夏と事件と幽霊と

始まりは……高校生活初めての夏休みで……目覚めの悪い昼過ぎだった…__。

夏と事件と幽霊と(1夜)

         1夜:真夏


葉月(はづき)!いい加減に起きなさい!何時だと思ってんのよ」

「……へーい」

セミの求愛の声が溢れかえる真夏の朝の……あれ?もう昼か。
1階から母さんの怒鳴り声が聞こえてきた。

今日は夏休みに入って2日目だと言うのに、Tシャツが汗でベッタリと体にまとわりついてくる。暑くて暑くて……あぁぁ……気持ち悪い。

重たい体を起こし、扇風機の「強」スィッチを押す。
風はもちろん……ぬるい。
近くに置いといた団扇で扇ぐも、その風の温度は変わらない。
……まぁ、何も無いよりましか。

      ートゥル……トゥルルルルー

暑さを忍んでいると、1階の電話が鳴り出した。
母さんがすぐ出たらしく、音は1回で止んだが……いつも思うのだが、何で声のトーンが変わるんだろうな。俺には理解不明だ。

「はい。ちょっと待ってください。葉月(はづき)ーっ!!利根川(とねがわ)くんから電話よ!!」

とねがわ……?今日遊ぶ約束してたっけ……
まだハッキリとしない脳で、階段を降りていく。

「はぁい。お電話変わりましたぁ。」

『あぁ葉月(はづき)?悪りぃな。寝てたか?』

こいつの声は高く、いつも頭がガンガンするんだが、今日はやけにテンションが高いらしく、その分が余計に頭に響く……

「まぁね……テンションが高いと思うんだけどなんか良いことでもあった?……てか用件なに」

『おいおい。質問攻めは止めたまえ。まぁ、驚かずに聞け。実は……』

急に改まった声になったので、なんだかこっちまで緊張しちま……

『実は……心霊写真がとれた!!』

         ーポカーンー

「………………っで?」

__はい。期待した俺が馬鹿でした。認めます。

『【で?】って酷いな!!見たくないのかよ?あっ!ははーん。さては悔しいのだなぁ〜』

……誰かこの受話器の向こうの子を、精神科に連れて行ってくださーい。

「あのよぉ。俺ら何歳?何年生?」

『はぁっ?そりゃぁ16歳の高校生なりたてだろ?てか、来んだろ?』

……あぁもう面倒くせぇな

「わかった行くよ……んで、何時から?」

『今から1週間だぜ!』

とうとう暑さで幻聴が…__

『おーい?んじゃ、待ってるからなぁ』

「ちょっ、あっオイッ!!」

      ーガチャッ……ツー…ツー…ー

「ったく……」

左手に持っていた受話器を戻し、再び2階の部屋へと戻った。
部屋ではつけっぱなしの扇風機が首を振っており、起きた時より若干だが、部屋の温度は下がっていた。

嫌々1週間分の荷物をまとめ、1階に下りて行くと、母さんが洗濯物を取り込んで来た所だった。

「お電話なんだって?」

「今から1週間泊まりに来いだって。」

「そっ。良かったじゃない。何も予定がなかったんでしょ?家でこもるよりはね、外で沢山と……」

「へいへい。そうですねぇー。」

母さんの嫌味に近い言葉を受け流し、重たいドアを押し開ける。

「うっえぇぇぇ〜。」

外はまるでサウナのよう。カンカンの御天道様にてらされて、引きかけていた汗がまた、噴出すように額から流れ落ちた……__

夏と事件と幽霊と

   次回
  メンバー

利根川の家に行くことになった葉月。
家に着やいなや、あいつらに会うことになるとは……
利根川はこのメンバーで、一体何をしようと……

1夜:真夏 ご視聴ありがとうございました( +●+)

夏と事件と幽霊と

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-07-14

CC BY-NC-ND
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