生命が新しく更新されました 弍
少年の出逢い
決して古びたとは言い難い校舎。意味なく高い建物に太陽が近づいていく。
空は青から赤へと移り変わってゆく。
日が差し、紅くなる教室。そこに一人僕はいる。
なにをしているわけでもなく、ただ淡々と窓から外を眺めている。
窓から覗くとすぐに目に飛び込んでくるものは部活動と言う青春を謳歌している
生徒たち。
生徒たちから目を離し、目線をあげるとそこには真っ赤な光をおびた高層ビル。
これら全ては何気ない日常の一部だ。
僕は毎日こうやって外を眺めている。
別になにがものほしいわけでもない。
ただ、毎日考えるのだ。解けることのない疑問を。
またその疑問を考えようと今日も外を眺めている。
そのとき
「俊。またここか。」
ずっと探していたのだろうか。
呆れ顏でこちらへと来る。
彼は椙山裕樹。この高校に通う2年だ。
僕、高山俊とは幼馴染で同級生。
「やっと今ミーティング終わったんだ。それで帰ろうとしたらまだ
お前の靴があったから、一緒に帰ろうと思ったんだけど。」
裕樹はバスケ部に所属していて、来月大会があるそうだ。
そのミーティングだろう。
話し合いは簡単なことではないはず。なのにわざわざ探してくれた
彼に申し訳ない気持ちがする。
「わざわざごめんね。わかった。帰ろっか。」
彼に一言謝り、帰宅の支度をする。
裕樹もその言葉のあとに”おう”と返事し、教室をでる。
「お前またあれ考えてたの?」
「え?あぁ…まぁ。」
「なんで命に終わりがあるのか、ってやつだろ?」
そう。僕がずっと疑問に思ってること。それは
”生命の終結”だ。
裕樹は小さい頃からバスケをやってきた。
今では先輩を抜かすほどの力を持っている。
だか、そんな力も生命が終わると同時に終わる。
そう考えだら、生命ほなくならないほうがいいだろう。
そんな僕の考えを知ろうが知らまいが裕樹はいつもこういう。
「まぁ、死んだらわかることだろ。」
………………………
だから死んだら疑問意味ないだろ。
裕樹のこの言葉には僕の疑問を振り出しに戻す力がある。
きっと悪気もないのだろうけど。
そんなことを考えたり、言ってたりするうちに家に着く。
「お。じゃあな俊。」
「うん。ばいばい裕樹」
挨拶をして別れる。
家にいたみんなに声をかけて部屋に戻る。
(ふぅ…)
なんだか今日は眠い。少し横になろう。
ベットに横になり目を瞑る。体が浮くような感覚に襲われる。
どれくらいたっただろう。目を開けるまではおそらく1時間ほど。
そして目を開けてからは約5分ほどだろう。
この5分間はとても長い。だってまだこの状況を理解できていない。
なぜ……
なぜ……
裕樹が死んでいるのか。
「どうして…。なんで…?」
なぜこんなことになっているのか。なにもわからない。
なぜこんなに涙がでるのか。
頭が整理できていない。そんな中やつが現れた。
「その子を殺したのは神。人の命に終わりを造ったのも神。
貴方が恨むべき相手は神。もし、その子を助けたいなら、
貴方の疑問を解決したいのなら。神殺しをしなさい。」
この言葉が僕の人生を狂わせることになる。
僕の人生を新しくすることになる。
生命が新しく更新されました 弍