蠢く

書きためていた小説を小出しに発表させていただきたいと思っています。
作品の更新は不定期です。
なるべく週2ペースで更新していきたいなと思っています。

蠢く

雨の音が聞こえる
シャワーのように降りしきる雨は、風にあおられ細かく窓ガラスを叩いている。
窓際のベッドで眠るオレはその音を耳にして、まどろみから目覚めた

起き抜けの気だるさからか、まぶたが異様に重く感じる

額に腕をあてがい、大きくため息をついた。
ボンヤリとした意識の中、眼前の天井を眺めた。天井には、窓から差し込む淡い光によって濃い影が作り出されている。
横目で窓の外を眺めると、空は一面灰色の雲に覆われていた。
あたりは日が暮れたかのように薄暗い。夜まで眠ってしまったのだろうか?

(しまったな、今日は午後から出かけようと思っていたのに・・・)

今朝は異様な気だるさを感じさせられた。珍しく早起きしたというのに、いつまで経ってもベッドから起き上がる気になれず、1時間ほどもんどりを繰り返し、やっと朝食を取ることが出来た。しかしその後も何をする気にもなれず、再びベッドへと舞い戻り、惰眠をむさぼるに至った。それがだいたい10時頃だった。

(今、何時だろう?)

この部屋には壁掛けの時計はない。
オレは寝返りをうち、体を横たえた。ベッドの傍らには小さな座卓がある。細い茶色のパイプの脚に、ガラス板の天板を乗せた、ヒザほど高さの簡素な座卓。その上に置時計があるはずだ。30cm四方ほどの小さな座卓の上には、読みかけの本、メモを取った用紙に筆記用具、ゲーム機のコントローラーに攻略本、マンガ雑誌、菓子袋などが所狭しと置かれている。
オレは座卓の上にあるはずの置時計を探した。時計はどうやら座卓の奥、菓子袋の裏にあるらしい。オレは腹這いになったまま目一杯伸ばした手で、邪魔な菓子袋を払い落とし、置時計をつかみあげると手元へ引き寄せた。
座卓から落ちた菓子袋は、まだ中に残っていた菓子屑を吐き出し床へとまき散らす。オレは意にも介さず、時計の薄くにじんだ液晶画面へと目を落とす。

(一時半・・・)

どうやらまだ昼過ぎらしい。思わずホッと安堵の息が漏れる。外出するにはまだ充分な時間がある。あと問題は天気だけだ。相変わらずとめどなく降る雨音が背後から響き、耳の奥でこだまする。しかしながら少雨らしい。入り梅雨のこの頃、しだいに雨脚が弱まることも期待できる。
オレは気だるい意識にカツを入れ、ベッドに片肘をつき、ベッドの背もたれに寄りかかる。
そして雨水に濡れて歪んだガラス戸越しに、窓の外の景色を眺めた。



< 続 >

蠢く

蠢く

  • 小説
  • 掌編
  • 成人向け
更新日
登録日
2014-06-29

Copyrighted
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