コーンマン
晩飯のおかずがどうも味気なくて、なんとなく戸棚を開けてみて、そこにコーンの缶詰を発見した私は思わず相好を崩した。我が垂涎の食べ物であるバターコーンを作って食べようと、視床下部からの命令で前頭葉も大賛成、脳内にドーパミンが溢れかえる。ふふふ~んと鼻歌混じりに調理を完遂してさあ食べよう。大きいスプーンに載せて口に運ぼうとすると、手元から声が聞こえてきた。
「やあ、君はまことにもってコーンが大好物なんだね! コーンマン恐悦至極っす」
突然の声に狼狽しつつ手元を見ると、スプーンに乗ったコーンが私を見上げて喋っていた。そいつには短い手足があって、妙にかしこまっている。呆然として口を開けたままの私にそいつはなおも喋りかけてきた。
「さあ、冷めないうちに早く食べちゃっておくれ。食べられてこそのコーンマンさ!」
その申し出に突っ込む。
「食べちゃっていいのかよ?」
「平気さ、それにすぐに再会できるもんね」
「再会?」
「いいから早く食べちゃってよ!」
押し切られたように私はコーンマンを口に入れて咀嚼する。
……ぷちっ
「ぎゃー!」
――おいおい、悲鳴あげてんじゃないかよ。
そして翌日、便意を催して便所でしゃがんでいきむ。
ぶりぶりぶり。
軽快な音を立てて排泄されていく便。ふ~とため息をついた時、便から声が聞こえた。
「ほら、早速再会できたね。コーンマン恐悦至極っす」
コーンマン