その女の指について

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指はね、

その女は自分の指を愛していなかった。
しかし、女が求める理想の男は指が綺麗な男であった。

女の指は白い、長くはない。そして、爪の形は特筆すべき特徴もない。
ただ、冬場になると乾燥し、粉をふりかけたようになるときがあった。

女は他人の指を見るのが好きだ。
他人の指が女の指よりも短く、たくさんのシワがあり、爪の面積が小さいと女自身気づかないうちに女はその他人を見下す。
他人の指が女の指よりも長く、美しいシワがあり、爪の面積がバランスの取られた美しい形だと女は女自身が意識してその他人に憧れの眼差しを送る。

女の爪は桜色ではない。もっと濃いのだ。
生きていることを主張し、他人に見てほしいと主張する。
女の指には青い線が幾つか見えた。そこに血が流れてるのだ。
生きてると、

女の血はきっと他の誰よりも赤く、鉄の味がするのだろう。

ユビワがほしいと女は感じた。

わたしの赤い爪に白い指、それに似合うユビワを。
わたしのこの、20本の指を飾るあのワを、

わたしが、わたしの愛してない指のために。
そのワを頂戴。

その女の指について

そうです森村は指フェチです

その女の指について

女の指の話

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-07-11

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