陽だまりの中で・・
雨上がりの朝・・
光の粒が紫陽花の葉に撒かれて・・
幾滴かの滴は、はらりと転がり・・
とろりとした一粒にまとまって・・
ゆっくりと、落ちて行く。
開け放った窓の向こう・・
ターコイズブルーの空を仰いで・・
君の朝を想う・・
そろそろ届くかな・・
「気分はどうですか?」
無機質な携帯電話の画面に踊る・・
カタツムリの絵文字メール・・
綿毛の風が吹く春も・・
陽炎の揺れる日盛りの、夏も・・
月光さえ凍りつきそうな、冬の夜も・・
「気分はどうですか?」
「ご飯、ちゃんと食べてるの?」
「お酒・・また飲み過ぎた?」
・・・・
どうと言う事のない、言葉・・
まるで陽だまりの中で、交わされる・・
老夫婦のやり取りのように・・
煮しめたような、互いの手のひらを・・
陽だまりの中で、擦るように・・
熱狂も・・
慟哭も・・
そんな煩わしいもの達を・・
脱ぎ捨てて、今ここにいること・・
陽だまりの中で・・
今、ふたり・・
ここに・・いること・・
ただ、それだけで愛おしい・・
陽だまりの中で・・