ダブルクロスお試し企画7

ダブルクロスお試し企画7

・これは過去に別場所で公開したF.E.A.R.出版のダブルクロスthe 3rd editionの疑似リプレイを小説として書き起こしたものです。何卒。
・鬱、流血表現なども含みます。閲覧のほどは自己責任でお願いします。

ダブルクロスお試し企画:『汝は人狼なりや?』

ダブルクロス、お試し企画その7


GM:……よし、演出はそれでいいんだな。把握した。
  クライマックスフェイズ5、「暗い家で待ち合わせ」。登場は伊月と四方坂のみ。宣言と侵食率上昇お願いします。

ルカ:シーンイン。

羽月:シーンイン。


>侵食率上昇

伊月 1D10 → 4
四方坂 1D10 → 4

>伊月空也の侵食率上昇 138% → 142%
>四方坂都の侵食率上昇 124% → 128%


・クライマックスフェイズ5、「暗い家で待ち合わせ」


 ずっと昔の事を思い出していた。
 馬鹿ばかりやっていた子供の頃。隣の家に住んでいる同い年の友人と、毎日の様に遊んでいた。
 怒られる様な事はいくつもやった。馬鹿な事もいくらでもやった。今思うとどうしてあんなに毎日懲りずに余計な事ばかりしていたのかと不思議な位だ。

 ある日、何時もの様に学校帰りに二人で公園に遊びに来て。
 一人で、ブランコに腰掛けている隣のクラスの女の子を見つけて。
 その様子が、何故かとてもさびしそうで。
 何故だか、放っておけない気がして。

『なぁ、いっしょにあそぼうぜ?』

 主人公(ヒーロー)気取りで、その少女に声をかけた。
 こうして伊月と神原、そして安藤は今に至る。

 あの時はヒーローになったつもりだった。独りぼっちの少女に声をかけて、漫画の主人公の様な気分に浸っていた。
 だが、もうあの頃には戻れない。

『いいか? 俺が神原を支部に引き止めておくからその間に終わらせろ。終わったら連絡してくれ。全部終わらせて、カタを付けよう』

 四方坂の言葉を何度も反芻して、伊月は下唇を噛む。今伊月はほのかの家にいた。
 あの腐敗臭はもう何処にも漂っておらず、死体も無い。ほのかも何かに気づいた様子すらなくコーヒーを淹れに今は一階に降りている。
 ほのかは、やはり、正常にしか見えない。
 何もかもいつも通りだ。少しはにかんだ様な笑い方も、危なっかしい歩みも何もかもいつも通りだ。いっそ四方坂の発言が嘘である方がしっくりと受け入れる事が出来る。

 だが、窓から見える人の気配すらない風景は彼女の発言が正しいと如実に物語っていた。
 そして何より、その異常な世界の中に住んでいながら何一つ気付いていないほのかはやはり異常だった。

 肺腑を抉られるような苦悩に伊月は眉根を寄せて耐える。胃に鉛の詰まった様な重たい感覚がじわじわと時間の経過と共に増して行く。
 ほのかが、ここに帰って来たら*さなければならない。いっそ帰ってこないで欲しい。時間は刻一刻と過ぎ、何秒とも何分とも取れない時間が伊月の苦悩を嘲笑う。

 だが、彼女は扉の開く音と共に戻って来てしまう。

「空也くん、お待たせー」

 平和ボケしたどんくさい幼馴染の声。馬鹿でどうしようもない餓鬼だった自分をヒーローだと言い、尊敬の眼差しで見つめてくれた少女。そんな少女を今から殺さねばならない。
 危なっかしい幼馴染の持つトレイを受け取る事も、そちらを見る事も忘れて俯いたまま沈黙する伊月に彼女はほんの少しだけ不安げな表情を浮かべた。

「空也くん? 何かあったの?」
「……何でも無い」
「うそ、だよね?」

 子供っぽさが抜けない童顔に精一杯の真面目な表情を浮かべて、ほのかは伊月の目の前に正座する。
 その真っ直ぐな瞳を、伊月は直視出来ない。喉に何かが詰まったような感覚が熱くて痛くて、声が出ない。
 不意にほのかは覗き込む様に伊月の顔を見上げ、そして驚きを純真無垢な顔に浮かべる。

「空也くん……? どうして、泣いてるの?」

 その言葉に伊月はハッとしたような表情で頬を手の甲で拭う。確かに、その頬は涙で濡れていた。気付いてしまえばもう止まらなかった。
 俯き、拳を握りしめ声を殺して号泣する。力を込め過ぎた腕がぶるぶると震えていた。
 どうして? どうしてほのかを殺さなきゃならない? ほのかが化け物になってるだって? そんなのは嘘だ。何も変わっていない。このよわっちい幼馴染はずっと変わっていないはずなんだ。だからこれは全部間違いだ。
 ずっと一緒にいたのに初めて見る幼馴染の号泣する姿に、ほのかは酷く慌てた様子でおろおろとしながらハンカチを取り出し涙を拭き始める。その彼女の必死な様子に伊月はまた泣いた。

「えっと……えっとね、私でよければ……話して? ね……?」

 困った様な、慌てた様な。そして怯えている様な表情でほのかは伊月の背を撫でながら言う。
 言える、わけがなかった。喉と頭を焼く熱っぽさがやけに熱い。そんな伊月の左手にほのかは涙を拭っていたハンカチを握らせその拳を両の手のひらで包み込む。

 その時、一つ心の中に淡い期待が浮かぶ。それは彼女がオーヴァードでは無い事を明確に指し示す証拠となる。
 だが、もし。もしもオーヴァードであれば。

「……ごめん、な」

 『IF』の恐怖が期待をボロボロに崩して行く中、伊月はゆっくりと目を閉じて、祈る。そして。
 <ワーディング>を展開した。

 彼女がオーヴァードで無ければ気を失うだろう。だが、もし彼女がオーヴァードかジャームであれば。目を開ける度胸が無かった。最悪の想像だけが頭蓋を内から叩く様に自己主張する。それに、耐えて。恐る恐る伊月は顔をあげた。


「…………空也、くん?」


 そして、不安げな表情で伊月の顔を覗き込むほのかと目が合った。

『“境界線”は覚醒してはならなかったんだ……ここ最近の事件で死んだ人間は、全員ここの住人だった。全員ジャームになって刺し違えて死んで行ったんだ……まるで、何かに怯えているみたいに、さ』

 四方坂が別れ際に言った言葉が脳裏をよぎる。
 存在するだけで、周囲を侵食してしまう力を持ってしまったほのかは、危険な存在だ。消さなければならないと。
 伊月は絶句と共に彼女の顔を見つめたまま硬直してしまう。その表情は、この現実が、この状況がまるで信じられない程いつも通りのほのかのものだった。
 そしてその瞬間、伊月は全てを理解し絶望的な思いに駆られた。

 ほのかは狂ったのでは無い。
 これまでもずっと、狂っていたのだ。

 家にいた時も。学校にいた時も。家に遊びに来た時も。
 控えめに笑っている時も。後ろを不安げについて来ている時も。
 ドジをして周りに助けられている時も。失敗して泣きべそをかいているときも。

 脅迫状を真に受け、純や伊月に手を引かれて怯えながら移動している時も。すでに、どうしようも無い程普通に、誰にも気づかれないまま狂い果てていたのだ。
 胸をどす黒く染めて行く絶望が一つの記憶を呼び起こす。それはほんの少し前。伊月が覚醒してしまった時。
 もう日常には本当の意味で戻る事が出来ないと知らされて、二人で、約束したのだ。
 戻れないのであれば、せめて。せめてほのかの日常だけは守り抜こうと。

 だがその約束はもう、果たせない。


「―――――-――――、」

 声にならない慟哭を上げながら、伊月はひたすらに絶望する。気付けるわけが無い。守ろうとしたものがとっくの昔に狂っていたなど、気付けるはずが無かった。

 伊月はほのかの多くを理解していた。
 気弱な幼馴染の思考、行動、言動、その大半を。
 ただ、その『理解しているモノ』が狂っていると言う、ただその一点を知らなかっただけで。

 おそらく、相当な昔にほのかは覚醒してしまっていた。
 この家にあった骸骨は死後三年が経過していたらしい。恐らくそれよりも昔からだろう。
 どうして? などと言う事はもう聞けなかった。彼女自身ですら、自身が狂っている事など知らないのだ。

 その瞬間、電源を落とすかの様に全ての感情が消えた。

「……ごめん。少し、目を閉じていて欲しい」
「うん……」

 何の疑いも抱かず、何の躊躇いもなく彼女は目を閉じ無防備な姿を晒す。
 伊月は静謐な、そして悲痛なまでの無表情で右手の拳を握り締める。みるみる内にその拳は獣のそれへと変質し筋肉が隆起した。そして、彼女の首にそっと手を触れると。


 一瞬にして、へし折った。
 シャープペンシルの針を折るような無造作さで、そして花を手折るような繊細さで一瞬で彼女を殺す。恐らく彼女自身も何も感じ無かったであろう、無慈悲で、何よりも苦しみの無い死。

 伊月はよろめく様に立ち上がると、床に寝かせた少女の死体を跨いで部屋を出る。思考はすでに白紙で、何も考えていられなかった。
 無感情に、無意識に彼女の家を出ると同時に<ワーディング>を解除する。雨は、まだ、降っていた。
 その時、不意に左手に何かを握りしめている事に気付く。
 それは、彼女が彼に握らせたハンカチだった。


 その瞬間、乾いた音を立てて心に黒い穴が空いた。
 その途端、今まで空洞になっていた心に一時的に死んだ感情が。悲しみが、怒りが、罪悪感が、絶望が、やるせなさが、悔悟が、後悔が、悲嘆が、無力感が、そしてそれを上回る自己嫌悪が、爆発する様に胸を焼き、空になっていた心を埋め尽くして嗚咽と号哭が、そして再び決壊したかの様に涙が溢れ出した:

「う……あ、ああああああああああああああああああっ!!」

 地面に這い蹲り、吠えた。地面に爪を立て涙を流しながら獣の様にただ吠えた。
 絶望はただ熱となって胸から頭まで、自分の全てを塗り潰した。視界が赤く染まり、狂的なまでの自己嫌悪がはっきりとした痛みを伴って胸を掻き毟る。
 ただただ、絶望と自己嫌悪だけがそこにあった。何故殺してしまったのかと自分自身を呪った。
 どうして、こんな事になった? どうしてほのかが死ななきゃならなかった? 絶望と絶望に絶望で絶望。全ての感情を塗りつぶす様に絶望し、廃墟と化した街の中でただ慟哭する。
 そして心が再び空になるまで泣いて。

 ふと、顔を上げた。憑き物が落ちたような感覚だけが残っていて、もう哀しみは無かった。大半のモノを抉り取られたような空洞だけが残り、哀しみを失った空虚さだけが残っていた。
 あるのは、完全な絶望に侵食された虚無のみ。

 鉛のように重い体を引きずって立ち上がる。雨に打たれ続けたせいか、体は冷え切っていた。両腕で自身の体を抱き細く長いため息をつく。その時、伊月はケータイにメールが入っている事に気づく。

『ほのかをつれて旧公民館に来て欲しい
 待ってる』

 それは、神原純からのメールだった。



GM:さて、と。次のシーンは全員登場で固定だ。伊月と四方坂はやっておきたい行動があるならどうぞ。

夕月:いや……うん、なんかもうね……展開が怒涛過ぎてもうね……。

羽月:安心しろ、この鬼畜ゲームマスターの卓ではよくある現象だw

ルカ:ゲームマスター、安藤ほのかのロイスをSロイスにしたいんだが。

GM:……羽月、絶対何か吹き込んだだろwww

羽月:バレたかwww

夕月:あそこまで渾身のロールプレイしてたらSロイス化出来ないなんて言えないよね?

GM:まぁな。Sロイス化許可しよう。対象が死亡した事による感情の変化も受け付けるぞ。今回ばかりは特例だ。

ルカ:了解。


>伊月・Sロイス取得 → 安藤ほのか:P[執着]/○N[悔悟]


凛:しっかし赤ずきんが題材のシナリオか……クトゥルフ的な読みは粗方出来たけど確証は無いな。

ルカ:とにかく何がどうなってるんだ?

凛:多分の予測だからまぁ間違ってても許して欲しいけどさ。
  赤ずきんが題材のシナリオ、ってことはちゃんと配役が決まってるモノだろ? で、その配役について考えてみたんだ。
  まず「安藤ほのか」は間違いなく「赤ずきん」だな。で、最初は「東雲恵美」が「狼」で他の人間が「猟師」だと思ってたんだ。でもそれじゃあおかしいんだよな。「赤ずきん」を殺すのは「狼」じゃなきゃならない。
  で、……さ。さっき、赤ずきんについて羽月とゲームマスターが話してるの聞いて思い出したんだ。
  昔は、狼を恐怖の象徴として扱ってたんだ。

ルカ:あ……。


>驚愕に表情を歪ませ後ずさる那智を見て、安藤の子供っぽさの残る微かな笑みが不安に曇る。そして、不安は紛れもない恐怖へ。


羽月:……ああ、<衝動侵食>はな。発生する衝動は保有者の衝動……つまり、安藤ほのかの持つ衝動なんだ。

夕月:じゃあ、安藤ほのかの衝動は、「恐怖」?

凛:そう言う事だ。ルールブック見て気が付いたよ。
  つまり、「狼」の配役は「恐怖そのもの」だったんだ。そして、赤ずきんは狼に食べられた。でも。

ルカ:…………猟師は、来なかった。

夕月:クライマックスフェイズ4のシーンタイトルだね。「猟師の来ない家」。

羽月:じゃあ東雲恵美の配役はどうなるんだ?

凛:多分「猟師」。赤ずきんがとっくの昔に狼に食べられてジャームになっている事に気づいて……殺そうとして、殺された。
  たぶんこれは、「猟師が助けに来なかった赤ずきん」の悲劇の話なんだ。

羽月:食べられる事で赤ずきんまでもが狼になる、なんて突飛な大前提が必要になる読みだな。

夕月:……恐怖を恐れる、って言うのは間違ってないと思うよ。

ルカ:だが問題がまだ残ってる。「神原純」の配役は?

凛:……赤ずきんを助けようとした、「猟師」?

羽月:多分そうじゃないか? しかしやたらめったら猟師の多い赤ずきんだな……。

夕月:…………ああ、そっか。違うんだ。「猟師」も「狼」として扱えるんだ。

ルカ:成る程。「猟師(オーヴァード)」は「狼(ジャーム)」にも成れるからな。

凛:……まぁ、俺の予測は大体これくらい。

羽月:さて……次に何が来るか。ゲームマスター、俺神原純にロイス取るわ。
  ポジティブに同情、ネガティブに憐憫で。一応ポジティブが表。

GM:ふむ、把握した。


>四方坂・ロイス取得 → 神原純:○P[同情]/N[憐憫]


ルカ:で……次のシーンだな、問題は。

凛:全員登場だろ? 最悪神原純も怪しく無いか?

夕月:ゲームマスター、一つだけ質問いいかな?

GM:何だ?

夕月:神原純のシンドローム、分かる? 僕はともかく支部長の都や親友の伊月とかなら把握してそうだけど。

GM:ふむ……まぁ、いいか。神原純はブラックドッグとハヌマーンのクロスブリードだよ。

羽月:あ、これはオワタw

夕月:伊月のロイスが二つ消えるwww

ルカ:おいやめろwww

GM:じゃあ、行こうかw
  クライマックスフェイズ6、「雨が止む時」。登場は全員。宣言と侵食率上昇お願いします。

四人:シーンイン。


>侵食率上昇

伊月 1D10 → 3
椎堂 1D10 → 9
四方坂 1D10 → 7
那智 1D10 → 8

>伊月空也の侵食率上昇 142% → 145%
>椎堂臨の侵食率上昇 129% → 138%
>四方坂都の侵食率上昇 128% → 135%
>那智の侵食率上昇  129% → 137%


羽月:そういやダイスボーナスとかの表記が一切なくなってるんだけど。

GM:それは私がボーナスアラート出し忘れてるからですw各自ボーナス値を判定時に宣言してちょw


・クライマックスフェイズ6、「雨が止む時」


 雨は、まだ止まない。
 四人は昨日に引き続き、旧公民館を訪れていた。時刻はそろそろ夕方にさしかかろうと言う頃合い。夏の夕方にしては異常に冷え込むこの日暮れに、四人はそれぞれの面持ちで佇んでいた。

 椎堂と那智は、この数時間伊月が何を知り、どんな行動を取ったか知っている。そしてその行動が彼から戻るべき日常を奪い去った事も、知っている。
 那智は静かに目を閉じ、空を仰いだ。そう、確か。神原純に始めて会った時も、丁度こんな風に雨だった。
 体の芯まで凍える様な冷たい雨の降る日。行き場も居場所も無く、誰にも見つけてすらもらえず雨に打たれて立ち尽くしていた那智を見つけたのが神原純だった。純は那智に傘を差し出し、近場の支部まで案内してくれた。そこで都と出会い、今に至る。
 ……あの日と同じ、雨が降っている。でも何故だろう。水に一滴のインクを垂らした様な、胸を掻き毟りたくなる様な不安が滲んでいるのだ。

「……来たぞ」

 不意に四方坂の低く切迫した声が響き渡り、全員が旧公民館に続く唯一の道の方を凝視する。確かに、少し向こうから何者かが青い傘をさしてこちらに歩み寄って来ていた。
 そして数分経たずして神原純は四人の前に姿を表す。彼は呼び出した伊月以外の三人がこの場にいる事に驚いた様な表情を浮かべたのち、安藤のいない不信感に眉をひそめる。

「なぁ、空也。なんでこんなに勢揃いなんだ? それにほのかは?」
「…………」
「神原。それについては俺から説明させてもらう。その前にいくらか質問をさせて欲しい」

 何も言えずに押し黙る伊月を背に庇う様に四方坂は立ち、神原をじっと見据える。神原は普段とは違う一種異様な彼女の雰囲気に圧倒されてか不信げな表情を引っ込めた。
 一方椎堂は伊月の真横に立って警戒心を研ぎ澄まし、那智は伊月の後ろに下がって支援の体勢を整える。

「……UGNのデータバンクから『境界線』 の情報を消し、安藤ほのかの隠れ場所で<電波障害>を使用したのはお前か?」

 <電波障害>。電波を撹乱しケータイやレーダーを中心とした通信を妨害する、電気使いにのみ使える力だ。
 返答に有無を言わせない彼女の詰問調の口調に神原は唇を震わせながら後ずさる。……那智の目には、心当たりがある様に見えた。


「……ああ。そうだ」

 そして、折れた様な肯定。その様子に四方坂は細く長くため息をついた。

「じゃあもう一つ質問だ。安藤ほのかのご両親の所在は知っているか?」
「え……? 仕事に行ってる、んじゃないのか?」

 今度は疑問混じりの肯定。その返答は誰がどう見てもそうと信じて疑っていない者の返答だ。
 これから何よりも残酷な現実を伝えなければならない重圧に四方坂は再びため息をつく。いや、いい。もう慣れている。上司の役回りなんていつもこんなものだ。

「安藤ほのかの家の中から遺体で見つかったよ。死後三年は経過している」
「なっ……!?」
「……それと。安藤ほのかは、既にジャーム化していた。手遅れだったよ……」

 事実を淡々と告げる四方坂を前に、神原は絶句する。その表情からは一切の感情が抜け落ちていた。恐らく、本物の驚愕に襲われた人間は表情を浮かべる事すら忘れ去ってしまうのだろう。
 しばらく立ち尽くしていた神原は、ほんの少しだけ泣き出しそうな表情を浮かべて伊月を見る。

「なぁ、空也……嘘だろ……?」

 その問いに、伊月は答えられない。

「…………は、」

 沈黙の後、神原は片手で顔を覆って声を漏らす。
 泣き出しそうで、笑い出しそうな。哄笑するかの様な声を。

「何で、なんだろうな……苦しいのに……悔しいのに……哀しいのに、気持ちイイって感じるの、何でなんだろうな」

 瞬間、音も無く空気の温度が下がる。肌を這う様な寒気と共に雨音が遠のき視界の端が滲んだ。
 顔から手を離した神原は、泣き出しそうな顔で自身の首筋に爪を立てる。

「大切な人が死んで……辛くて、苦しくて……胸が、痛い。でも、何で、なんだろうな……なんで……なぁ、空也……俺、もしかして……狂ってるのかなぁ……!?」

 酷く悲痛な叫びに、伊月は答えられない。

 空気が狂気と、何かに満ちる。触れるだけで胸が抉られる様に痛み心が軋むほどの感情が四人を包む。神原純が、<ワーディング>を展開したのだ。
 それでも。触れたその狂気は、泣きたくなる程に痛ましくて。目の前で子供の様に表情を崩して泣き出す神原の姿が目も反らせない程悲痛で。

「俺もこんな事したく無いよ……! でも駄目なんだ……俺、おかしくなっちまったんだ……!」
「……伊月。残念だが、彼は、もう」

 ああ、と伊月は上の空で四方坂に応える。
 考えれば、当然の事だった。神原は伊月より相当前に覚醒し、ずっと安藤ほのかのそばにいたのだ。ジャーム化する危険性は誰よりも高い。考えれば当然の事だったのに。
 誰も、その事実と正面から向き合おうとしなかった。ただそれだけだった。
 止まない雨の中、哀しい戦いが始まる。



GM:さて、最後に全員の最終ステータスを確認しようか。ついでに今回はロールプレイ上の流れで衝動侵食は発生しなかった。
  悲しい現実に狂う事無く向き合ってもらおうか。


・伊月空也
侵食率:145%  HP:35
防具:アームドスーツ
>ロイス(残り1枠)
Dロイス:羅刹(タイラント)
両親:○P[幸福感]/N[食傷]
安藤ほのか:○P[尽力]/N[不安]
神原純:○P[友情]/N[悔悟]
椎堂臨:○P[友情]/N[不快感]
那智:○P[同情]/N[隔意]
*ダイスボーナス:4個/エフェクトレベルボーナス:+1


・椎堂臨
侵食率:138%  HP:26
防具:UGNボディアーマー
>ロイス(残り1枠)
Dロイス:戦闘用人格(デュアルフェイズ)
仇:P[執着]/○N[憎悪]
東雲恵美:P[尊敬]/○N[不信感]
伊月空也:○P[友情]/N[敵愾心]
四方坂都:○P[連帯感]/N[嫌悪]
那智:○P[有為]/N[不信感]
*ダイスボーナス:4個/エフェクトレベルボーナス:+1


・四方坂都
侵食率:135%  HP:28
防具:UGNボディアーマー
>ロイス(満員)
Dロイス:錬金術師(アルケミスト)
双子の妹:○P[憧憬]/N[嫉妬]
湯川誠:○P[誠意]/N[無関心]
椎堂臨:○P[慈愛]/N[憐憫]
那智:○P[親近感]/N[憐憫]
伊月空也:○P[誠意]/N[不安]
神原純:○P[同情]/○N[憐憫]
*ダイスボーナス:4個/エフェクトレベルボーナス:+1


・那智
侵食率:137%  HP:27
武器:スナイパーライフル、ボルトアクションライフル、大型拳銃
防具:アンチレネゲイドスーツ
>ロイス(残り1枠)
Dロイス:起源種(オリジナルレネゲイド)
記憶の中の誰か:○P[懐旧]/N[無関心]
神原純:○P[同情]/N[憐憫]
伊月空也:○P[感服]/N[嫌気]
椎堂臨:○P[連帯感]/N[嫌気]
四方坂都:○P[尊敬]/N[隔意]
*ダイスボーナス:無し/エフェクトレベルボーナス:+2


GM:エンゲージ、行動順は以下の通りだ。

・エンゲージ
(神原純)--5m--(四人)

・行動順
  1,椎堂臨(行動値18)
  2,四方坂都(行動値12)
  3,神原純(行動値12)
  4,那智(行動値8)
  5,伊月空也(行動値3)

GM:さて、それでは最終決戦を始めよう!



セットアッププロセス

*椎堂:使用エフェクト<光の銃>Lv4宣言
>椎堂臨の侵食率上昇 138% → 140%


 いつもの様に光を集めて銃を装備すると同時、どくん、と鼓動が一つ大きく高鳴る。イメージは身じろぎをする獣。ぞわぞわと全身の肌が泡立ち、霧の様な睡魔に近い感覚と共に『あいつ』の高らかな咆哮を聞いた。

 エンジェルハイロゥ。それは光を操る能力。使用時に使用者が仄かに光を放つ為その様な名前が付けられたと言う。
 彼女の纏う光は純粋な白では無く、翡翠に近い緑色の光だった。だがもう片方となった今は、醜悪な笑みによく似合う真紅の光を背負っている。恐らく彼女を正面から見据えている神原には彼女が真紅の翼を背負っている様に見えただろう。


イニシアチブプロセス

*使用エフェクト・行動の無い為省略


椎堂臨のターン

*ターン終了まで待機を宣言


「全員援護するから待機して!」
「仕方ねぇなぁ! 失敗するんじゃねえぞ!?」

 那智の言葉に椎堂は口の端を釣り上げて狙いやすい場所へと移動する。胸を満たすのは戦いへの歓喜と復讐の黒い炎。
 物心ついた時、家族はいなかった。普通の日常生活は全て奪い去られ、学校での勉強の代わりにレネゲイドウイルスをコントロールする術を叩き込まれた。その過程で死んで行く子供は何人もいた。それが当たり前だった。
 それでも。どうしても、あの日、全てを踏みにじる様に裏切って行ったあいつだけは何があっても赦せなかった。

 だから。だからこそ、裏切りは許さない。絶対に。どんな理由があっても。


四方坂都のターン

*ターン終了まで待機を宣言


 一方四方坂は、武器を構えるでも無くただ神原を見つめていた。
 泣き出しそうで、苦しそうなくせに恍惚とした表情。それは彼までもが狂ってしまった証。
 そう、これは赤ずきんを助けられず狼になってしまった猟師の後日談。何も報われない残酷な話の誰も気に留めない結末。
 徐々に戦意を見せる彼らを神原は静かに見つめ、やがて四方坂に向かって言う。

「都姉さん……助けて」

 哀願にも似た響きに一瞬四方坂の心は揺れる。

「俺……皆を、殺したく無い……お願いだ……姉さん、助けて……」

 ギリッ、と音がする程強く奥歯を噛み締める。狂っている。彼はどうしようも無い程に狂っている。救いようが無い程に狂っている。
 もう、『死』以外に救う方法すら残されていない程に。


神原純のターン

・マイナーアクション
*マイナーアクション破棄を宣言

・メジャーアクション
*神原純:使用エフェクト<サイレンの魔女>Lv5+<開放の雷>Lv3宣言

>使用エフェクト<サイレンの魔女>
攻撃力+[Lv]×3の射撃攻撃。ただし<RC>で判定。視界内全員に攻撃。装甲無視。
>使用エフェクト<開放の雷>
クリティカル値-1、攻撃力+[Lv]×2


 ふわり、と青い傘が風に舞い流されて行く。
 四人の緊張が一気に高まった瞬間、彼の半開きになった口から言葉が紡がれる。それは音とはならず衝撃波に変化し四人に襲いかかった。


>神原純の命中判定 <RC>
  →22(判定値22)


*椎堂臨:使用エフェクト<神の眼>
>椎堂臨の侵食率上昇 140% → 142%
*那智:使用エフェクト<幸運の守護>
>那智の侵食率上昇 137% → 139%

>伊月空也の回避判定 <回避>
  →10(失敗。判定値9+<回避>1)
>椎堂臨の回避判定 <感覚>
  →10(失敗。判定値9+<感覚>1)
>四方坂都の回避判定 <回避>
  →15(失敗。判定値14+<回避>1)
>那智の回避判定 <RC>
  →14(失敗。判定値13+<RC>1)

>ダメージ判定
3D10+21 → 41!



ルカ:全滅……だと……!?

凛:こりゃ相手の体力次第じゃかなり厳しくなりそうだ。

GM:とりあえず蘇生するなら宣言どうぞ。

ルカ:「両親」のロイスをタイタス昇華。もう、日常には戻れそうにない。

凛:「東雲恵美」のロイスをタイタス昇華。覚えていても、仕方ないしな。

羽月:「妹」のロイスをタイタス昇華。ばいばい。

夕月:「記憶の中の誰か」のロイスをタイタス昇華。ここでさよなら。


>HP回復量
伊月 1D10 → 4
椎堂 1D10 → 9
四方坂 1D10 → 2
那智 1D10 → 2



 衝撃波は凄まじい勢いで周囲の木々を薙ぎ倒し旧公民館の窓ガラスを破砕して行く。同時の四人の傘が宙を舞い、原型すら留めない姿で地面を無残に転がった。そして、その持ち主達も同様に。
 だが全員ボロボロになった姿で、それでも立ち上がる。その光景を神原は悲痛な面持ちで見つめていた。


那智のターン

・マイナーアクション
*マイナーアクション破棄を宣言

・メジャーアクション
*那智:使用エフェクト<要の陣形>Lv3+<導きの華>Lv3+<アドヴァイス>Lv3宣言
那智の侵食率上昇 139% → 151%

>使用エフェクト<要の陣形>
このエフェクトを組み合わせた行動の対象を三体に変更。1シナリオにLv回まで使用可能。

>ダイス+3、クリティカル値-1、達成値+6


伊月のターン

・マイナーアクション
*伊月:<完全獣化>Lv3+<破壊の爪>Lv2+<ハンティングスタイル>Lv2宣言

・メジャーアクション
>伊月:使用エフェクト<コンセントレイト>Lv3+<獣の力>Lv3+<音速攻撃>Lv3宣言

>伊月空也の侵食率上昇 145% → 160%


 伊月の硬く握りしめた拳が膨れ、鋭い爪を持つ獣のそれへと変化する。人間としての柔らかい肌を食い破り内から化け物が姿を表したような変化。
 こんな醜くおぞましい力を手に入れた時。伊月は、それでも護るべき者の為なら戦えると思っていた。だが、今はその護るべきものに力を向けようとしている。そして一番守りたかったものももう無い。

 不意に。伊月の手を握った彼女の手の小さを思い出して。その小さな手のひらの暖かさと、大切さを思い出して。蓋をしたはずの絶望が再び漏れ出した。
 それすらも力に変えて、かつての親友に向かって拳を構える。


>伊月の命中判定 <白兵>
  →44(判定値34+<白兵>4+支援効果6)
>神原の回避判定
  →10(失敗。判定値9+<回避>1)

>ダメージ判定
5D10+21 → 57!


「純、覚えてるか? 俺が覚醒した時の約束を」
「……ああ」
「ほのかには、何も知らせてない。何も教えてない。だから……!」

 獣の足が濡れた地面を叩く。たかだか数メートルの距離など有って無いような物。言葉の代わりに拳を振り抜き、絶望の咆哮を上げる。
 だが、間違い無く神原の腹部を捉えた拳はいつもの威力とまではいかず、神原もすぐに体勢を立て直す。それでも、手にこびりついた肋骨を折る感触は拭えなかった。

*【黒き歓び】発動。神原純のあらゆる判定の達成値に+2。
>使用Eロイス。【黒き歓び】。ダメージを受けるごとにあらゆる判定の達成値に+2。


椎堂のターン

・マイナーアクション
*椎堂:使用エフェクト<主の恩恵>Lv3
・メジャーアクション
*椎堂:使用エフェクト<コンセントレイト>Lv3+<見えざる死神>Lv3+<小さな塵>Lv2
>椎堂臨の侵食率上昇 142% → 150%


「さっさと射線を空けろ!」

 椎堂の普段からは想像できないような怒鳴り声に、伊月はハッとしたような表情で射線を開ける。椎堂が狙うは心臓。裏切者の生命の鼓動を断ち切り根こそぎ命を絶つ。例えそれが見知った人間の物だとしても。


>椎堂の命中判定 <射撃>
  →63(判定値53+<射撃>4+支援効果6)
>神原の回避判定 <回避>
  →18(失敗。判定値17+<回避>1)

>ダメージ判定
7D10+16 → 75!



GM:判定値59!?(期待値は大体35)

羽月:嘘だろ!?

夕月:女神様がこっちに微笑んでるねwww

凛:おおうwww

ルカ:このまま畳み掛けるぜ!



 禍々しい真紅の光が降り注ぐ雨粒を蒸発させあたりは乱反射する白い霧に包まれる。幻想的、なのだろうか。
 そして赤い光の奔流は、凄まじい速度で神原を貫く。全身でその光を受け止めた神原は恍惚とした表情でゆっくりと倒れ伏し、壊れた笑顔でまた立ち上がる。泣きながら、それでも笑っている壊れた表情。
 ああ、と彼女は静かに心の奥底で理解する。分かってしまったのだ。戦う以外に能の無い出来損ないの人格のくせに分かってしまったのだ。

 彼は、止めて欲しいと思っている。大切な人を殺したいと言う衝動に負けた自分を止めて欲しいと思っている。なら、殺さなきゃならない。願い通り、お望み通り、殺さなきゃならない。
 お人好しのもう片割れに向かって、彼女は静かに笑いかけた。痛みも苦しみも無く「救う(ころす)」のはお前には絶対に無理だ、と。

*【黒き歓び】発動。


四方坂のターン

・マイナーアクション
*四方坂:使用エフェクト<雷の加護>Lv2

・メジャーアクション
*四方坂:使用エフェクト<雷攻撃>Lv2+<雷の槍>Lv5+<解放の雷>Lv3+<コンセントレイト>Lv3
>四方坂都の侵食率上昇 135% → 147%


 視界が白と赤に濁る中、四方坂は濡れて重くなった右手を神原に突きつける。瞬間、バツンと大きな音を立てて火花が一つ舞った。
 思い出すのは神原とのごく普通の高校生としての思い出。阿呆な事しか言わない彼を茶化して、時にからかって。そして時に真面目にこの仕事について愚痴りあって。
 ……そんな日々は、もう、戻ってこないのだ。大切だったはずなのに、失うまいと伸ばした指の先からすり抜けて壊れていく。大切な物はいつもそうだ。
 だから、せめて。せめて伊月に告げたように自分に言い訳が出来るような終わり方を迎えたかった。

「神原……お前のコードネーム、今思い出せて良かったよ」

 “悲哀の狩人”。それが、彼のコードネーム。



羽月:ゲームマスター。神原純のロイス、ネガティブ表にした上でタイタス昇華。判定のクリティカル値を-1。さらに湯川誠のロイスをタイタス昇華。ダイスを10個追加だ。

ルカ:……おい、待てよ。

凛:まさか……相打ち狙い?

夕月:無茶だよ! 何のギミックも無く倒せるわけ……!

羽月:……一番、ダイスが少ないのは俺だ。侵食率が上がりにくいのも俺だ。ならやるしかないだろ。

GM:残りロイスが3人になっても、やる気かい?

羽月:ああ、勿論だ。



>四方坂の命中判定 <射撃>
  →87(判定値77+<射撃>4+支援効果6)
>神原純の回避判定 <回避>
  →10(失敗。判定値9+<回避>1)

>ダメージ判定
9D10+22 → 87!


 ぶつり、ぶつりと音を立てて世界から断ち切れらていく感覚。手間のかかる二人の部下の顔が一瞬意識をかすめて消え失せた。
 一体どんな顔で雷を放っているのだろう。そんな事を考えもしたが、それすらもどうでもいい事で。
 痛い、痛い、気持ちいい。倒錯した快楽と狂気をプレゼント。やがて青白い閃光が収束したとき、神原は静かにその場に崩れ落ちる。
 誰がどう見ても死んでいる。だが、

「……ほ……の、か……」

 掠れて聞き取れない言葉と共に、神原は顔だけ起こして四人を見る。焦点の合わない目がグラグラと揺れ涙の代わりに血を流していた。
 彼は、死んだのに生きている。未だ何かに生かされている。

*神原:使用Eロイス【黒き歓び】


クリンナッププロセス

*神原:使用エフェクト<高速再生>Lv?宣言

>使用エフェクト<高速再生>
[Lv]×10点HP回復。エネミーエフェクト。



GM:今回何点HPが回復したのかは公開しません。これで1ラウンド目を終了する。

ルカ:で、何で復活したのか記載しなかったよな……。

羽月:……【不滅の妄執】、か。

夕月:うわぁ……これ姉さんロイス切っちゃったから厳しいんじゃない?

凛:えーっと……【不滅の妄執】……(上級ルールブックを見る)簡単に言うと条件を満たすまで死ななくなるEロイス、ってことか?

羽月:大体そんな感じだな。

ルカ:やべぇよ……やべぇよ……。

GM:それじゃあ楽しい楽しい2ラウンド目に移ろうか!



セットアッププロセス

*使用エフェクト・行動が無い為省略


イニシアチブプロセス

*神原:使用Eロイス【さらなる絶望】。


 次の瞬間。ばしゃり、と言う水面を叩くような濡れた音が辺りに響き渡る。<ワーディング>の張られた空間に見合わない音に思わず四人の視線が音のした方に集まった。
 ずるり、ずるり、ばしゃり。足を引きずっているような、不思議な足音は徐々に近づいてくる。そして、それは姿を表した。

「う……ぁ……!!」

 声にならない悲鳴をあげながら伊月は酷く引きつった表情で後ずさる。恐怖と絶望に顔を歪めて、唇をわななかせながら何かを言おうとするが声が出ない。

 そこには、安藤ほのかが立っていた。
 反転し白目を晒した濁った目に、骨が折れて肉と皮でぶら下がった首。口や目、耳から血が流れ出しておりどう見ても死んでいる。その唇は細かく痙攣する様に何かを言っている様にも見えた。


>伊月:聞こえた? <知覚>難易度5
  →20(成功。判定値19+<知覚>1)


 そして、すぐそばに居た伊月の耳にはその言葉は全て届いてしまう。

「……くう、や、くん……じゅ、んくん……くうや、くん……じゅんくん……くうやくん、じゅんくん……くうやくんじゅんくんくうやくんくうやくうやくうやあああああああああああ、あああああああああああああああ」

 耳に入るだけで、それを言葉と認識するだけで正気を削られる様な、人の物とは思えない狂った言葉が伊月の理性をズタズタに割いて行く。もう彼女は正常な人間などでは、無い。
 そんな安藤の姿を神原は視認し、その顔に絶望めいたものを浮かべる。そう、絶望。
 護るべき者が壊れはてた姿を目にした、絶望。


*安藤:使用Eロイス【絶対拒絶】
>使用Eロイス【絶対拒絶】
エンゲージした人間は即座に侵食率が1D10%上昇する。

>上昇判定
1D10 → 3

>伊月空也の侵食率上昇 160% → 163%



ルカ:まさか、【不滅の妄執】の条件って……!

凛:……間違いないな。さて、どうしたもんか……。

羽月:……ところで安藤ほのかの扱いはどうなるんだ?

GM:神原純と同じエンゲージ、かつエネミーとして扱うよ。このターンから行動する。行動順は以下の通りだ。

・行動順
  1,安藤ほのか(行動値20)
  2,椎堂臨(行動値18)
  3,四方坂都(行動値12)
  4,神原純(行動値12)
  5,那智(行動値8)
  6,伊月空也(行動値3)



安藤ほのかのターン

・マイナーアクション
*マイナーアクション破棄を宣言

・メジャーアクション
*安藤:使用エフェクト<コンセントレイト>Lv3+<縛鎖の空間>Lv2+<大地の牙>Lv3+<蝕む赤>Lv4+<要の陣形>Lv3宣言

>安藤:使用エフェクト<縛鎖の空間>
<RC>判定の射撃判定を行い、成功すれば状態異常「重圧」「放心」付与。
>使用エフェクト<大地の牙>
<RC>判定の射撃攻撃を行う。攻撃力[Lv]+1、回避に1個のダイスペナルティ。接近距離不可。
>使用エフェクト<蝕む赤>
<RC>判定の射撃攻撃を行い成功すれば状態異常「邪毒」付与。



羽月:バ、バステ専……だと……!?

夕月:させない! <ジャミング>を宣言! その判定、ダイスを3個減らしてもらうよ!

>那智の侵食率上昇 151% → 155%

GM:さぁて、避けられるかな!? 対象は別エンゲージの3人だ!

凛:<神の眼>発動!

夕月:……姉さんをカバーリング!

羽月:……いいのか?

夕月:支援無くても、何とかなりそうだし。このメンバーのなかでダイスロールが要らないのは僕だ。火力が低いのも僕だ。なら、カバーリングに回った方がいい。

>椎堂臨の侵食率上昇 150% → 152%


>安藤ほのかの命中判定 <RC>
  →21(判定値21)
>椎堂臨の回避判定 <知覚>
  → 19(失敗。判定値18+<知覚>1)

>ダメージ判定
3D10+4 → 23!


GM:それじゃあ、食らった連中は真っ赤な茨に雁字搦めに縛り上げられてもらおう。



 次の瞬間、アスファルトが割れて隆起し地面の下から無数の真っ赤な茨が少し離れて立つ三人目掛けて伸びる。

「都っ!」
「クソッ……!」

 その光景を見るや否や那智は都を庇う様に立ちはだかり、茨を全て受け止めた。

「ぐ……!」

 押し殺し損ねた悲鳴が漏れる。茨は想像以上の力を持って那智の両足と首を締め上げていた。
 足が微かながら地面から浮き、両手で首の茨を掴まなければ呼吸すらままならない。茨の棘が手や脚を襲い、全身の肌をズタズタにされるような痛みが走った。痛みと毒、そして窒息により意識が遠のく。

>那智:「神原純」のロイスをタイタス昇華して復活。
>那智の残りロイス:3人
>HP回復量
1D10 → 9

「那智!?」
「……っ!」

 すぐさま駆け寄り茨を引き剥がそうとする四方坂に、辛うじて意識を繋ぎとめた那智は微かに笑って見せた。

「……!」

 演技すらも剥がれた、苦し紛れの笑み。自分は構わないから目前の敵に集中しろ、言葉すらまともに発せない状況での精一杯の強がりだった。
 どうやら毒まで持っていたらしく視界が不鮮明に歪む。意識が朦朧として体の末端が痺れて行く感覚。

 何故だろう。何故か、ほんの少しだけ。救われた気分になった。
 彼女は、伊月を攻撃しなかった。ただそれだけで、ほんの少しだけこのどうしようもない物語に救いを見いだした気になれたのだ。
 そしてもう一方では椎堂も茨に締め上げられてもがいていた。拘束されているのは両脚のみなので条件は那智よりもマシだが、毒の効果か時折ふらついている。
 だが、それはあくまで見た目上での話だった。何度も抵抗を繰り返した為か脚の骨を砕く程の力で締め上げる茨の痛みに、椎堂の意識は遠ざかりかける。

 その瞬間、過るのは昔の記憶。
 無残な骸に変わった友人だったモノ。それは全て、裏切り者の仕業だった。
 信じていたのに。仲間だと、親友だと信じていたのに。結局、あいつにとってそんな感情ですらも手駒に過ぎなかったのだろう。
 裏切り者の最後の嘲笑が脳裏に焼き尽く。そうだ、俺は、まだこんな所で、


>凛:「仇」のロイスをタイタス昇華して復活。
>凛の残りロイス:4人
>HP回復量
1D10 → 8


「死んで……死んで、たまるかよぉお!」

 こんな所で、死ぬわけにはいかない。
 皮肉にもそんな感情が、仇への憎しみだけが今の彼女を生かしていた。

「椎堂!? 那智!?」
「伊月、動くなぁ!!」

 反射的に二人の元に駆け寄ろうとした伊月を制したのは四方坂だった。冷徹な上司としての仮面が剥がれた、ごく普通の少女としての悲痛な声を響かせる彼女に伊月は思わず脚を止める。

「お前は、お前のやるべきことをやれ! 安藤ほのかは俺が何とかする!」

 追い詰められた、泣き出しそうな彼女の声に伊月は歯を食いしばり再び現実に向き合う。
 血塗れで地面に倒れ伏したまま目以外動かせない親友と、壊れた虚ろな目で伊月の名を呼び続ける幼馴染。……終わらせよう、何もかも。


イニシアチブプロセス

*安藤:使用Eロイス【怯えのまなざし】

>使用Eロイス【怯えのまなざし】
使用者に対してロイスを取得している者は状態異常「暴走」を受ける。


 不意に、伊月は。ほのかと、目があってしまう。
 純真無垢な黒いどんぐり眼。見慣れた目の、はずだった。
 だが今やその目から汲み取れる物は無尽蔵に湧き出す恐怖と絶望。他人までも侵食してなお止まらない狂気に満ちた怯えと恐怖が伊月の心までもを侵食して行く。

「う……あああああっ!」

 ただ純粋な恐怖に、伊月は絶叫する。怖い、怖い、恐ろしい。何に対して恐怖心を抱いているのかすら分からないまま叫ぶ。
 安藤ほのかを早く*さなければならない。だってそうすればこの恐怖から開放されるのだから。


椎堂臨のターン

・マイナーアクション
*椎堂:使用エフェクト<主の恩恵>Lv3
・メジャーアクション
*椎堂:使用エフェクト<コンセントレイト>Lv3+<見えざる死神>Lv3+<小さな塵>Lv2

>椎堂臨の侵食率上昇 152% → 160%


「クソったれ……ッ!」

 耳に入るのは伊月の絶叫に近い悲鳴。何を見たのかは椎堂には分からないが、ともかくこの茨から脱出しない事にはどうしようもない。だがいくら振り払おうとしてもぎっちりと棘を食い込ませた茨には指を差し入れる隙間すらなかった。それ以上に毒でも持っていたのか気が緩めば武器を取り落としそうになる。
 一方隣で宙吊りにされている那智は意識を保つだけで精一杯のようでマトモな支援も望めそうにない。 次に攻撃が来た時に避けれるかどうかも怪しい状況だ。

 霧散しそうになる意識を掻き集め、敵を睨む。前と同じ威力は決して望めないだろう武器を構え、神原目掛けて射抜く。


>椎堂臨の命中判定 <射撃>
  →64(判定値60+<射撃>4)
>神原純の回避判定 <回避>
  →23(失敗。判定値16+<回避>1+【黒き歓び】)


 そして放たれる光は、何の躊躇いも無く神原を射抜かんとしたその瞬間。
 時が、止まる。カチリ、と言う時計の針が動くような音だけが周囲を満たす。
 止まった時の中、椎堂はゆっくりと安藤を見る。そして、目があった。

 ゆ、る、さ、な、い

 ただ視線だけでそう訴える彼女に椎堂は歯噛みする。
 そして、時は動き出す。光の奔流はすでに消え去っており、攻撃の手段は残されていなかった。


・オートアクション宣言
*安藤:使用エフェクト<時の棺>
*安藤: Eロイス【ありえざる存在】

>使用エフェクト<時の棺>
一度だけ相手の行動を阻害するエフェクト。ただし難易度自動成功のエフェクトには使えない。侵食率が100%を超えなければ使用不可。
> Eロイス【ありえざる存在】
取得していないシンドロームから制限付きのエフェクトを一つ所有できるEロイス。


四方坂都のターン

・マイナーアクション
・マイナーアクション
*四方坂:使用エフェクト<雷の加護>Lv2

・メジャーアクション
*四方坂:使用エフェクト<雷攻撃>Lv2+<雷の槍>Lv5+<解放の雷>Lv3+<コンセントレイト>Lv3


>四方坂都の侵食率上昇 147% → 159%


「……神原。お前は、そんなモノを守りたかったのか?」

 呻く様な四方坂の呟きに、神原は答えない。
 雨の音がやけに煩い。そんな大雨が降っているわけでは無いのに、跳ねる雨音は彼らを掻き消してしまいそうで。

 安藤ほのか。伊月が殺したはずの少女。
 ……彼女に罪が無いのは知っている。だが、彼女はもう生かしてはおけない。


>四方坂都の命中判定<RC>
  →40(判定値36+<RC>4)
>安藤ほのかの回避判定 <回避>
  →9(失敗。判定値9)

>ダメージ判定
5D10+22 → 43


 そんな彼女に向かって、収束させた電撃を放つ。青白い電撃は何もかもを焼き尽くし、視界すらも白く塗り潰す。
 彼女が何を恐れ、何が原因で狂ってしまったかは誰にも分からない。それでも、恐怖からほんの少しでも救ってやる方法がこの手にあるのなら。
 ……そんなモノは自分の心を守る為の言い訳に過ぎないと分かっていた。分かっていても、そう思いたかった。この救いようの無い物語にほんの少しでも救いが欲しかった。

 どうしようも、ないのだから。四方坂は“猟犬”で、「猟師」にはなれない。獲物を引き裂く事しか出来ない駄犬に赤ずきんは救えないのだ。

 電流の残滓が消え、数秒の沈黙が流れる。そして、安藤ほのかはゆっくりとその場に崩れ落ちた。
 もう、起き上がる気配は、無い。


*安藤ほのかの死亡により伊月の状態異常「暴走」は解除されました。


神原純のターン

・メジャーアクション
*神原:使用エフェクト<解放の雷>Lv3+<サイレンの魔女>Lv5



凛:あ、くっそ……メジャーアクション消費しちまったからカバーリング出来ねぇ……。

夕月:僕も行動不能……か。

羽月:ふむ……するとロイスが2枚になるか。いや、<砂の結界>発動してカバーリングでも入れるか?

ルカ:いや、これ以上侵食率上げない方がいいと思うぞ。

GM:ああ、言っとくが安藤ほのかの攻撃を食らった二人は戦闘終了時のクリンナッププロセスで必ず「邪毒」のダメージを食らってもらうからな。

凛:うげ。

夕月:それはいいとして残りロイスが3枚になるね……本当に限界が見えてくるかな。しかも僕ら避けれないよね、演出的に考えて。

GM:一応このターンの間は茨は出現しっぱなしだしな。

ルカ:じゃあ動ける二人で駄目元で避けてみるか。

羽月:だな。



>神原純の命中判定 <RC>
  →33(判定値27+【黒き歓び】)
>伊月空也の回避判定 <回避>
  →17(失敗。判定値16+<回避>1)
>四方坂都の回避判定 <回避>
  →10(失敗。判定値9+<回避>1)

>ダメージ判定
4D10+21 → 44!



ルカ:「神原純」のロイスをタイタス化……これで残りロイス3人か。

羽月:俺らよりマシだっつの。「恩人」のロイスをタイタス昇華。

夕月:安藤ほのかにポジティブ同情ネガティブ脅威でロイス取得、タイタス昇華。厳しいね。

凛:切る相手が見当たらない……じゃあ「境界線」にポジティブ執着ネガティブ嫌悪でロイス取得。即タイタス化で。


>HP回復量

伊月 1D10 → 6
椎堂 1D10 → 8
四方坂 1D10 → 5
那智 1D10 → 2



 神原の咆哮は絶望か悲嘆か。地面に崩れ落ちたまま動かない安藤を凝視し、
 そして、声にならない声が再び四人を引き裂く。

「……もう、いいんだ」

 ズタズタにされた体で、血を吐きながら立ち上がり伊月は微かに笑った。痛みと悲嘆に歪んだ、悲痛な笑顔で、神原に言った。

「終わりにしよう」

 十二年。十二年間、一緒に過ごした。でもそれも今日でおしまいだ。
 納得は出来ないが心の整理は付けられた。自分に言い訳をする準備も出来た。あとは、自分の手で終わらせるだけ。

 純へ。
 ありがとう。楽しかった。本当に、毎日楽しかった。馬鹿な事もした。二人で何度も怒られた。でも、全部楽しかった。
 ごめん。護れなかった。気付けなかった。助けられなかった。約束、守れなかった。本当に、ごめんな。

 ほのかへ。
 ありがとう。こんな俺を慕って、一緒にいてくれた。嬉しかった。幸せだった。妹が出来たみたいで、楽しかった。
 ごめん。気づいてやれなくてごめん。未だにお前が何に怯えていたのかも分からない馬鹿でごめん。俺、お前のヒーローにはなれなかったよ。


伊月のターン

・マイナーアクション
*伊月:<破壊の爪>Lv2宣言

・メジャーアクション
>伊月:使用エフェクト<コンセントレイト>Lv3+<獣の力>Lv3+<音速攻撃>Lv3宣言

>伊月空也の侵食率上昇 163% → 171%


>伊月空也の命中判定 <白兵>
  →59(判定値55+<白兵>4)
>神原純の回避判定 <回避>
  →17(失敗。判定値16+<回避>1)

>ダメージ判定
6D10+23 → 64!


GM:……!



GM:…………。

ルカ:……ゲームマスター?

GM:回復量、60だよ。



 伊月の拳は轟音を立てて神原の体を吹き飛ばし、彼は数メートル程吹き飛ぶ。
 そして、もう、動かない。

 <ワーディング>が霧散して行くと同時に椎堂と那智を捕らえていた茨も支えを失ったかのようにズルズルと土の中に引き込まれて消失し、二人はその場に崩れ落ちて意識を失った。
 四方坂はすぐさま二人の脈拍を確認し、伊月に無言で無事を伝える。那智は当分目を覚まさないだろうが、椎堂はすぐにでも戻ってくるだろう。目覚めてからしばらくは立ち上がれないだろうが。

 一方、伊月は自分が止めを刺した神原の死体から目が離せない。
 無残な、それでも微かに笑ったまま死んだ幼馴染。親友を、幼馴染を同時に二人も失った喪失感。
 とっくに空洞になった胸をさらに深く喪失感が抉り、まだ中に何か残っていたんだと言う空虚な思いが取り留めもなく過る。
 覚悟はしていた。でも、いざ目前にすると何も考えられない。別れの言葉ぐらい手向けとして言いたかったのになにも言えなかった。
 黙ったまま、ほのかの亡骸を抱き上げる。雨に濡れて冷たくなった躯は思っていたよりもずっと軽かった。そして、純の隣にそっと寝かせる。

「……ごめんな……」

 ごめん。本当にごめん。こんな終わり方しか出来なくてごめん。
 俯き、二人の亡骸の前に座り込んで動かない伊月の後ろ姿を見つめていた四方坂に声が掛けられる。

「……都、さん?」
「後片付けは、俺がやる。どうせ俺しかやるやつはいないんだから。お前はそこで大人しくしててくれ」

 そう言ってため息をつく四方坂をしばらく見ていた椎堂だったが、不意に空を見上げて呟いた。

「雨……止んだな」
「……本当だ」

 雨の止む頃に、物語は週末を迎えた。




おまけ。楽しいレネゲイド教室。


GM:めっちゃ長くなったぁぁぁぁ!! あいどうも、ゲームマスターです。長過ぎてサーセン。
  え? ルカの侵食率? 一応生還できるとは思いますよ(遠い目)。


・シナリオに関する苦情


GM:まぁ確かに過激だし鬱展開も多いシナリオですけどね。いいじゃないか、ゲームだもの!
  今回はEロイス分のバックトラックボーナスで全員生還させる手のシナリオにしてみました。管理が辛かった……。


・羽月さんの自殺行為について。


GM:あれは友人が実際にやった事を再現しました。
  というかぶっちゃけあの行動がなかったら戦闘が3ターンぐらいになってたと思います。あの状況では普段の火力じゃどう足掻いても削り切れません。


・那智のカバーリングについて


GM:あれも友人が実際にやった行動です。判断としてはあながち間違ってはなかったと思いますよ。
  羽月さんはダイスの少ない射撃型ですので「放心」のバッドステータスでダイスペナルティを食らうと戦力がガタ落ちになるんですよね。その点椎堂は「戦闘用人格(デュアルフェイズ)」のお陰でなんとかなりますし。


GM:他にも質問等があればご自由にお寄せください。
  次回! バックトラックとエンディングフェイズ! 更に経験点配布を行います! 
  待て最終回!

ダブルクロスお試し企画7

「ダブルクロス the 3rd edition」は有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチの著作物です。一切の著作権はF.E.A.R.に帰属します。

※サムネイル画像はCROSSRED MATERIAL(http://cross.x0.com/red/)様よりお借りいたしました。

ダブルクロスお試し企画7

特待生たちはダブルクロスをプレイするようです。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • アクション
  • ホラー
  • 青年向け
更新日
登録日
2014-07-08

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work