スカイブルーに魅せられて 1
登場人物紹介
主人公―水野 涼(みずのりょう)
・全寮制男子校、星城学園高等部2年E組
・学園の中の一匹狼の不良。
・寮のシェアメイトは、D組の流誠。
・津祐とは小学生の時、違う姓のときに会っていた。
―寒沢 津祐(かんざわ つゆう)
・涼と同じく星城高校高等部2年C組
・学園の中では皆の妹的存在で、屈託のない笑顔と、誰にでも優しく接する姿が人気。
・性格は天然でおっとり。親切だが少しドジっ子。
・生まれつき体が弱い。瞳は海より綺麗なスカイブルー。
―滝 流誠(たき りゅうせい)
・2年D組生徒
・涼のシェアメイトで、津祐とは仲良し。
・人懐っこい性格。誰かの隣にいないと落ち着かない。
・家庭の事情で病んでいたが、今は芸能界を目指して頑張っている。
―浦賀 悠波(うらが ゆうは)
・2年D組生徒
・津祐の親友で、中学からの付き合いがある。
・常に元気で落ちつかない、クラスの人気者。
・弟の絢波に振り回されて気苦労が絶えない。
登場人物紹介2
―寒沢 氷河(かんざわ ひょうが)
・3年B組で、皆の憧れ生徒会長
・津祐とは直接の繋がりを持たない兄弟
・容姿端麗、成績優秀で親衛隊などもいる。
・津祐のことを一番に思っており、少々過保護なところがある。
―渦海 爽(うずみ そう)
・2年C組生徒
・津祐のシェアメイトで、無愛想だが時折優しい
・料理など、家事全般が得意で津祐の生活をサポートしている。
・流誠とは昔からの幼馴染でたまに一緒にいることが多い
ある朝のこと
青は好きだ。
晴れた日の雲ひとつない空や、真夏の太陽の下に広がる海や、おとぎ話に出てきた小鳥。
ただ、それ以上に俺は好きな青は
…アイツの真っすぐな瞳。
―――…
「涼ー!聞いたか?」
「はぁ?朝から何だようるせぇな…。」
男子校、星城高校の朝はやけに騒がしく、いつもとどこか空気が違っていた。
教室の隅で雑誌を呼んでいたのは、学園一の不良 水野 涼だった。
グループの中の情報屋に声をかけられた涼は気だるげに返事をした。
「そうそう、今日俺らの学年に転校生が来るんだよ!!」
「はぁ?転校生?どっから?」
「さぁ…?都内からだろうけど、なんでも生徒会長の義兄弟だとか…」
「ふーん……いけたら写真と情報送れ。」
「了解っす!」
窓に映る今日の空は、快晴の青空。風は良好。
魅せられた
その転校生は、すぐに学園中の話題となった。
放課後には、涼の元へその転校生の写真と簡単な情報が携帯に送られた。
グループの情報屋の部屋に集まった皆は、その写真を見て言葉を失った。
「……っ、なんだよコイツ…。」
「「「めttttっちゃ可愛いじゃん!!!!!!!」」」
女子のように小柄で華奢な体、ミルクティーのように色素の薄い茶髪、
触れれば柔らかくとろけそうな色白の肌、
それと、海のように綺麗なスカイブルーの瞳。
「何この子めっちゃ可愛い!!」
「少なくとも俺が付き合った女ぶっちぎってるわ!!」
「やっべぇ…目青いとかまじハーフみてぇ!」
「お前らうっせぇなちったぁ静かに見れねェのかよ!」
涼はそんな周りの友人を気にせずに写真の彼に視線を送っていた。
「涼…どう?気に言ったか?なーんて…」
「俺…こいつに心当たりがある気がする。」
小さな噂
「名前までは聞き出せなかったが、名字は寒沢。クラスはC組で、身長166センチ。
生徒会長 寒沢氷河の義兄弟で、血液型O型…っと、まぁそんなくらいかな。」
「…違うクラスか…。」
「どこかで会ったことあるの?」
「さぁ、そこまでは記憶にないけど…似たような奴を昔見た」
そう言うと涼は静かに自分の部屋へと戻っていった。
「今日の涼、なんかおかしくね?」
「ちょっとそっとしておこうよ。…これから面白くなりそーじゃん?」
「……まぁ、男子校だしなw」
「それ関係あるー?www」
―――…
「津祐くん!次移動教室一緒に行こう!!」
「おい待てよ抜け駆けすんな!!」
「…何やってんだよお前ら、怯えてんだろうが……」
「え…」
「あっ…。」
「………ゆ、悠波…?」
大きな出会い
「悠波…悠波だよね……?」
「久しぶりだな、つゆ。」
クラスの男子に囲まれていた津祐に声をかけたのは、D組の生徒 浦賀悠波だった。
「悠波!久しぶりだね!!」
「つゆー!小学校の時以来だな!!」
「……えっ、どういうことだ…?」
周りの男子が戸惑う中、津祐は楽しそうに悠波と歩いて行った。
津祐と悠波は小学生の時からの付き合いがあり、1度離れ離れになってしまったが
また戻ってきたのだ。
悠波が「つゆ」と呼ぶのは、その時からだった。
「それにしてもこんな中途半端な時期にここに来るなんて、何かあったのか?」
「うん…実は、お兄ちゃんのところに養子に入ることになって…。」
話の続きは、放課後寮にかえって聞くことになった。
悠波の隣を歩く津祐の襟足がふわふわとはねた。
ヒトミのヒミツ
「…で、何で氷河さんのところに…?」
寮に戻った2人は、先ほどの話題をあげた。
俯きながらも、津祐はひとつひとつ話し始めた。
津祐の瞳は綺麗な青色だ。津祐の両親も、兄弟も、皆綺麗な青い瞳。
その瞳の色は世界中で最も素晴らしい青とされており、国で大切に守られてきた。
しかし……
それが長く続くはずもなく、津祐の家族は瞳を他国家から狙われてきた。
耐えられずに自害する母の姿も…。
もうこれ以上そんな悲惨な出来事をこの美しい目に焼き付けないためにも、
残った兄弟は津祐を遠い親戚にあたる寒沢家へとやったのだ。
「だからね、ここだったら安心だろうって、お兄ちゃんと同じここに来たんだ。」
「そうか……俺がつゆと知り合ってその先そんなに辛いことが…」
「でも、ここの人たちはみーんな優しいし、それに悠波もいるし!」
「……だな。」
その瞳に映った悲惨な過去を、超えるほどの幸せを求めて。
少し賑やかな夜
「つゆ!もう帰っていたのか…?」
「あっ、爽!!おかえりぃ」
部屋のドアを開けて入ってきたのは、津祐のシェアメイトであるC組生徒
渦海 爽だった。
星城高校の寮は2人1組で1部屋のシステムになっていて、1年ごとに部屋替えがあるのだ。
偶然にも津祐と爽が同じ部屋になった。
「んだよ、つゆのシェアメイト渦海かよ。」
「俺で悪いか?」
「べっつにー…」
どうやら爽と悠波はあまり仲が良くないようだ。
「つゆ、晩ご飯の準備をするからテーブルを片づけてくれ。」
「はぁいー」
「浦賀、お前も食べていくか?今日は流誠も呼ぶつもりなんだが。」
「…わーったよ!ったく、飯だけは人より美味いからムカつくんだよな…」
文句を言いながらも悠波は椅子に腰かけた。
人懐こい友人
「爽ー!入ってもいい?」
「おっ、流誠がきたみたいだな。」
「流…誠?」
「流誠は俺の友人だ。少し騒がしいかもしれないが、転校初日だから楽しいと思うぞ。」
鍵を開けていたみたいだ。流誠が鼻歌を歌いながら入ってきた。
「しっつれーい♪あっ、なーんだ悠君もいるじゃん!!」
「仕方なくなwこいつの飯腹立つくらいうまいからな」
「ねぇ爽、この人が…」
「そうだよっ!!俺が流誠だよ!!」
身を乗り出してきたのは、悠波と同じD組の滝流誠だ。
津祐に負けないくらいのくりくりの瞳で津祐を見つめた。
「つゆちゃんでしょ!?もう学校中噂になってるよ!可愛いね!!これからよろしく!
あ、ちなみに俺、芸能界目指してまーす♪」
ウインクしながら流誠は津祐に抱きついた。
「流誠…だね、よろしく。」
楽しい夕食
爽の料理は舌がとろけるほどに美味しく、プロ顔負けの実力だ。
「ねっ!美味しいでしょ?!」
流誠が聞くと津祐は青い目を輝かせながら大きく頷いた。
「俺、将来は栄養士になろうと思うんだ。たくさんの料理を作ったりもしてみたい。」
「爽なら、絶対になれると思うよ!」
「…だといいな。」
爽は小さくこたえ、かすかに笑顔を作った。
「爽に言ったら好きな食べ物もすっごい美味しく作ってくれるよ!!」
「マジか…すげぇなお前」
「つゆちゃんの好きな食べ物は?なーんでもいいんだよ!」
「えっ…?じゃあ……桃の、タルト…」
「桃のタルトか…休日にでも材料を買って一緒に作ろうか。」
「やったぁ!!」
((つゆ可愛い…/////))
スカイブルーに魅せられて 1
読んで下さりありがとうございました!!
まだまだ物語は続きますのでゆっくり気長に読んでみてください。
キャラクターのイメージイラストなどは、Twitterに掲載する予定です。
ではでは、Part2投稿まで、お待ちくださいませ!