川の流れのそれ
川の流れとはまさに人生そのものである。
穏やかに流れれば水は濁り、激しければ危うく、分岐し、また合流し、とんでもない落下をしたかと思えば、絶えず上から水は出る。
最後は海へ還り、また山から流れる。
嗚呼なんて人生。
叶うなら細く長く穏やかに流れることを願うばかり。
濁流
栄太は知らなかった。
この学校が、いや、この町全体がある力に支配されていることを。
栄太は知らなかった。
今日入学したばかりの獅子原高校バスケットボールがたった今廃部になったことを。
栄太は知った。
すべての元凶はヤツで、そしてこうなった原因はは自分だということに。
「え、今なんて言いました?」
動揺が隠せなかった。憧れて憧れてやっと入学出来た獅子原高校。目的はバスケ部。
バスケの強豪として名高い獅子原高校は、同時に進学校としても有名だった。
中の下の成績を必死の努力で上の下まで引き上げ、百度参りまでして勝ち取った生徒の椅子。
実家からはとても通える距離ではなかったので、一人暮らしの許可を取るため親と戦いもした。
まさに満身創痍の状態で、練習だけを楽しみに迎えた入学式。
まさかそこで聞いた第一声がこんな言葉だなんて。
「バスケ部は今この瞬間廃部だ」
『生徒会』と書かれた腕章を腕につけた男が事務的に言った。
栄太は改めて聞かされたその事実に目の前が真っ暗になった。
いや、本当に目の前が暗くなったと思ったら意識を手放し、そして盛大に倒れ気絶した。
「うそだろ……」
生徒会の男は予想外の展開に舌打ちをし、そして軽々と栄太を抱き上げた。
ただ言われたとおり決定事項を伝えに来ただけなのに、何でこんな面倒に巻き込まれなければいけないのかとブツブツ文句をたれつつ、保健室までスタスタと歩いて行った。
川の流れのそれ