輝く夏の物語

N2

輝く夏の物語

暗い。

怖い。

鼻を突くようなにおいがする。今どこに居るのだろう。

さっきまで、河原に居た事は覚えている。そのときに体の両側をつかまれた...そこで記憶は終わっていた。足がすくむ。その感覚さえも曖昧だった。

そのとき、天井が音を立ててはがれた。もう足が地に着いている感覚さえなかった。
頭の中を過去の記憶が嵐のように過ぎ去っていく。今生の終わりに走馬灯が見えるのは本当らしい。

無数の結晶が頭上から降ってきた。僕は現実を受け入れられなかった。
あのとき、河原には僕の仲間がたくさん居た。しかしそのときには既に僕の体はもう動かなかった。

なんで僕だけが…

僕の体の両側はまたつかまれた。気づけば、僕の体は投げ出されていた。
たどり着いた先は、真っ白な部屋だった。

目の前に居た者は、同類と思えないほどの美しさだった。もはや、透明と言い表す方がふさわしいかもしれない。
届かないなんて分かっていた。でもそのとき、僕は彼女を守ると誓った。
すると、迷ってるとも、落ち着いてるともどちらともつかない表情-さっきと変わらない表情でこちらを見ていた。もしかしたら、こちらを見ていなかったのかもしれない。それほど彼女は僕に取って眩しく、透明だった。


瞬間、彼女の体は尖った金属柱に突かれて、砕け散った。僕の目の前で消えてしまった。その体の一部は泡立つ液体の中に入れられ少しずつ融けていった。そしてまた別の一部は回転する刃で粉々に引き裂かれた。

僕は無力だった。つけもの石にできる事なんて何もなかったんだ。

登場人物紹介
つけもの石(河原の石)
塩(無数の結晶)
冷凍庫(真っ白な部屋)
氷(彼女)
アイスピック(尖った金属柱)
ジュース(泡立つ液体)
かき氷機(回転する刃)

輝く夏の物語

輝く夏の物語

夏の、眩しい、物語。完全にふざけてますねごめんなさいほんとすみませんでした。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
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