使の微笑みでこう答えた。
「お姉ちゃんと車!!」
車と並んだのは複雑な気持ちだけど、もう天使だよ、、、。
そんな弟の趣味はレースゲームだ。
一緒に晩御飯を食べたあとに一緒にゲームをやるのが日課だ。
ちなみに、私は弟に勝てたことは一度もないのだけど、、。
けど私にレースゲームに勝ってガッツポーズで喜んでいる弟をうっとりと眺めて癒される。だから、私は弟に負けることが大好きになった。

「早くゲームやろうよ~~。」
私がぼんやりとしながら靴を脱いでいると時間が惜しいかのように急かしてくる。
あぁ、この表情。誰にも見せたくない、私だけの宝物だ、、!
でも、、こんな可愛い弟にもいつか、、彼女が、、

「大丈夫、誰にもあげない、、!」
ユウキの肩をガッと掴み目を真っ直ぐに見ながら言う。

「、、?お姉ちゃん?」
ユウキの変な物を見るような視線で我に帰り落ち着いてみる。
「、、ん。何でもないよ!さ、早く食べてゲームしよーね!」
「うんっ!!」

、、、、可愛いよ。



うちのリビングは奥の方にある。その途中に私の部屋や弟の部屋がある。
「ユウキー、先行って待ってて、すぐいくからー。」
「早くきてよー」
分かってるよ、一秒でも早く行くから。

ドアノブをひねり部屋に入る。部屋中に綺麗に並べられたぬいぐるみ達が私を出迎えてくれる。
電気をつけるとぬいぐるみ達が喜んで目をらんらんと輝かせる。一気に部屋の空気が温かくなっていく。
並んだぬいぐるみ達に
「ただいま~~、ただいま~~。」
いつもの挨拶をしていく。そして真っ直ぐに彼のもとに歩いてく。
私が毎日使ってるクリーム色のシングルベットの上に寝そべって私の帰りを待っていた彼のもとへと。
「ただいまーーーっっっ!」

ギュウウウウッッッ
全身全力全霊で抱き締める。彼もそれに答えるように私を圧迫してくる。たっぷり詰まった綿を使って。

彼つまり、ジョン。ジョンである。
「ただいまっ、ジョン!!!」
黒く無機質な大きな目で私を見つめてくれる。
ジョンとは等身大の犬のぬいぐるみである。
ジョンは私が小学生の頃に両親から誕生日プレゼントにもらった。


私の両親は共働きで父は海外に出張ばかり、母は夜遅くに帰宅で寂しいとずっと思っていた。あの頃は私を一人ぼっちにした親を恨みもしたけど今なら少しは親の気持ちもわかるようになった。
その頃から私と同じ時間を過ごしてきた大切な大切な家族だ。


ジョンは大きな黒光りする目で私の心を和ませてくれる。そんなジョンに優しくキスをする。
ジョンをベットの上に寝かしながら
「ユウキとご飯食べてくるから待っててね。」
そう言いベットの側を離れた所で今日の午後自分が飛び降りたことを思い出した。ドアの前にに立って部屋を見回す。不思議な何とも言えない感情が込み上げてくる。
「もし死んでたら帰ってこれなかったんだ、、、」
その事実が胸に突き刺さる。あの時は少しでも早く死にたかった。でも今は死ななかったことに感謝している。
あの男を思い出す。
「顔も声もはっきりしてないや、、。しかも魔法って何なんだろ?今生きてることが魔法なの、、かな?」

よく考えてみれば、ほんとに可笑しくて突飛な話だ。飛び降りたのに、怪我ひとつせず元気なままの体。はっきり言って不気味なことでもある。
「魔法っていってたよね、、。手から炎とか出たりして、、」
漫画とかで読んだように手を広げ胸の前につき出してみる。

「、、そりゃっ!!」
、、、、、、、、、、、、。

まぁ、当然の結果だと思う。回りから当てられる冷たい視線に妙に恥ずかしくなってくる。慌てて手を下に下げカッターシャツの袖で汗をふく。

「ねー、まだーー?」
いつから見ていたのか分からない。真っ直ぐな視線を放つ二つの玉と視線がぶつかる。
開いた扉の隙間からひょっこりと顔を出した天使に催促される。
部屋の電気を消して、ぬいぐるみにしばしのお別れをし部屋を出る。ドアを閉めようとしたときに、ぬいぐるみ達の光の消えた目が少し寂しく、また冷たくも見えた。

消したい恋物語。

迷走しそうな気配がある、、感じですが、ご感想を頂けるとうれしいです!

消したい恋物語。

何でも消せる、そんな女の子のSFな青春の話です。 少し残酷なお話な気もします(笑)

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-08-01

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  1. あの日の話。
  2. ただいまの話。
  3. おかえりの話