書き捨てショートストーリー第一番 (宣伝用作品)
題名は続きますが、本文はそれぞれ、別作品になります。
尚、星空文庫さんでは、連番での掲載にはなりませんので、ご了承ください。
KDP(Amazon電子書籍)、『花を咲かせるための肥やし』小説集に収録
小説家になろう『書き捨てショートストーリー第一番』
プリズム『書き捨てショートストーリー第一番』
Kindle 「花を咲かせるための肥やし」小説集に収録
――体が重い。昨日も一昨日も、筋肉を酷使した。と言う訳でもないのに、節々が錆び付いたようになっていた。
(天井の明かりが眩しい)
背に張りついたベッドにも、そろそろ飽きていた俺は、無造作な寝返りを打つ。すると、二つの瞳と、俺の視線はぶつかった。
(今日もいたのか)気だるい感じに思った。
じっと見つめてくるのは、三十代も半ばの女である。もう随分と長い時間を、俺と女は、小さなマンションの一室で、ともに暮らす。女の瞳は、俺に慣れきっていて、興味と言うものは、とっくに失われていた。(倦怠期と言うやつ)だが、俺の方も、ポンコツのように見つめ返しているので、『あいこ』ではあった。
「今日で、最後にしましょ」女は、意を決したように言った。
――驚きはない。どこかで予感はしていた。
出会った頃は、昼も夜も、飽きもせず愛されていた。と微苦笑を浮かべて思い出す。
彼女の名前は浦戸 鈴。中堅の不動産会社に勤める独身OLだ。顔はまあ、派手さのない、中の下と言ったところだが、肉付きのいい体は、結構気に入っていた。
女とは、俺にとっては物だ。
(最初は、どんなに嫌がる女でも、一度突っ込んでやれば、たちまち媚を売ってくる)
自分で言うのも何だが、俺は、女の体を知り尽くしている。どこに振動を与えれば喜ぶか、優しくして欲しいのか。獣のするように力で組み敷いて欲しいのか。手にとるように分かってしまう。
(さて、今日の鈴は、どんな風にしてほしいのか)そんなことを思っているうちに、鈴は、俺の方に寄ってきた。
ゆっくりと起き上がり。タンクトップを脱がせてやると、二つの瞳はさっそく潤んでいた。
(どうやら今日は、優しくされたいらしい)
「しゃぶれ」
命じると、膝を付いた鈴は、ジッパーをスライドさせ、飛び出た肉棒に片手をあてがった。包んで貪る口内を感じながら、動き出したショートカットを柔らかに撫でてやる。いつもなら、首から上の自由を奪って、肉棒を飲み込ませるのだが、今日は優しくしてほしい。と女が願っていた。物とは言え、長年の使用で愛着はある。
(俺も丸くなったものだ)自嘲気味に思う。
すると、上目遣いの鈴が、肉棒を横にして言った。
「――入れて、入れてください」
(嫌に早い)と俺は驚く。
「愛撫はいいのか」と思わず尋ねてしまった。
「そんなのいい。早く入れてほしいの」
(何を急いでいる――。もしかして、急ぎの用事が、このあとに控えているのか)
自分勝手に理解をした俺は、鈴にスカートを履かせるまま、黒と白の縞模様のパンツをずらせた。
見慣れた秘部が晒され、俺の肉棒は、狙いを定めることもなく、侵入を果たす。鈴の体は、隅から隅まで征服しているのだ。
恥ずかしげもなく股を開く雌には、激しいのを、お見舞いすることにする。俺の腰は、叩きつけるように往復した。
鈴の息が、半開きの唇から漏れ始める。
――経験上。唇の緩い女は、だいたいが尻軽だ。俺からすれば、男のモノを銜えたいと、いつも準備をしているかのようだ。
閉じられたままの、鈴の目蓋を見つめる。(どうやら、このままで問題はなさそうだ)ひくひくと震える眉間に判断をした。
豊満な乳房の揺れを止めた俺の掌は、硬くなっている突起を一点に感じながら、柔らかい圧力を加え始めた。
――どうやら鈴は、喜びを増したようだ。
(「今日で、最後にしましょ」なんて言ったくせに、未練がましく、体は反応している)鈴のことを俺は、小馬鹿に思う。
媚びた声が漏れ出した。
そう言えば、最初の頃は、声を押し殺し、恥じらっていた。(随分と大胆になったものだ)寂しい気持ちが、少しだけ俺の中を過った。
「濡れ具合は、良好のようだ。相変わらずエロい穴ポコだな」
わざと言った俺の言葉に、鈴は、いつものように顎の先を横に震わせた。――追い打ちをかける。
「お前は、俺に突かれていないと、だめな女だよ」
強者の声色を、鈴の顔に吹きかけた。すると、鈴の瞳が、俺の顔をじっと映し返してくる。口元を歪ませながら――。
無性に腹が立った。
「この淫乱が」
言葉よりも激しい感情が、俺の中に溢れ出してくる。
(――糞が、憐れむような目をしやがって)
自然と力の入った腰が、支配を強めようと加速していく。鈴の瞳は、目蓋によって、もう一度遮られ、鳴き声は音量を増していった。
(やっぱりじゃないか)
自分の瞳の中が、勝利の喜びに満たされたように感じた。反応を楽しく想いながら、鈴の体が小刻みに震えたのを確認する。と同時に、俺の方も、入れられていた力が、徐々に奪われていった。まるで、鈴の中に、吸い取られたかのように。
鈴の上から体をどけると、俺の首筋に、いつもの指先が伸びた。
(完全オーダーメイドの執事タイプ、やっぱいいなあ。顔も性格も自分好みにできるし)
心の中で呟く鈴の目の前には、実物大の立体映像が浮かんでいる。指でなぞると、くるりとしていた目元は、若干に細くなってつり上がった。
(うわー、いいなあ。でも、値段が一桁違うしなあ。やっぱ、廉価版じゃないと、手が出ないわあ)
MOTA4―2591 ちょい悪タイプ 二十代設定機種。額の部位が開き、緑色の光が、男の正体を晒していた。
『プログラムの初期化を開始します』
「ええ、始めて」
上の空の鈴が指示を出すと、人形は、動きのないままに命令を実行する。
(あの頃は思わなかったけど、疑似体液は必須よね。そんなタイプ、昔だと、オーダーメイドくらいの値段がしたけど。そう考えたら、昔よりは、随分と安くなって機能も上がったのかあ)
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と、目の前の音声付き画像は、鈴によって切り換えられている。そんな人間を、声もなく、人形の瞳は映していた。
書き捨てショートストーリー第一番 (宣伝用作品)
KDP(Amazon電子書籍)、『花を咲かせるための肥やし』小説集に収録しました。
只今(2014/10/3現在)は、『夢幻の可能性』『出師表』『花を咲かせるための肥やし』の三作となっております。興味のある方は読んでみてください。