高校生との演劇WSを終えて


先日、初めて現役高校生と演劇WSをする機会をいただいた。数年前に別現場でご一緒した俳優さんの紹介。「後輩が教職に就いていて、秋の文化祭で生徒らが演劇をやることになった。それに向け彼らの士気を高め『演劇って面白いな』と感じられる体験をさせてあげてくれないか」との依頼であった。WS当日まで一週間を切った差し迫った状況でもあり、また僕自身「それはなかなか希有な経験」との興味もあって、迷いなく二つ返事で快諾をした。
しかしながら何の因果か。単なる偶然とは信じ難い運命的な事柄が続いた。
第一に、その高校が私の母校であったこと。特段示し合わせる訳もなく、たまたま依頼されたのがかつて青春三年間を謳歌した高校。どうやら私の卒業後、入れ違いに赴任されたのが、かの後輩教師殿であったようなのである。第二には高二・高三と大変世話になった恩師が先の5月末ごろ、病で亡くなられたばかりで、その際は通夜へ赴き、久しく顔を合わせなんだ旧友や諸先生方とともに別れを惜しみながら、懐かしの高校生活へ想いを馳せたばかりであった。未だ職員室には師の机が置かれ生前の荷物もそのままに、夏休みには奥様が片付けに来られるような、そんな状況での今回の御縁である。さらにはよくよく打ち合わせるのち、文化祭での演目すら私が一度挑戦済みな作品と判明。もはやこれ程の偶然、これ程の適役が他にあろうものかと三人で大いに盛り上がった。
そんなこんなで十分な準備時間は無いまでも、胸躍らせつつWS当日を迎え、私は一人感慨に浸りながら数年ぶりの校舎へと足を踏み入れた。変わらない景色。薄らいでいた記憶が段々と甦るのを感じた。かつての面影と重なる生徒らの姿に幼さを覚えつつも、それは実感なきまま、私が随分成長した証でもあるのだなと思われた。
WS自体はもう大変の一言だった。数時間があっという間の出来事だった。幾つか個人的な反省はあるものの、でもまあ総じて楽しい時間を過ごしてもらえたようで満足である。文化祭での上演実現に向け、具体的な筋道もぼんやりと立ってきたよう。あとは行動あるのみです。問題が生じれば、その問題を解決しさえすれば(或いはその過程において)光明がみえるというもの。いやしかしだ。あのエネルギッシュな、奔放な若さ加減にはただただ驚愕した。総勢80名、ある程度の覚悟はして行ったけれども、まさかの想像以上であった。彼らと毎日毎日苦楽をともにする先生方の逞しさといったら。いや、感服いたしました。

高校生との演劇WSを終えて

高校生との演劇WSを終えて

「先日、現役高校生と”演劇WS”なるものをやらせていただく機会に恵まれました。それらを日記代わりに記しておこうと思います。つれづれなるままに。」

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-07-19

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