悪夢

この先には何がある?

そこはどこまでも続く一本の道だった。
歩いても歩いても終わりが見えない。
景色もずっと変わらない昏い暗い道をもう何時間歩いただろう。
修学旅行に行くよ、と言われてみんなと歩き始めたのはいつだっただろう。
気がついたら誰も居なくなってしまっていた。
いつから歩いているのか、どこではぐれたのかさえ思い出せない。
わたしはなぜ此処にいる?
わたしはいつから此処にいる?
わたしはなぜ歩き続けるのだ?
道は暗くどこまでも続く。
樹々が覆い茂るが鳥のさえずりさえ聞こえない。
此処には生きているものの気配が無いのだ。
聞こえるのは自分の呼吸音だけ。
なんと不気味な場所だろう。
あぁ、早く何処かへたどりつかないだろうか。
こんな所に居たら自分がわからなくなってしまいそうだ。
自分を失うことは恐ろしい。
自分が何者であるかわからなくなることは恐ろしい。
この道はどこまでも続く代わりに、変化を失ったのだ。
永遠という絶望を示すために。
だからこんなにも生き物の気配が無いのか。
わたしはこの永遠に迷い込んでしまったのだろう。
そしてきっと、もう帰れない。

悪夢

お読みいただき、ありがとうございました。
少しでも薄気味悪さを感じて頂けたら幸いです。

悪夢

歩いても歩いても終わりが見えない道は何を思わせるのか。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-07-10

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