紅楓

 
燃え尽きし 色紅にその身をば

秋の夕日に翻し 水面に落つる

連れなき 紅葉のはかなさよ

枝に残せし未練を絶ちて


末までもと 供に誓いし仲なれど

逢うは別れの始めとか 人の世は  

長き一夜の 袖を枕に聴く虫の声

時移れば 熱き情けに吹く秋の風


重ねし逢瀬の夢覚めて おくる裳裾の露草に

濡れて悲しや化粧花 せめて散りたや今生の

情けの色のその裏表 見せて楓の舞扇 

紅楓

紅楓

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-07-03

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