朝の予感

朝の予感

朝の散歩中におもったことを書きました。ずいぶん気持ちいいんです。それがうまく表現できていますでしょうか。

目が覚める
外はまだ暗い
チ・チ・チ
チ・チ・チ
鳴く鳥の声
かわいいソプラノで歌ってるので
小さいやつかなあ

新聞を取りに出てみると
ちょっと冷たい空気の中
あちこちで鳴く鳥たちの声
人は起きてすぐしゃべらんけれども
鳥はすぐ挨拶か
こちらは血圧計の表示とにらめっこするのが最初だけれど

パンを食べ牛乳を飲んでトレーナーに着替える
外へ
だいぶ明るくなってカラスもカア・カアいっている
今日はゴミの日だったか

誰もいない道
遠くでガッ・ガッ・ガッ・ガッとゴミ収集車が一台荒々しく走っていく

しばらく歩くと
二三台の車がブーンと完全にスピードオーバーで走り去る
40キロ制限なのに早朝は特別とおもっているらしい

赤点滅中の横断歩道
左右気をつけて

散歩中の同年齢者と顔を合わせる
だいたい同じ時間帯にいつものコース
おはようございますに
まちがいなくおはようございますと返す
人の習性
昼間だったら疑いの目で見られ
夜はにげていく人もいるだろう

公園の一本の木のところでコツ・コツ・コツとなにかの音
キツツキかと上をみながら木の周りを回りたしかめるが姿なし
コツ・コツ・コツ
そこになにかがまちがいなくいる

階段坂を上がり不動堂へそして寺の本堂
もう四五人の参拝者がすでに鐘を打ち手を合わせ
目をつぶり祈願する

西方の山には淡い緑の陽光の反射
回廊の下には生えてきたばかりの芝
自然の良薬が目にしみる

一息入れて本堂を去り階段を降り坂を下ったあたり
ポク・ポク・ポクと木魚を打つ音が追っかける
もう二百メートルくらいは離れているとおもうが結構音が飛ぶ
本堂でだれかの読経がはじまる

さらに何人かの人と出くわす
上り坂で息がちょっとつらそうなお年寄りも
ちゃんと挨拶

スズメが二羽チュン・チュン
向い合ってジャンプしながらくちばしを合している
目覚めてすぐ求愛かなあ
絡み合いながら飛行し家の軒下で
そしてどこかへ

帰路東をみると
山の輪郭に接する一丸の白い太陽が幾筋かの光線の束を放ち
地表からゆっくり揺れ立ち上る蒸気に
逆光のなか寄り添う鹿の親子が写る

清浄な朝のつかの間に
いい日がくる予感

朝の予感

朝の予感

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-23

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