風と生きた少年
序章
-…緑の山に風がふく するとまるで ”待ちわびた” とでも言うように
一本一本の草たちが喋り出す。
たが、だんだんとまとまりながら光の波を唄う。
太陽の光が俺の目に移り、喉元を照らして足元の影を作り出して行く
「……ありがとう--、
またな…」
その言葉は風にのって遠くに消えていった…
1話
リリリリリリリリリリ…
-…んだよもぅ。うるせーな…
…
…
…
…
…
… ん?うるさい?
「あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁぁ〜‼︎」
何度目だよ‼︎全く‼︎やばいやばいやばい間に合わねーよ‼︎
「ってあれ?」
「……」
「…ぁ」
今重要な異変に気がついた。
「母さんんん‼︎制服はー⁈」
階段を転げ落ちる勢いで降りたため母さんはすぐに顔を出した
「制服?あ、制服といえばねぇ。わたしこう見えても
セーラー服が似合うって地元で有名だったのよ?」
「え?そうだったの⁈すごいじゃん…………じゃなくて‼︎」
「あ、そうだった^ ^制服だよね?忘れてた☆
そこのタンスに入ってるはずー!」
くそ、今日に限ってテンション高いぞ。
もっとしっかり自分で探せばよかった。なぜ母に聞いた、なぜ俺は普通に感心したのだろうか こうなることはだいたい分かっていたはずなのに
その答えは考えなくてもすぐにわかる。
焦っているからだ。なぜ?いつものことなのでは?
その答えもすぐにわかった。
あと3分で家の前の道にあるバス停につかなければ遅刻が決定する、
いつもならそれだけのことなのだが、遅刻が溜まりに溜まった結果。
今日遅刻すれば、
”地獄のような労働”と噂の掃除付きの下校指導が待っているからだ…
俺は慌てて制服を着てからかかとが潰れたローファーを履き、
時計も見ずに急いで出る。
幸い、バスがちょうど来ていたので
駆け込みギリギリセーフだった。
「ふぅ……。」
間に合った、これで大丈夫だ
バスに何か違和感がある気がするが、これで一安心だと
思わず盛大なため息をつく。
するとゆっくりとバスは動き出した…
風と生きた少年