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私がいくら痩せて綺麗になったって、
彼が私に振り向いてくれることなんて絶対にない。
絶対ないのにこうやって今日も私は
サラダだけの朝ご飯を食べている。
午前8時半。
土曜日の朝はあまり面白い番組をやっていないから
テレビはつけない。
ていうか最近テレビが全然つまんなくなってきて、
彼の出る音楽番組以外はほぼ消してる。
いつものように彼の音楽を聴きながら、
私はサラダを食べている。
今月中にあと5キロは痩せたい。
同担の睦美が6キロも痩せたから。
負けてられない。
ていうか張り合ってなんになるってもんだけど。
まぁ、それはどうでもいい。
彼の容姿、気取らない話し方、ファンへの接し方、
演技、歌唱力。
すべてが大好きだ。
4年前からずっと見てた。
見てるだけの恋なんてつまらないとおとなたちは
言うかもしれないけど、
意外とそうでもないってこと、
教えてあげたい。
教えないけど。
最後のプチトマトをつまんで口に入れる。
じゅ、っと中の果肉が口に広がる。
・・・まずい。
ほんとはサラダなんて、
ていうか生野菜なんて大嫌いだけど、
睦美がそれで痩せたんだから私も痩せるはずだ。
今日は何をしよっかな・・・
ぼんやりと考える。
夕方からはバイトだから遊びには行けないし、
睦美と会ってもなんだか自分が情けなくなるから
今は嫌だ。
なんであんなに激痩せしたんだろ。
「彼のこと考えても飯は入るし。てか飲めるし」
そんな子だったのに。
痩せて綺麗になってちょっとあか抜けた睦美に
会うのが辛い。
だって脚とか超細くなってるし。
前は私より太かったのに。
ぐぅ。
お腹が鳴る。
この体という容れ物に、
入れては出して、入れては出して。
その繰り返し。
こんなに努力をしていても、
彼はそんなこと知りもしないのに。
でも、頑張ってしまう。
こんなにこんなに好きでも、
彼は私の存在なんか知りもしないのに。
でも、それでいい。
なんかよく口で上手く説明ができないけど、
今の私がそれでいいって言ってるんだから
多分それでいいんだと思う。
その人にとっての真実が誰かにとっては違う
こともあるけど、
それは別の人間だから仕方がないと思う。
自分がどう思ってどう感じどう行動するか。
他の人のことは知らないけど
私の生き方はこうだ。
はぁ。
お腹が減った。
とりあえずダイエットコーラを買いに、
コンビニにでもいこう。



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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-07-07

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND