イタリアンLife (格安ビジネスクラス航空券)
航空券の値段はキャリヤよりまちまちではあるがエコノミークラスでヨーロッパ往復は燃料サーチャージや諸費用を入れて一〇万円を超すぐらいが相場となるだろう。そんななか、やはり中国系のキャリアは破格の値段を出している。当初は台湾のチャイナエアラインでオランダのスキポール空港に降りてからLCCでイタリアへ向かおうかと考えていたが、ビジネスクラスで一五万円という圧倒的な安さの中国東方航空に決めた。諸費用を入れても一九万円をこす程度。
「中国の航空会社でサービスとか大丈夫だった」宮本が言うのも無理はない。ネット上などの口コミでいい評判を聞く事はあまりない。乗客のマナーも含めて心配する人は多い。
「うん、以前あるプロジェクトで一緒に働いた中国人のシステムエンジニアから中国東方航空はサービスがいいって聞いていたんだ。実際よかったよ。それに、ビジネスクラスには、ほとんど中国の方は乗っていなくてヨーロッパの人がほとんどだったかな。今回はねぇ、目玉はエールフランスとのコードシェアなんだ。」
「コードシェアって?」宮本の妻、彌生が興味津々の目を向けた。彌生は大学生の子供達を卒業させたら中崎をガイドに夫婦でのイタリア旅行を画策している。
「共同運行。簡単に言えば中国東方航空の安いチケットでエールフランスの機材と乗務員で空の旅ができるんだ。目的地はイタリアだからパリのシャルルドゴール空港を経由するのは遠回りだけど一度でいいからエールフランスのビジネスクラスに乗ってみたかったんだ。」
「普通に成田からパリまでビジネスクラスで往復したら五〇万円前後って言ってたよな。航空券だけで二人だと一〇〇万円は超えるしなぁ。それで、一五万円のエールフランスはどうだった」
「さすがエールフランス。僕が日本人と分かると以前JALで働いていた日本語ができるCAにサーブがチェンジされ、クルー全員が最初から別れの挨拶まで『有り難うございました。さようなら。』って日本語でするんだ。成田発ならあたりまえだけど、上海発だからね。想像を超えるサービス。感動だったね。」
「日本のサービスは、お辞儀の角度が何度とかの振る舞いや言葉遣いが中心とういうか、なんか表面的なんだよなぁ。『お客様』って優越感をもたせることが大切にされているように思うね。だから勘違いする人もでてくるんだ。俺も営業しているから分かるんだけど、何でも言わなきゃ損みたいな。サービスを提供する方も感情があるんだから。」
「ある意味、ビジネスクラスは『優越感』の塊だよ。専用のチェックインから始まって、待ち合いラウンジ、優先搭乗、機内食は一皿ずつサーブされるし、シートはフルフラットでゆっくり寝れるしね。そうそう、エンジンは翼についてるだろ。それより前方にビジネスクラスはあるからエンジン音もあまり聞こえないで静かなんだ。」
「中崎さん、私たちもビジネスクラスでヨーロッパに行くわ。安いチケット探しておいて。」
イタリアンLife (格安ビジネスクラス航空券)