落としたシャーペン

二作目になります。
風呂に入っていたらビビッ!ときたとおもったら創作魂がムラムラしだしたので書いてみました。
えっと…前書きってなにを書けばいいかわからないので、これで以上になってしまいます。
こんな短くていいんでしょうか?

世の中には、不思議なことがゴロゴロ転がっている。意外と身近に落ちているが、気づけるだろうか。

「えっと…三年E組か」
大学を出たばかりの新米教師である袴田 元気は一度も留年することなく順当に教師になって、23歳で初めてのテスト監督をすることになった。
責任のある立場に経つということはそれなりに緊張が伴ってくる。
昨日は「生徒に濡れ衣を着せてカンニング扱いしてしまったらどうしよう」とか「自分の目の届かないところでこっそりカンニングされたらどうしよう」とかそんなことを考えてなかなか寝付けなかった程だ。
「よし、行くぞ」
今では覚悟もできている。
元気はペチンっと勢い良く自分の両頬をビンタして、気合を入れてから監督会場となる自分のクラスへと向かった。

試験開始七分前、教室に入ってテストの用紙を封筒から出して準備を整えておく。
「はぁ、」
気持ちは入れてきたがいざ教室に入ってみると緊張する。
ため息の一もつきたくなるものだ。
「一番最初の試験がまさか3年生とは…」
愚痴を言わないとやってられない。
「てゆーかこの学校なに考えてんだ。ペーペーに3年生任せるって、生徒を大切にしろよ」
確か担任決めの日もこんなことを言っていって、同じく3年生担当の先生方に飲み屋に連れてってもらって慰められていた。
そんなことを考えていると
多くの生徒は自分の席から離れて友達のところに行きプリントをながめていた。
「あれ?これそもそもなんの科目だっけ?」
職員室で聞かされてはいたがどわすれしてしまった。
前の席の子が残していった教科書を見ると国語の教科書が置いてある。
それを見て元気は「あぁ、国語か」と一人で納得していた。
そんなことを考えていると試験開始五分前を告げるチャイムが鳴る。
生徒達は一斉に自分の席に戻って教科書やらプリントを片付け始めた。
ペンケースの中から各々シャーペンや消しゴム、換えのシャーシンの入れ物を出してからペンケースをしまう。
なかにはシャーペンと消しゴムを5本ずつ出している生徒もいた。
明らかに邪魔になるだろと思ったが黙って見守ることにする。
この学校ではテスト中にペンケースを出すことは許されていないのだ。
大体全員片付け終わったところでプリントを配ろうとしたらあちこちからヒソヒソと話し声が漏れてきたので一応注意してテスト用紙を配布した。
(しまった、もっとゆっくり配ればよかった。)
後になってそう後悔した。
なんせ配り終えると3分ほど余ってしまい、生徒から伝わってくる緊張に当てられて妙に居心地の悪い3分間を過ごすはめになってしまったからだ。
あまりに気まずいので、その時間は3分というにはやたら長く感じる。
試験開始を告げるチャイムがなるとあちこちで紙をめくる音がきこえる。
教卓のところに戻ってテストが終わるのを大人しく待った。
すると、どこかでペンの落ちる音がした。
早速やったかとおもって行ってみると、思った通りシャーペンが一本転がっていた。
とりあえずシャーペンの落ちていていた位置の斜め前に座っている2人に聞いてみることにする。
「これ、お前のか?」
右の生徒は首を横に振る。
「お前か?」
左の生徒も横に振った。
両方違うようなので斜め後ろに座っている生徒にも聞いてみる。
「これ、お前の?」
左の生徒には横にふられた。
「お前?」
すると、首を横に振る。
右の生徒も違うようだ。
消しゴムならともかくシャーペンが遠くから転がってくるだろうか。
辺りを見回して見るがシャーペンを落として困っている様子の生徒はいない。
それもそうだろう。
シャーペンを取りに行くときに元気は周りの生徒を見回したが、別のペンに切り替えている生徒を見かけなかった。
ないと思いつつペンの落ちていた位置を囲む席をさらに囲む席の生徒、計12人にも聞いてみたがやはり全員から返ってきた答えはNOだった。
考えてもわからないので持ち主が出るのを待とうと思い教卓に戻った。
しかし、いくら待っても出てこない。
試験終了を告げるチャイムが鳴ってもでてこないので解答用紙を集めて全員にきいた。
「このシャーペン落としたやついないかー?」
……
やはり誰も名乗り出ては来ない。
考えてもキリがないので一旦ポケットにしまって教室をでることにした。
3時間目が終わってみんなが帰るときになったらまた聞いてみようと思ったのだ。

2時間目のライティングがおわり、3時間目のリーディングが終わったところでみんなが帰る前に急いで教室に戻った。
みんなまだ帰らず教室に残っていたようで安心したところでペンを掲げてまた聞いてみる。
「なあ、このペン落としたのほんとうにだれだ?」
しかし、教室はなんの反応も示さない。
「その辺で落ちてたんだけど誰か心当たりないか?」
と聞いてみると
「その辺で落ちてたんならその辺の人のじゃないんですかー?」
と言う声があがった。
「だれか知らないか?」
落ちてたあたりの席の生徒に聞いてもさっきと同じで返ってきたのは沈黙のみだ。
中には首をかしげている生徒もいる。
「じゃあ、落し物箱の中に入れておくから、だれか自分のだってやつとっておけよ」
誰も名乗り出る気配はないのでとりあえず落し物箱に入れて今日は解散した。
「おれ、疲れてるのかな」
ため息をついてその場をさり、ある程度仕事をしてから学校を出て家に帰った。

つぎの日、まだ生徒も来ていなような時間に学校に来て仕事をしているとふと昨日のシャーペンのことを思い出した。
元気は3年E組の自分のクラスにいって落し物箱を確認すると、昨日のシャーペンは無くなっていた。
「だれかシャイなやつがあの場じゃ言い出せなかったんだな」
そう思うと、気分は晴れて、頭に引っかかっていた謎とともに朝の妙なかったるさは消えていた。
しかし、その日の二時間目。
選択科目でみんなクラスが別々になり、3年E組には世界史Bの選択者が集まってテストを受けていた。
ボーっとしてテストが終わるのを待っているとガシャンという大きな音がした。
音のした方へ向かってみるとカンのペンケースとその中身と思われるものが散乱していた。
散乱したものの中には昨日のシャーペンもあった。

落としたシャーペン

自分の中ではもうちょいさくさくっと終わるかと思って書いてみれば1時間半か2時間くらいかかってしまいました。
親がご飯の合図を全然してこないと思ってまだ7時くらいなのかと思っていたら7時半。
いつもはもっと早く食べられるのに今日はあんまり遅いのでびっくりしてます。

落としたシャーペン

新米教師がシャーペンの主を探すも誰も名乗りをあげません。

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-07-01

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