リサイクル勇者1
ジョルノです。リサイクル勇者二作目です。
これくらいの文量で更新していきたいと思います。
転生数分で怪我をした龍馬。そこを親切(?)な少女に助けてもらい・・・?
「―――――ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ」
落ちるうううううう!ビルから飛び降りた時のトラウマがよみがえってくる。
あんのチンチクリン!せめて地上に降ろせや!
ミルを恨んでいるともう地面が見えてきた。
やばいやばいやばいやばい。転生五分も経たずにジ・エンドか?!
これで死んだらどうなるんだ?ドラクエみたいに王様が「おぉ、死んでしまうとは情けない!」とか言ってセーブしたところから?セーブしたっけ?あ、ここリアルか。
「死ぬうううううう」
『龍馬、落ち着きなって』
「ミル!?」
『そうだよ。今テレパシ―で話してる。やっぱりこんなことになってると思った』
なんか呆れられた。
第一お前がちゃんと地上に降ろせばよかったんだろーが。
『ひどいなぁ。ちゃんと『空』のフリーゲンを使えって言ったじゃん。ちょっとしたテストだよ。魔法の』
「どーやんだよそれ!」
『考えるな。感じろ』
「リーかお前は!」
神のくせに現世の文化は知ってるんだな。
『魔法をやめるにも念じればいいから。じゃ。がんばってー』
それを最後にミルの声は聞こえなくなった。
感じろって言ったってどーすんだよ。
「とにかくやってみるか・・・」
精神統一・・・。できなきゃ死ぬぞ。
「『フリーゲン』ッ!」
瞬間フワリと体が軽くなった。
体重がガクンと減った感じだ。そのまま風に乗って僕の体は飛行を始めた。
「おぉ・・・」
ナニコレ楽しい。だんだんと高度を落としながら飛ぶ僕。例えるならモモンガだな。
気候は暑くもなく、寒くもなく。日本の春のような暖かい陽気だ。辺りは広い草原で見渡しもいい。
心地よい風。鳥とともに飛行を続ける僕。なにかの映画みたい。
そろそろ地面が近くなってきたな。着地地点を探すか。
辺りを見渡すと少し先に村のような集落が見えた。よし、転生第一歩の道はあそこから始めよう。村の手前で着地するか。
「よし、解除!」
そして村の手前でヒョコヒョコと歩く僕がいた。
しょーがないだろ!着地失敗して捻ったんだよ!
ロクに運動してなかったツケがここでくるとは・・・。現世ではちゃんと運動しとけばよかったな。
「あいたたたた・・・・・・」
ズキズキする。なんか回復の魔法でもあればいいのに。
また『空』の魔法で体軽くするかな。でもなんかさっきから疲労感がハンパないんだよな。魔法を使うと疲れるのか。
ようやく村に着いた・・・。
薬局探すか・・・。あるのかな、薬局。
「あのー。大丈夫です?」
後ろから声をかけられた。振り向いてみるとそこには少女がいた。
ところどころツギハギがしてあるの服を着てその上にエプロンを着ている。
そういえばだけど、僕の服装は飛び降りた時と変わらず長袖のシャツにジャンバー、ジーパンという組み合わせ。だっさ。
「さっきから見てたんですけど・・・。足、怪我してらっしゃるんですよね?」
「えぇ、まぁ・・・」
やっぱり目立つのかな・・・。
「私、ルーシィです。すぐそこで薬屋をしてるのでそこで診てあげましょうか?」
「ホントですか!?」
いやーラッキー。優しい人がいて助かった。
「じゃあこっちです。・・・歩けるですか?」
「あ、はい・・・」
そのままルーシィに案内され薬屋に向かう。
村の様子を見てみるとのどかで人も多く、いい感じである。
なんか田舎のおばあちゃんの家周辺みたいだな。
「あなたは旅人ですか?」
「えーと・・・まぁそんなかんじです」
違う世界から転生されましたー。といっても信じてくれないだろう。
すれ違う人たちの中に少し荷物の多い人がいる。多分旅人なのだろう。
「うちの薬屋は旅人がたくさん来るですよー。バカみたいに怪我してくれるおかげで繁盛してるです」
ん?なんかヒドイ言葉が聞こえたような・・・。
「ついたですー」
見てみるとすごく古っぽい家があった。『THE・老舗』って感じだ。
「創業一周年を迎えたばかりなのです」
「うそぉ?!」
「・・・それは私の店がボロっちいということです?」
「あ、いや、違うよ?」
つい声が出た。
だってこれどうみても百年ぐらいやってそうだもん。なんか夜見たらお化けでそうだもん。
「まあいいです。どうぞ、入ってくださいです」
ウィーン
「自動ドア!?」
「ハイテクです」
なんか異世界感ぶっ壊しだな・・・。なんか、こうあまり文明が進んでない感じを期待してた。
そんなことはさておき、中に入る。
コンビニだった。
「えええええええええええええ!?」
「どうしたですか、さっきから」
「こ、ここってコンビニじゃ・・・?」
「こんびに?なんです?それ。ここは薬屋『メディルス』です」
もうここ現世と変わりなくね?
ちょっとガッカリしながら店内を見渡す。
見た目ボロのくせに中は超キレイ。棚にはちゃんとおにぎりとかじゃなく薬が並んでる。
どこの店もこんなのかな。
ルーシィは店内を回りながら薬を探してる。
『あははっ。驚いた?』
「ミル?なにこれ。想像してたのと違うんだけど」
『いやー実際ボクも驚いてるんだよね。まさかちょっと放っておいたらこんなに進歩してたんだもん』
「でもおかしくない?こんなに僕がいた世界のコンビニとそっくりだよ」
『人間、考えることは皆同じさ』
そういうもんかねぇ。
でもこれは似過ぎじゃないだろうか。
「いやでもここまで来るともう異世界という感覚がしないんだけど」
『ま、そのうち慣れるでしょ。それまでボクがサポートしてあげるよ』
「最初から自分でやれよ」
「何一人で喋ってるんです?」
いつのまにか戻ってきてたルーシィ。
「そんなあなたに。はい、です」
一つ薬を渡された。
『ジューム』 効果:キチ○イに効く薬です。※注意:三粒以上一気に飲むと死にます。
「僕をなんだと思ってるの!?」
「そんなことよりそれを三粒飲むです」
「死ねってか!死ねって言ってるのか!」
なんちゅう子だ。
最初に会った時のあの優しさはどこに消えたんだ。
「あははー。冗談ですよー」
そんな棒読みで言うと信じられん。
と、ルーシィは他にも何個か薬を持ってるのを見つけた。
「まずこの痛み止めを飲むですよ。そのあとこれを痛むところに塗って、これで巻いてくです」
ヒョイヒョイと薬を出してくる。
今度はちゃんとした薬っぽい。さすが薬屋。
そしてルーシィに出されたもので全て処置し終わった。
「これで一日安静にするです。そうしたら次の日の朝にはバリバリバーンです」
「なにそれ大丈夫なの?」
僕の問いには答えず持ってきた薬を片づけ始めるルーシィ。
ねぇ、大丈夫なの僕。
「大丈夫です。ということにしておきましょう」
「あ、これアウトなやつだわ」
「それよりはい、です」
ルーシィはこっちに手のひらを差し出した。
なに?手でも繋げばいいの?
じゃあ繋いでみよう。
ダスッ
ハサミで刺された。
「ぎいいいいいいいいいやあああああああああああああああ」
「なにセクハラしてるんですか」
薬局の店員が怪我させたぞ!流血してるぞ僕!
「そうじゃなくてお代です、お・だ・い」
「お、お代?」
金のことか。・・・あれ?ここって円じゃないよな。
「いくら?」
「薬四つで830ゲイルです」
聞いたことね―。ていうか『ジューム』の代金も追加されてるー。
くっそミル!金ぐらいくれやオタンコナス!
『聞こえてるからね?』
そーでした。
「えっと・・・お金、持ってない・・・・・・」
「は?」
何言ってんだコイツみたいな目で睨まれる。怖ッ。
でもまぁごもっともだ。どーしよ。
「・・・お金、無いですか」
「申し訳ないですが・・・」
「はぁ・・・。じゃあお金はいいです」
「マジで!」
「そのかわり労働で返せです」
「あ、はい」
まぁ当たり前のことだな。
アルバイトをして返せってことか。
「じゃあちゃっちゃとやっちゃおう。まずなに?」
「急ぐんじゃねーですよ。まず作業を覚えないと」
そう言ってルーシィは店の奥へ行った。
いきなり出鼻を挫かれたなぁ。なるべく長いのはいやだな。
この異世界を助けなきゃいけないんだし。
・・・なにから?
ていうかここかなり平和じゃね。みんな普通に暮らしてるし、ここまで文明進歩してるしさ。なんか魔王的なやつはいるんかね。
「ほら、こっち来るです」
見るとルーシィが手招きしてる。
そこまで歩いて行くと本が一冊置いてあった。
「この本に載ってること全部覚えるです。薬草の種類や毒の種類、薬の飲み合わせとか全部です」
「あのー。この本800ページ以上ありそうなんだけど」
「921ページありますです」
「覚えられるかッ!」
電話帳みたいな大きさだぞ。中はどんなんなってる・・・。
うわぁ、ちっせぇ文字。しかも読めねぇ。何語だ。
「ほらほらー。早く覚えるです。今日中に覚えなければ薬草の肥料になってもらうです」
「怖いわッ!しかもそれを売る気か?」
「いいから早くするです」
うわー、この子の目、マジの顔だよ。マジでやる顔だよ。本気と書いてマジだよ。
「あのー、文字読めないです」
「もうなにやってもダメですね」
生ごみを見るような眼で見るのをやめてもらえませんかね。
でも僕これからどうしよう。旅をするってのに文字も読めず金もない。どこへ行けばいいのかも分からない。
「じゃあいいです。肉体労働してもらいましょう」
「面目ない・・・」
「ついて来るです」
そのまま店の外へ。
その後ろをついていく僕。村の中をツラツラと歩いていく。
「そういえばあなたの名前聞いてなかったです」
「あ、そうだね。僕は駿河龍馬。龍馬って呼んで」
「分かりました。じゃあ急ぎますよ、ミジンコ野郎」
「誰それ!?」
「今私が話してる相手といえば一人しかいないじゃないですか」
つまり僕か!この子Sだな。
そんなことを話しながら僕らは村の外に出て洞窟の前に到着した。
結構でかい入口。いかにもダンジョンって感じがする。
「まず、この奥にある薬草を採りにいくです」
「よし、任せとけ」
「でもどうせミジンコは道に迷ったり魔物に襲われたりで死ぬでしょうから私もいくです」
「信用ゼロっすか・・・。って!今魔物って言った!?」
「言ったです。おかしいです?」
「この世界には魔物がいるのか!?」
「もう何百年もいるですよ。何言ってるんですか」
おう・・・。ミルが助けろって言ってたのはこれのことか。
『だいせいかーい!』
ミルの声が聞こえた。またテレパシーらしい。
「最初から言ってくれよ」
『こういうのは現地聞き込みがいいの』
刑事か僕は。
『それじゃあ改めてこの世界での君の役割を説明しよう!』
ミルはえへんと咳ばらいをし、続けた。
『この世界にはそこの少女が言った通り、何百年も前から魔物が出現している。それは現在、王制を乗っ取り、実質的に世界を支配している『魔王』のせいだ。君にはその諸悪の根源を退治していただきたい!』
「ドラクエみたいだな・・・」
ありきたりな発想だな・・・。でもそいつのせいで人類は困ってるのか。
見た目はのどかだけどすごいのがあるんだなぁ。
「で?その魔王はどこにいるの?」
『自分で探しなよ。それも試練だ』
「面倒なだけじゃねーの」
『そ、そんなことある訳ないじゃないかー。あははー。それじゃあ頑張ってー』
そんな言葉を残し、声は聞こえなくなった。
嘘つくの下手糞だな。
さて、まずはこの洞窟で腕試しといきますか。
ポンッ
肩を叩かれた。振り向くとルーシィが立っていた。が、その目は可哀想なものを見る目だった。
「よくわからないけど一人で会話するほど追いつめられていたですか・・・。ほら、これを三錠飲むです。楽になれるです」
「『ジューム』いらねぇから!しかも遠まわしに死ねって言ったろ!」
「まぁ茶番はこの程度にして行きますよ」
ルーシィはそのまま洞窟内へ行ってしまう。僕は慌てて彼女の後ろを追いかけた。
洞窟の中はひんやりとしていて涼しい。
たまに聞こえる『ピチョ―ン』という水滴の音が少し癒される。
でも・・・。
「明りないの?」
真っ暗だ。ホントに何も見えない程に。お互い声で場所を認識している。
「・・・」
「あれ?ルーシィ?いるのー?」
「後ろです」
「うひいッ!」
怖ッ!すぐ後ろから声がした!
こんな時こそ魔法でなんとか・・・。『火』の魔法でなんとかなるか。
力を込めて・・・。
「ハァ!!」
・・・。
・・・・・・。
何もつかない。
「大きい声出さないでください。魔物が寄ってきたらどーするんですか」
「いやごめん」
あっるえ~?なんでつかないの?
おい、ミル。これも聞こえてんだろ。喋るとまた毒殺されそうになるから返事しろ。
『龍馬はボクを頼りすぎじゃないかな』
しゃーないだろーが。そんなことより火がでないんだけど。
『呪文唱えなきゃ出るわけないでしょ』
呪文?あの落下してる時は何も言わず火が出たぞ。
『あそこは特別。魔法の源の『魔力』が大量にあるからね。でもそこは無いから呪文でうまく魔力をコントロールするの』
へー。あれ?じゃあ現世で僕魔法使えるわけないじゃん。呪文知らないし。
『あ・・・』
バカだろ。お前バカだろ。
で?その呪文は?
『自分で考えて』
は?正しい呪文じゃなきゃだめだろ。
『それを見つけるの。ヒントは呪文は全部ドイツ語だから』
なんでドイツ語なんだよ。
『かっこいいから』
中二病かお前は!
『そうゆうことだから。頑張ってー』
「あ、おい!」
「うるさいです」
ドイツ語が呪文て・・・。まぁいいや、やってみよう。
確か授業で習ったな・・・。えーと『灯り』は・・・。
「『ヴァルメス・リヒト』!」
「うるさいで・・・え?」
よし、成功。
『暖かい灯り』という意味だ。手のひらから電球ほどの光の球が出てきて辺りを照らした。これで見渡しも良くなる。
「な、なにをやったんです?」
「魔法だよ」
「ま、ほう?」
「知らない?・・・まぁいいや後で説明するよ」
とにかく行こう。早く魔王とやらを倒しに行かねば。
そこでふと気付いた。
周りを大量のでかいクモに囲まれていたことに。
「「ぎゃあああああああああああああああああああ(です)!」」
続く。
リサイクル勇者1
こんな感じでコメディな感じでやっていきたいと思います。
ちょくちょく更新していきますのでよろしくお願いします。
以上、ジョルノでした。