ドロップの想い出
ドロップ
"あの日"は雨だったか、いや晴れだったかー…
ガタンゴトンーからんころんー
カ ワ イ タ オ ト
列車の音と二人のドロップの音…
15年経った今でも覚えている"あの日"…
ー2116年ー
そう"あの日"もドロップを持っていた。
私が好きだったのは苺味だっただろうか。林檎味だっただろうか。何味だっただろう。
「るみー…るみー…」
何かいつもと違う?パパっー!?だよねー?ぜったーいパパだー!!私はドロップ片手に二階からかけ降りた。四歳の私が気づくわけなかった。
「ぇ…」
そこには血を吹いて倒れている母と生きた顔をしていない父、そして「自殺…」と言う姉。
次の瞬間
「ピーンポーン」
と家のインターホンがなり、青ざめた顔で姉が出た。
「はい…警察の方ですよね。」
「はい。」
家を覗いてこういった。
「どうみても自殺ですね。まあ、突然のことでまあ、あれですけど、すぐ立ち直れますよ。お父さんはほら、まあ、あれ、だから、、」
先程まで淡々と語っていた顔が父の様子を見てとまどったようだった。
しかしすぐ、私と姉のほうをみながら
「ーだから君たちが何とかするんだよ。」
そういってすぐ
「では、遺体をしょりさせていただきます。」
そういいひょいっと母を抱えあっという間に扉がしまった。
私は目が覚めた。姉が昼食を母の代わりに買ってきている間に眠っていたらしい。
「うえっ、うっ、」
あれ、いつもは強気の姉がすすり声をあげて泣いている…?どうしたんだろう。
「おねーちゃん、どーしたの…?」
姉は泣きながら一通の手紙を渡した。なんだろう。開けてみても文字はあまり読めなかった。けど、最後に"パパより"とかいてあるのを見て父からだとすぐわかった。
「パパから?」
「もうあんなやつパパなんかじゃないよ。」
私は察した。父が家を出ていったことを。
ドロップの想い出