未来の記憶

The Christmas last year

「Last Christmas, I gave you my heart

But the very next day, You gave it away ・・・かぁ・・・」

俺は12月の冬空を見上げた

「きっと君はこなーいー・・・

何故なら知り合ってもないからー」

山下達郎さんの有名な曲の歌詞を変えて苦笑いした・・・

「督促状」

たかが家賃を3ヶ月滞納しただけで「出て行け」と責め立てられてる・・・

流石に屋根のある場所で除夜の鐘を迎えたい・・・


それが去年のクリスマス前の出来事だった・・・

Before a few in summer

「よっ分け前分け前・・・」

WINSの近くの立ち飲み居酒屋で俺は友人達に万札を渡した

「今年負けた事ないんじゃないの?」

友人は財布に万札をしまいながら言った

「まぁこうやって勝ててるのもお前に馬券の買い方教えてもらったからだし」

俺はそう言うと店員さんを呼んでビールのおかわりを頼んだ

「相変わらず景気いいね、俺もあやかりたいよ」

ここのマスターは気の良いおじさんだ、WINSの客目当ての店は悲喜こもごもな様相だった

毎週ここでこうやって騒いでいれば妙な奴も近寄って来る

「マスター、彼が噂の?」

その風体を見た時「ついに来たか」と思った

「同席しても?」

男は答えを待たずに空いている友人の隣に座った

「なぁ・・・ちょっと雑誌買って来てくれよ来週号の少年マガジン探して着てくれよ」

友人に金を渡すと逃げる様に合図した

「いいだろ?標的は俺だ」

「誤解なさらないで下さい、私は貴方を連れて来いと命令されただけです」

答えた男はどこから見ても「地位のあるヤクザ」だった

Club「Sunflower」

「どうぞこちらに・・・」

黒塗りの車に乗せられ着いた先は高そうなクラブだった、

そこのVIPルームに貫禄の塊の様な男がいた

「君が「ラッキーマン」か・・・競馬で派手に買ってるわりには

安い格好だな」

そう言うと男は笑った

「いやいや失敬、私は「関東T連合A組の代表やってる「真崎」という者です」

そう真崎が名乗ると先程の男が俺の前に名刺を置いた

「あの・・・連勝の秘密は・・・」

「いやいや・・・そんな事はどうでも良い・・・」

真崎は椅子から乗り出した

「どうだろう、手を組まないか?」

「え?」

「あんな遊び方をしていたら遅かれ早かれ危険な目に遭う、

どうだろう、我々がそれから護ろうじゃないか・・・

幸いあのWINS一帯は我々に任されている」

真崎がタバコをくわえると部下が火を点けた

「申し訳ないが色々調べさせてもらった、競馬で勝ってはいるが

部屋探しや諸々の事に困っているみたいだな・・・我々と組めば

それ相応の暮らしは約束しようじゃないか」

真崎が言うと俺の目の前にスリー・ポインテッド・スターの描かれたキーが置かれた

「呼びつけた車代だ、自由にするが良い」

「俺は何をすれば・・・」

「簡単さ、買う組み合わせを教えてくれれば良い」

真崎はタバコの煙を吐き出すと笑った

「心配無用、何も賭場は1つじゃない」

真崎の目から笑いが消えた・・・それはNOという選択肢が消滅した事を表していた

未来の記憶

未来の記憶

  • 小説
  • 掌編
  • 成人向け
  • 強い暴力的表現
  • 強い性的表現
更新日
登録日
2014-07-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. The Christmas last year
  2. Before a few in summer
  3. Club「Sunflower」