殲眩のディセングラー
主人公のリヒターが様々な戦いを行い、終末へと向かう時間が微睡むファンタジー(?)
第一話「夢のような」
ーーーーーー|リヒター|ーーーーーーーー
「何だ…一体なんなんだ…これは…」
焼き尽くされた街、彼は其処に一人佇んでいた。
「っ…!」
何だ、夢かと思い、窓の外を見る。普段と同じ、眩しいくらいの晴天だった。ここは地球、まだ人以外の者が生きていた時代だ。
酷い夢だ。 俺はそう思った。
俺の名は、リヒターJアルトリア、魔導協会学園マチディアン実技科の3年生だ。親が消息不明になり、魔導協会に引き取られた。
その時、コンコン、とドアを叩く音がした。
「リヒター、起きているか?」
と言いながら入って来たのは、赤い髪に黄色の目、そして特徴的な尖った歯を持つ長身の男だった。彼の名はルドルフSダイダロス科学実技科の3年だ。何故かこの学園は魔術だけで無く科学にも対応して居る。
「何か様か?」
「いや、大した事じゃ無いんだが
朝飯でも食わないかと思ってな。」
「…そうか、ならちょっと待ってくれ。」
かすかな薔薇の匂いと共に、俺は制服を着ていた。
時間操作、これは俺が最も得意とする魔法の分野だ。
マチディアンの寮の者のみが利用出来る食堂に着き、席を確保する。
「リヒターは日替わりの…cでいいよな」
ルドルフがそう言いながら俺の分も注文しに行った。ついでに言っておくが、これは別に行かせてる訳では無いし、この食堂はマチディアン学生のみ無料となっている為、問題は無い。ルドルフが買いに行っている間にニュースを確認する。
「先日12日、エンラージの地下鉄で、大量の魔素が発生し、かなりの被害が出た模様です、目撃者曰く
黒い霧の様な物を纏った人影が見えたとの事ですが、精神状態が安定していない事から、確かな情報かは不明だと言う事です。続いて…」またか、と思う。最近頻繁に発生している謎の現象だ。何故この様な現象が起きるのか、俺の知る限りでは何者かが故意に起こす以外ではこの様な事はないはずだ。
しかし、こんな事をして、誰が得をする。医者か?今の技術力では魔素漬けになった人間を助ける事は出来ない。つまり、残るは魔素を原動力としている「魔神」くらいとなる。
だが ーー
「リヒター、急げ、授業に遅れるぞ。」と、いつの間にか戻ってきていたルドルフが言った。いつの間にか買って来ていた様だ。確かに、急がなければ、遅れてしまう。さっさと食べ終え、授業に向かおうとした時、
「ん?」
魔素の流れが変わった様に感じた「どうした、リヒター?」
「いや、気のせいだろう」
魔導協会なのだからーーと俺は疑問にも思わなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、授業中にそれは起きた。俺は実技専門だから、基本的に外で魔法の練習だ。
「ッ…!?」
異常な量の魔素が俺に飛んで来た。それを間一髪でよける。
「なんだ!?」
魔素の飛来した方向を見ると、其処には、人の形をした者がいた。いや、正確にはそこに「あった」と言うべきだろう。
それは、体の形すら曖昧な、もしかすると人の形かもしれない、くらいのただの「暗闇」だったのだ。
その後は一瞬だった。街が闇に覆われ、マチディアン関係者ーーそれも極少数のーー以外は魔素漬け状態になり、高濃度の魔素により、建築物は焼尽くされた。その様子は、さながら、世界の終わりの様だった
「何だ・・・一体何なんだ・・・
これは」
その疑問に答える者はいない。とその時「暗闇」が目の前に現れ、俺を呑みこもうとした。
その瞬間、「はあァァァッ」と言う雄叫びと共に「暗闇」をとてつもない風が叩きつける。すると、「暗闇」は攻撃をして来た相手を一瞥すると、悔しそうにうねり、消えた。
その後には、「暗闇」を撃退した
女性とリヒターのみとなった。
女性は緑の髪に青い目の19歳くらいの姿だった。
「大丈夫?」
と彼女が聞いて来る。
「すまない、助かった。」
「良かった。あそこまで接近された人は皆魔素にやられてしまったのだけれど、貴方は助かった見たいね。何故かしら?」
「俺はマチディアンの学生で魔法障壁を張る事が出来る。それに龍族と精霊のハーフだから魔素に対しては耐性が高いんだ。」
「そうなの…私が貴方を探知出来たのは、貴方が異質な魔素を出していたからなのだけれど、もしかして貴方、邪神に狙われた?」
「邪神?あの「暗闇」の事か?なら確かにいきなり俺に攻撃してきたな。」
「ええ、貴方の言う暗闇は邪神と呼ばれる正体不明の物質よ、しかし、奴に狙われるということは…」
彼女はそこで言葉を切った。
そして、何かを覚悟した様に言った
「貴方がリヒターね」
「ああ、そうだが、何故俺のーー」
その時、近くで爆発の音がした、しかし、彼女はそれを無視し、話を続けた。
「リヒター、貴方は将来、世界にとてつもない変化を与えるわ。それが何かは、私には分からない。でもーー」
その後は、よく聞こえなかった。彼女は俺に背を向けると、その場を立ち去ろうとした。その背に、俺は一つだけ、こう言った。
「待て、君は一体何者だ。」
「私はティアル、風を司る「精霊」よ」
と彼女は言うと、風になり、消えた。俺がその場に突っ立っていると、奥からルドルフが走って来た。
「リヒター、大丈夫か?」
「ああ、問題ない。お前は?」
「こちらも咄嗟にシェルターを閉めたから殆ど魔素は入って来てなかったから大丈夫だった。しかしリヒター、これはどう言う状況だ?」
「最近ニュースでよく見かける大量の魔素が発生する事件みたいなものだ。まさか、ここまでとはな。」
「そういう事か、これは…厳しいな。」「全くだ、この後どうするかな」そう言うと、俺達はシェルターが閉められている場所へ向かった。ーーーーーーーーーーーーーーーー
<…ヒター、リヒター!>
メアリーと言う俺を補佐する精霊が俺の名前を呼んでいた。
<どうしました?ぼー、として居ましたけど…?>
「ふふ、ちょっと昔の事を考えていてな…」
ティアル、か。懐かしいな。あの後、この中立軍に拾われたんだっけな。
「メアリー、部屋に戻るぞ。」
微かに クスクス と風が笑った様に感じた。
ーーーーーーーー終ーーーーーーーーーー
第二話「新たな世界」
ーーーーーリヒター視点ーーーーー
あの後、俺とルドルフはシェルターに行ったが、シェルターは瓦礫に埋れてしまって居た。その為、先に食糧の調達をすることになり、結構無事だったマチディアン学生寮の食堂いくと、何と普段俺達の食事を作ってくれている食堂のおばちゃんが……立っていた。おばちゃんは普段通りに食事を作ってくれた。あの人は一体何者なんだ?俺達はその後おばちゃんがくれた食糧を持ち、シェルターの瓦礫の撤去を試みた。しかし、一向に進む気配は無く、生存者の探索に向かった。その結果、マチディアンの教師数人、一般人が見つけた限りでは数十人、それとメアリー・A・エルトリーゼだった。その後、瓦礫の撤去作業は続けたまま、2日がたった時、軍の偵察機が飛んで来た。その時ルドルフが偶然所持していた発煙筒を使った為、俺達はその後救出された。軍は俺達を救助した後、俺とルドルフが龍族とイプシロンだと知ると、俺達を兵士として軍に招き入れた。それからは流石に龍族とイプシロンは強く、すぐに特殊部隊ファントムハウンドに配属された。メアリーは俺達が兵士になった後、軍に自ら志願し、俺達よりは遅かったがファントムハウンドに配属された。
ーーーーーーー現在ーーーーーーー
部屋に戻ると、机に一枚の紙が置いてあった。
[第二部隊が魔物の討伐に苦戦している。第一部隊は山岳部に行き、第二部隊を援護せよ]
最近はこんな任務ばかりだ。とりあえずルドルフを探そう。
ーーーーーー数分後ーーーーーー
「あいつ、一体何処に居るんだ…」
行きそうな場所を探したがさっぱりだった。後あいつが居そうな場所はドックか…武器庫かだ。
武器庫は銃の点検をしているかも知れないが、多分夜に終わらせて居ると思うから、ドックに行くか。
ドックに着くと、いつも通り汗だくで働くメカニック達がいた。その奥で一際目立つ、白と金の身体に赤と黒のラインが引かれた機甲兵器が見つかった。その上で、ルドルフがアクティブデコイにの点検でもしているのか射出口を覗いていた。
「おい!ルドルフ!任務だぞ!」
俺が声を上げて呼ぶと、ルドルフはひとっ飛びで降りて来ると
「任務?今回は何だ?」
と言った。やはり俺以外には知らされていない様だ。
「今回は第二部隊の援護だそうだ。」
俺はそう言いながら命令書をルドルフに見せた。
「魔物の討伐?この程度の任務を完遂出来ないのは流石に不味いぞ」
「ああ、俺もそう思う。」
「まあいい、リヒター、ちょっと待ってくれ。」
そう言うとルドルフは着替え室の中に入って行った。
ーーーーーー数分後ーーーーーー
「リヒター、待たせたな。」
そう言いながらルドルフは手に何かを持って戻って来た。
「ルドルフ、それは何だ…」
ルドルフが持っていたのは冷水の入った霧吹きと濡れタオルだった。
「ん…?ああ、すまん。お前らはこれが嫌いだったな。」
ルドルフの言うお前らと言うのは龍族の事を示す。龍族が何故霧吹きや濡れタオルを嫌うかと言うのは、耳が熱い物や冷たい物に敏感な為、このような物が当たると酷い感覚を味わう事になる為だ。
「まあいい…とりあえず準備は出来たのか?俺はもう行けるが」
「ああ、後はこのエスティアを起動するだけだ。」
そう言うとルドルフは自分の横に置いてある機甲兵器を叩いた。
「エスティア?この機体の名前か?」
「ああ、他の機体と同じではつまらんだろう?」
「ああ、そうだな。」
などと話して居ると
「通達!第二部隊が戦闘しているのはタイタンと判明!第一部隊は早急に現地へ向かい、敵を殲滅せよ!」
と通達が言った。
「ッ…!タイタンか!」
タイタンとは堕天使の魂の破片が密集し、出来上がる魔物の事を示す。
「リヒター、行くぞ!」
「ああ!」
その後、第一部隊を集め、出撃した。そして辿りつくと、そこに
ーーーーーーー終ーーーーーーーー
殲眩のディセングラー
第一話「夢のような」自分では好きな様に書いた感じなので読んで貰えたら最高!と考えて居ます。出来ればこのまま第二話も書くつもりで行くので、よろしくお願い申し上げます。