浮世花

浮世の辛さに耐えかねて

むせる夏夜の川風に

吹かれてあおぐ団扇をば

とめて涙の通り雨


響く蛙の鳴く声に

過ぎにし昔を偲ぶれば

つれなき人の面影も

灯りてはかなき蛍火の

夜空の星と消えゆきて


遣る瀬無き

心の憂さを三弦の

夏は蛍 の爪弾きに

遠き夜空の稲光


すでに白むや短夜の

明けて開くは浮世花

通う揚羽の仇情け

受けて流すや 今日もまた

桶の湯水か 日々の縁

来るわ 郭の日々の縁

浮世花

浮世花

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-20

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