裏昔話
むか~しむかし、ある所におじいさんが一人で住んでいましたとさ。
そのおじいさんは生来、万夫不当の精力の持ち主。ところが天はニ物を与えず、醜悪な容姿だったのでオナゴにはまったく見向きもされないで、今日もその精力を持て余しながら山に入って行きましたとさ。
するとまあびっくり。見目麗しい、傾城の美女と言っても過言ではない妙齢のオナゴが、なんとまあ、一糸纏わぬ姿で股を開いて待っているではないですか。
かくなるうえは是非もなし。溜りに溜まっていたじいさんは、示現流の初太刀に匹敵するような勢いで突進しましたとさ。ちぇすと! そして一瞬のうちに成し遂げて、ふと我に帰ったじいさんびっくり仰天。なにしろオナゴだと思ったのは桃の木だったのですから。
すっかりしょげかえったじいさん、ふらふらと山を降りて行きましたとさ。
その桃の木には大きい大きい実がなって、その実が川に落ちて流れて拾われて、そこから子供が生まれるなんてのはまた別の話。
そしてじいさん、今度は竹林に入って行きました。するとまあびっくり、またもや美女がおりまして……。
裏昔話