お題、病
部活のお題小説で書き始めたものです。
最初は2000文字で収めるつもりでしたがまだ続きそうですかとりあえずここまでで暇な時にでも続きを書こうと思います
「エホッエホッゴホッ」
真姫は生まれつき心臓の病気で咳をすることが多かった。
「大丈夫?」
心配そうに僕が聞くと
「大丈夫だよ」
と笑いながらそう答える。
本当は大丈夫な筈ないのに…
そんな会話をしながら真姫と僕は身支度をしていた。
一週間前、真姫は突然倒れて病気に運ばれた、体は回復し今日が退院の日だ。
「ねえねえ、真白君」
テーブルの上に置いてある水を飲みながら僕に呟いた
「病気から出たらどこ行く?」
あまりにも唐突な質問に僕は正直驚いた
「退院そうそうでかけちゃダメでしょ家でゆっくりしてないと」
真姫はむすっとした顔で
「えー、やだー寝てるだけなんてつまんないー」
僕はその言葉にやれやれと思いながらこう言った
「しょうがないな…カフェでコーヒーでも飲んで行こうか…」
「いいの?やった!」
真姫は嬉しそうに身支度に戻った。
病院から出ると太陽の日差しが照りつけていた。
「暑い…」
真姫の病み上がりの体には夏の日差しは強かったようだ
「私が入院してる間にこんなに熱くなっちゃったの…」
真姫の額には汗が出ていた。
僕は病院の自販機で買ってきた水を渡した
「はい、水」
「あ、ありがと」
やがて、カフェに着いた
カランコロンと音を立てながら扉が開く、それとともにクーラーの聞いた冷気とコーヒーの匂いが漂ってきた。
「いらっしゃい」
「いつものコーヒー2つお願いしていい?」
「くると思ってもう用意してあるよ」
ここの店には僕と真姫が小さい頃から来ていて、僕達のことをマスターはよく知っている。
しかもマスターはかなり感が鋭いのでこのようにいつも店にくるとコーヒーを用意しておいてくれる。
「そこの席座りな、コーヒー持つてくるからちょっと待ってて」
そう言ってマスターは端っこにある席を指さす。
僕は真姫の方をチラッと見てから二人でその席に座った。
「はいコーヒー」
白いティーカップに入ったコーヒーが2つテーブルに置かれる。
「そうだ、退院祝い何か食べたい物ある?」
「え、好きな物食べていいの?」
「うん」
「じゃあパフェ食べたい!」
真姫は目をキラキラさせながらマスターに注文する。
「真姫…」
僕は真姫の方を向いて小声で呟く。
「あ、そっか」
真姫は心臓病故にあんまり甘いものや酸っぱいものは食べられない。
少しだけなら大丈夫だけれどパフェとなると話が違う。
「あ、大丈夫だよ。真姫ちゃんがそう言うと思って新しいパフェのメニュー考えてきたんだ」
「真姫も食べられるような?」
「うん、ちょっと実験がてら食べてみてよ。」
そう言ってマスターは厨房へ戻った。
厨房に戻るマスターを見守った後、僕はガサゴソとバックに手を伸ばし、参考書とノート、筆記用具を取り出した。
「宿題?」
「いや、これは自主勉強って感じかな」
「ふーん」
コーヒーを飲みなながらそういった。
「でも前はあんまりこういうことしてなかったよね?」
「うん、前から父さんと同じ医者になろうと思って勉強はしていたけど少し前に、全国模試で全国5位だったから先生に留学しないかって言われてね。」
3日前
僕は先生に呼ばれて職員室へ来ていた。
「先生、どうしました?いきなり呼びだして」
先生は近くにあったパイプ椅子を僕のところにおいた
「まあ、座れ」
そう言われパイプ椅子に僕は座った。
「まずこれを見てくれ。」
先生からA4程の大きさの紙を渡される。
それは1ヶ月前に受けた全国模試の結果だった。
「あ、この前の結果が来たんですね。」
「そうなんだがここを見てくれ。」
先生は全国順位のところを指さす。
「え、」
そこにあった文字に僕はかなり驚いた。
「お前、5位なんだよ…まさか俺のクラスから5位が出るなんてな、思っても見なかった。以前からお前は成績がかなり良かったがここまで良かったのは初めてだな」
言いながら手元にあったタバコを持ち
「ちょっと喫煙室で話さないか?」
「構いませんけど…」
先生と僕は喫煙室へ移動した。
先生はタバコに火を付け口から煙を吐きもう一枚の紙を僕に渡した。
「それでなんだがこんなものが来ていてな」
その紙には英語で私の学校に来ませんか?と書いてあった。
「これって…」
「留学の誘いだな、しかもかなりの有名な大学だぞ、」
「えっと、つまり大学生に、なったらこの学校に行けるんですか?」
「まあ、そうだな入学金免除だし、授業料も免除」
思っても見なかったことだったから正直今の状況が読み込めていなかった。
「まあ、今は2年生の3学期だしよく考えとけ。」
そう言って吸殻を捨て先生は自分の席へ戻っていった。
現在
「え、やったじゃん!」
真姫は飲んでいたコーヒーを置き僕の手を掴み喜んだ、まるで自分のことのように。
「あ、ありがと。
でも正直悩んでるんだよね」
「え、なんで?」
「まあ、ね、うん」
真姫の頭の上にハテナマークが浮かんでいるようだった
「おーいできたよー」
厨房からマスターがもどって来た
「砂糖とかクリームの甘いものは極力抑えて、抹茶とかのものを中心に使って作ったよ。」
マスターの手に持っている緑色をした奇妙なパフェがテーブルに二人分置かれる。
「なるだろう…見た目は…緑色一色だね」
どうやら全部抹茶を使ったらしく、クリームやアイスの部分は真緑だった。
チョコの代わりに緑色のお団子や、果物などが入っていた。
「抹茶なら甘さを誤魔化せるし、二人とも苦いのは結構好きだからね、これがいいと思って作ってみた。」
確かに僕と真姫はよくコーヒーや濃いお茶はよく飲んでいるから苦いのは好き。
まあ、真姫は僕と一緒になって飲んでたからだと思うけどね。
「じゃあいただきます」
手元のスプーンを取りゆっくりとその手をパフェへ持っていく。
抹茶色のクリームをすくい口に運ぶ。
「うーん、甘いというより苦い、だけどほんのりと甘さがある。うん、これなら真姫でも食べられる。そして美味しい!」
それを聞き真姫はスプーンに手を伸ばしパフェを食べる。
「あ、美味しい」
真姫の顔はたちまち笑顔になり、一口、また一口とパフェを口の中へはこんだ。
「どうやら気に入ってくれたようだね」
僕と真姫はあっという間にそのパフェを食べ終わった。
「ごちそうさまでした」
二人で両手を合わせてそういった。
「お粗末さまでした。これ、真姫ちゃんでも食べられるとはいっても一週間にひとつぐらいがいいみたいだね、一応先生に見てもらったけど」
マスターは二人分の食器を持ち、厨房へと持っていった。
「さて、そろそろ帰ろうか」
時間的にもそろそろ外は涼しくなっている頃だしちょうどいいだろうと思いそろそろ帰ることにした。
「うん、そうだねマスターにお金払わなきゃ」
すると厨房から声がした
「あーお代はコーヒー代だけでいいよそこおいといて」
僕は財布から500円を取り出し、テーブルにおいた。
「じゃ、帰るねー」
「気をつけてかえりなよー」
そう言って僕は真姫はカフェを出た。
お題、病