モノクロな日々
誰が話しているか分からない読者様に
優舞 一人称 俺
話し方は落ち着いていて、突っ込みをすることが多く少し乱暴な言い方をすることがある。
翔 一人称 俺
話し方は明るく乱暴な言い方。
明 一人称 僕
落ち着いていて丁寧な言葉を使って話す事が多い。
茜 一人称 私
明るく元気な喋り方で、少々言葉が雑。
加奈 一人称 私
よく舌を噛む。明るい喋り方。
1
バン!
担任が机を叩く音が響いた。
「お前ら今日から2学期だ。気緩まないように気をつけろよ」
うちのクラスの担任は高山という。体育教師だ。
学力についてはあまりうるさく言わないが、生活態度には学校一厳しい、何故か。
ここは東京都
垣間市立(かいましりつ)
宇都等(うとら)
高等学校。生徒数840人の普通科だ。
俺のいるクラス1年4組は、全員で32人。一学期に一人転校してきて一時期33人だったが、一学期の終盤に一人転校し、今に至る。
俺の名前は笠井(かさい)優舞(ゆうま)。
充実しているのか分からない位一学期は何もなかった。趣味は料理、部活は料理研究部だ。
「滝田〜後で職員室にきてくれ」
「え?あっ了解」
こいつは滝田(たきだ)翔(しょう)
。俺の親友。
学力は何故なのか俺より少し上。俺は学習塾に週一で通っているけど、翔は何処にもいっていないらしい。俺は信じられなくて翔の親に聞いてみたけど、本当に何処にも行ってなかった。
趣味はテニスで、ソフトテニス部に所属している。夏休みに結構練習があったらしく、若干肌が黒くなっている。
2
「明〜一昨日俺ん家に漫画忘れてったろ?」
「えっ?あーそれ優舞君の家にあったの?それすごい探してたんだ〜。ありがとー。」
こいつは金井(かねい)明(あきら)
。この学校に入って知り合って、趣味が俺と同じ料理だったから結構仲良くなった。部活も俺と同じ料理研究部だったからたまに家に招いたりする。どうも運動が苦手ならしく、体育以外の教科の成績なら、だいたいクラスの1〜5を争う優秀さだ。
髪の色は黒で、俺の茶色の髪や、翔の黄色っぽい髪に憧れてるとか。
「ねえ、優舞君と翔君今日空いてる?良かったら僕の家でゲームしようよ。一週間前発売された、あれ。」
「あー、あのデジタルすごろくって言われてるやつ?何かすげぇ人気だよな。」
「へー、明それもってたの?私もそれやってみたいんだよね〜。ねえ、私も行っていい?」
「お前いつの間に居たんだ?盗み聞きとか引くわー。」
「うるさい!いいでしょ別に、何か文句でもある?」
この女の名前は玉澤(たまざわ)茜(あかね)
。俺や翔と同じ中学だ。赤髪のロングヘアーなのが特徴で、柔道を習っている。こいつは昔から理科や、数学が大得意で学年4位の成績だ。俺もそこは見習うべきだが、英語、国語、社会の成績は驚くほど悪く、どうしてこうなったのか分からない。部活は柔道部。
3
「でもやっぱり男3:女1じゃゲームもしにくくないか?」
「そうだよな!だから今回はあきらめ「大丈夫!加奈もいるから!」…………」
「しゃべっでっ」
(そんな短いセリフで噛むなよ…。)
「まあでも加奈さんがいるのなら、楽しんで出来ますね。」
「でしょー」
茜が呼んだ女は相川(あいかわ)加奈(かな)
。
一学期にあるバカみたいな事件を起こしてから学校一のドジっ子として有名になった。
まあその話はまた別の話。
頭はいいのだが、テストの日にちを間違えたり、定規やコンパスを忘れたりと、ドジなせいで、なかなか結果に結びつかないらしい。
淡い金色の髪のショートカットが特徴で、部活は女子ソフトテニス部に所属している。
少し前にこの学校に来た理由を聞いたのだが、私服でいいからなんだとか。
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「やっぱ三時間授業で部活無しってのは楽だよなーテニスして帰った日なんかはくたくたでよ〜。」
「じゃあ1時半頃に僕の家に来てくださいね。」
「了解しまじぃっ」
(おいおい…)
4
ここ東京は東に行くほど大都会、西に行くほど田舎が広がっている。この宇都等は東の方にあり、東京湾別名宇都等湾と言われるほど湾に広範囲接している。大規模なショッピングモールや遊園地、テレビ局など娯楽施設が多くあり、空港や駅など、交通の面でも充実している。ただ、山が周りにないため登山は中学二年の一回のみで、小学校高校にはキャンプがない。自然と触れ合う機会が少ないためかインドア派が多く社会問題になっている。
「そういえば私明の家しらないわ」
「そうか、俺はよく明と料理したりするから家知ってるけど。」
「俺も知らねーわ。」
「そもそも明君の家はどこらへんにあるんですか?………?優舞君どうしましたボケーっとして」
「え?あっいやーそういえばお前がまともに話すの久々だなーって思ってさ。」
「私がいつも噛んでるとでも言いたいんですか!」
「すまんすまん」
「で?明の家は何処にあるのよ。」
「んー明の家は確か神海(しんかい)
の方だったはず。」
「え?そこって有名な高級住宅街じゃないか!。」
「そうそう、俺も初めて聞いた時びびったわ(笑)。」
「じゃあ少しいいかっこで行った方がいいんですか?。」
「まあ、多少はな。」
「じゃあ、集合は新海駅でいいな。」
5
新海駅についてから、どれくらい待っただろう。
もしかしたらみんな早く着いてるかもと急いできた自分がバカみたいだ。
「遅い……」
「遅いわね……」
茜も相当イライラしているようだった。
「おーーい」
「何してたのよ!もう1時25分じゃない!30分に明の家に集合だったのに間に合わないわよ!」
「途中で加奈に会ったんだけど…カバン無くしたらしくて探してたらこんな時間になっちゃって…。」
「またか……。」
「皆さん速くしないとおくれちゃいますよ!」
「「「お前のせいだ!」」」
「まあいいわ、優舞案内して。」
「案内するも何もあれぐらいこっから見えるだろ。」
「見えるって、こっからだとアメリカの国会議事堂ぐらいでかい何かの建物ぐらいだぞ。」
「それだよ。」
「「は?」」
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「何ですか?このおっきい建物」
「加奈話聞いてた?」
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やっと玄関につき、その場にいる俺と明とその使用人以外の全員が、気になっていたことを翔は察したかのように明に訊いた。
「入口から玄関まで遠くね?何キロあんだよ。」
「確か2キロ位ですよ。」
俺はそのことは知っていたのだが、
それを平然と答える明は少し気味が悪い。
「だから車でここまで来たのね。」
「で、何処でゲームをするんですか?。」
「案内するね〜。」
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「聞く必要ないと思うけどこのバカでかい部屋は?」
「へ?僕の部屋ですけど?」
「うんもう私もう何も言わないわ。」
茜はもう諦めたようだ。
「さっさと始めるぞ。」
「何か人生ゲームみたいだな。」
6
ヒューマンライク〜一生とは〜
プレイしますか?
・
・〜設定省略〜
・
「こういうのっていい職業に就けば後々楽だよね。」
茜は攻略法を知っているらしい。
「そうなんですか?こういうゲーム初めてで…。」
加奈はあまりゲームというものを知らない。
「そういえばこのゲーム何の仕事が一番給料高いんだ?」
翔は攻略法を聞き出そうとしているようだが、そんなことしなくても明なら教えてしまうだろう。
「確かパイロットですね。でも、保険に入った方が安定しますよ。」
〜結果発表〜
1位 茜
2位 明
3位 優舞
4位 加奈
5位 翔
「茜つえーなぁ、俺やっぱこういうゲーム苦手だわ。」
「お前俺より頭良いのにな。」
「やっぱり茜さんは数学が得意だからですかね?」
「んー?まあ、私は金が溜まるようにしただけだけどねー。」
確かに茜はいち早くパイロットに転職していた。
「何か悔しいですー。もう一回やりましょうよ〜。」
「まだあと一回位出来ますね。やりましょうか。」
・
・
・〜省略〜
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1位 茜
2位 優舞
3位 加奈
4位 明
5位 翔
「安定の1位と5位だな(笑)」
「畜生〜」
「4位になっちゃいましたよ。」
「1つ上がって良かったです。」
「優舞って翔より頭悪いくせにけっこう順位高いわね、こういうの好きなの?」
「まあどっちかっていうと好きかな。」
はっきりいうと、こういう運ゲーはあまり得意とはしていないのだが。
「明様、5時でございます。」
いきなり、さっきの使用人とはまた別の人が来て言った。
「もうそんな時間なんですね、すみません車2台出してくれますか?」
「分かりました、すぐ手配させます。」
「明どっか行くのか?」
「え?みんな帰るでしょ?。」
「明はいつも友達来ると、車で家まで送るんだよ。」
「いいのにそんな気つかわなくても。」
「俺もそう言ったんだけど、以外と明ってけっこう頑固だから。」
一応、俺も初めて来た時に言ったのだ。
まあ案の定聞く耳を持たなかったのだが。まったく大富豪の考える事は理解できない。
「皆様こちらへどうぞ。」
2章 家族 1
「ただいま〜」
「おかえり優舞、ご飯できてるわよ。」
「おかえり優舞〜。」
「そういえば母さん今日は居るのか?」
「ええ明日もまだ居るけど、明後日から出張だから居ないわ。」
「へーそうなの、今度は何処行くの?」
「んー、今回は鳥取と島根だって、長引きそうだから優舞よろしくね。」
「りょーかい。」
俺の母の名前は笠井 華香(はなか)
38歳。
PKTという携帯会社に務めていて、支店の経営の指導に日本中を飛び回っているんだとか。俺の親父の海平(かいへい)とは12年前に離婚していて、いまは俺と姉さんと母さんの3人で暮らしている。茶髪のポニーテールが特徴。
姉の名前は笠井 空乃(そらの)
23歳。
漫画家で一応有名らしい。漫画を描くということを仕事としているからか、絵は旨い。
しかし料理や裁縫は大の苦手なようで、姉が料理を作る時は家中嫌な臭いになる。黒髪のショートカットが特徴。
「食べ終わったら、お姉ちゃんの部屋一緒に掃除してあげて。」
「分かったけどさ、母さん姉さんと一緒に酒飲むのやめてくれる?姉さん酔って、掃除しないまま寝ちゃうんだけど。」
「優舞君はまだ飲めないでちゅからねー。」
「この酔っ払いが!」
2
「寝んなよ?」
「ん〜、わかんない。」
(おい・・・)
「しかしなー、どうして一昨日片付けたばっかりなのにこんな汚くなるかねー?」
俺たち二人の部屋は、少し誤差はあるが正方形である。姉さんの部屋は俺の部屋よりひとまわり大きく、漫画家だからなのか、納得のいかない出来の絵などの紙くずが散乱している。姉さんは集中すると、周りが見えなくなるため、漫画を描く時は部屋がどんなに汚くても気にしないらしい。
ちなみに姉さんの描くジャンルはラブコメである。
「姉さんまず何処から片付ける?」
「まあ適当にやって。」
「は?お前の部屋片付けるん「じゃあ私寝るからー」・・・・」
「この女、人に自分の部屋片付けさせて 寝ちまったよ・・・。」
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・
・
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・
・
「やっと終わった・・・」
「あら?また空乃ちゃん寝ちゃったのね。」
「ムカついたから廊下に引きずり出してやった。」
「あの子一人暮らし出来るのかしら・・・・
。」
「絶望的だな。」
3
〜翌日〜
「おはよ〜。」
「やっと起きたわね。空乃ちゃん駄目じゃない、片付け全部優舞にやらせて。」
「ごめんねー、昨日優ちゃんと二階に行った後の記憶がなくてさぁ。」
「優舞も文句言ってもいいのよ?。」
「文句いったって、昨日のこと姉さん覚えてないんだろ?だったらどうしようもないじゃん。」
「まったくもう・・・。」
「今日って9月のいつ位?。」
「そんなことも覚えてねーの?。」
「今日は9月の4日。ついでにいうと木曜日よ。」
「ずっと家にこもってると時間の感覚が無くなっちゃうのよ。」
「少しは散歩に行くとかしなさいよ。」
「そういえば優舞は料理研究部で何してるの?。」
「んー?今日はアップルパイ作るってさ。」
「どうやったら料理が上手くなるかねー?」
「姉さんは絵旨いから別によくね?」
4
年間計画です。(今更)
1学期
4月 入学式
5月 3年修学旅行
6月 中間テスト
7月 音楽鑑賞会 期末テスト
8月 (全て)夏休み
2学期
9月 文化祭(体育祭)3年総合テスト(中〜高)
10月 収穫祭 中間テスト
11月 部活動交流会
12月 トランプマッチ(真剣衰弱)
期末テスト 冬休み(20〜
3学期
1月 未定
2月 期末テスト 三年 総合テスト(中〜高)
3月 春休み(20日〜)
補足
中間、期末テストは月始め、3年総合テストは月終わりにあります。
1月は毎年違う行事があります。
(去年:百人一首大会)
「ねえ、この学校の体育祭ってなにするのか知らない?」
「なんで俺に聞くんだ?」
「優舞のお姉ちゃんってこの学校の卒業生でしょ?」
まあそうなのだが、はっきりいうと姉さんからこの学校のことを聞いたことがない。俺が聞いたことといえば、『ああ、あの学校?いい学校よ。』くらいだ。
「そうだけど、そういう話をした事がないからな。」
「使えないわね〜。」
「使えなくて結構。」
「私知ってるよ〜」
「何でお前知ってんだ?おまえって住んでるの宇都等の西の方だろ?」
「私のお姉ちゃんがここで教師をしてるから自然と情報が入ってくるんだよね。」
「「!?」」
5
「今加奈、何て言った?」
「え?何が?」
「さっきお姉ちゃんがなんだって。」
「あ、お姉ちゃんですか?それがどうかしたんです?」
(ほんっと話噛み合わないなこいつ)
「あーもう!だーかーらー加奈のお姉ちゃんってここの教師なの⁈」
「そうですよ、お姉ちゃんはここで教師をしてるんです。」
加奈の姉、相川 香里はこの高校で数学を教えている。一昨年ここにきたらしく、永遠の18歳だそうだ。You aren't supposed to ask a lady the age.
「じゃあ加奈はその理由でこの学校に入ったの?」
「まあそれも少しはありますかね〜?でも私は前言ったとおり、私服でいいからこの高校を選んだんですよ。」
「それぐらいのおまえの家の周りにだってあるんじゃねえの?」
「うちの周りは男子校、女子校しかありませんし、しってます?加巣谷高校っていう男子校。」
加巣谷高校?どこだそれ。
「それって有名な不良校だよね。」
「へー、俺初めて聞いたわその高校。」
「あと...華井咲学校。」
その高校も全く聞いたことがないんだが。
「それは確か中高一貫校の超お嬢様学校だったような。」
「茜って結構物知りだな。」
「私の知識を舐めちゃいけないわよ〜。」
「もしかして、加奈の近くの高校ってそんなのしかないの?」
「はい。」
「地獄絵図だな。」
「だからもうめんどくさかったので、お姉ちゃんが教師をしてるこの学校にしちゃいました。」
6
「もしよかったら、放課後お姉ちゃんに会いにいきます?」
「行く行く〜!優舞もくるでしょ?」
「でも部活あるし。」
「いいじゃない、そんなに時間かかる訳じゃないんだから。」
「お前だって部活あるだろ?」
「そんなのテキトーに理由つけとけば大丈夫よ。」
こうなったら俺が何を言おうと絶対に聞かないのが茜である。仕方ないので明を誘って香里さんの所まで行くことにした。
放課後
「香里さんってどんな人なんですかね?」
「さあ?でも姉妹なんだし加奈と似てるんじゃないか?」
「ほら!さっさと行くわよ!」
「・・・。」
3-2
ガラッ
「お姉ちゃんいるー?」
(学校でその呼び方はやばくないか⁉)
「加奈ー?友達でも連れて来たの?」
「入るねー。3人共、入っても大丈夫だよ〜。」
「「「失礼します。」」」
どうやら教室には香里さん以外誰もいないようだ。
「紹介するねー、この人が私のお姉ちゃん。」
何この人、すごい美人なんだが。
「初めまして茜といいます。」
「優舞です。」
「明です。」
「よろしく〜!君達青春を楽しんでるかい〜?」
「こう見えてもお姉ちゃんはオタクなんだよ〜。」
「改めて、初めまして諸君、香里よ。趣味は二次元アニメ鑑賞、ゲーム、読書でーす。」
何この人、すごい変人なんだが。
「失敗したわ。」
「何がだ?」
「翔を連れて来ればよかった。」
「確かに。」
翔は二次元オタクである。
「ねえ、お姉ちゃん。」
「なーに?」
「何でさっき友達が一緒だって分かったの?」
「そんなの影があったからにきまってるじゃない!ここは西校舎の三階よ?」
「?」
「説明するわ!太陽は東から西に動くのよ!」
「あっ、そういうことかー。」
7
「姉さん、相川香里先生って知ってる?」
俺は家に帰ってから姉さんに香里先生について聞いてみることにした。
「香里先生?知らないわね〜。」
「そうか、じゃあ何でもない。」
姉さんは知らないようだ。
「香里さん?香里さんって相川香里さんの事?」
「知ってんの?」
「えぇ確か教師だったわよね。」
母は昔、香里先生と同じ仕事をしていたらしい。
「で?何の仕事してたの?」
これは姉さんのちょっとした好奇心だ。
「えっとね、確かメイド喫茶だったわ。」
マジ!?メイド!?
「はいはい、優舞をからかわないの。私知ってるのよ、お母さん昔ペットショップで働いてたわよね。」
じゃあ何で訊いたんだよ。
「へ〜母さん動物好きだったのか?」
「まあけっこう好きよ。でもコブラとか、ムカデとか、ゴキブリとかは駄目ね。」
そりゃあ、好きな人はそうそういないだろ。あ、でも香里さんは好きかもしれない、今度訊いてみよう。
「ペットか〜、ねえうちもペット飼わない?絶対癒されるって。」
「いいかもな、ペット。」
「まあ、考えとくわね。」
8
翌日の夕方
「というわけで、ワンちゃんを二匹買って来ましたー!」
母さんが帰って来て一言目がこれである。何が、というわけだ。
「何で急に犬買って来たんだ?」
「何でってあんた達が昨日欲しいて言ったんじゃないの。あの後買うか買わないか6秒位考えたんだから。」
「即決かよ!」
犬種は豆柴(豆しばーではない)とヨークシャテリアで、どちらも1歳である。
「名前どーする?」
いつの間にいた姉さんが言った。
「そうねえ…豆柴の方はミニ太郎で、ヨークシャテリアは一郎とか?」
これは母。
…おい、何だその一昔前の名前は。
「いややっぱりハム太◯とか、シャク太郎とかがいいんじゃない?」
これは姉さん。
「ちょっと待て!おかしいだろそんな名前!」
「じゃあ優ちゃんはどんな名前がいいの?」
「え?そんな急に言われても…」
・
・
結局、今のところ豆柴は(毛が雲のように白いので)スカイ、ヨークシャテリアは(毛が金色と銀色なので)フレルドという名前になった。
「この子達のハウスはここ、一階のリビングの隅でいいわよね。あと、トイレのしつけはきちんとしておいてね、あんた達。」
9
「優舞、犬買ったんだって?今度見せてよ!」
なぜ知っている…もしかして茜はエスパー?
「違うわよ。」
!?
「優舞犬買ったのか?」
「ああ、豆柴とヨークシャテリアをな。」
「でも何でそんな急に飼うことになったんだ?」
知るかそんなこと。
「何でもお姉さんが欲しいって言ったんだって?」
だから本当に何で知ってるんだ?家にマイクでも仕込んでるのか?
「だから違うってば。」
!!?
「で、名前はどうしたんだ?やっぱ太郎とかか?」
お、親と同じ発想…
「違う、豆柴はスカイ、テリアはフレルド。」
「何でそんな名前になったんだ?」
「さあ?」
正直なところこの名前を決めたのは俺ではない。豆柴の方は母さん、テリアは姉さんで、フレルドというのは、フレンチ・マリーゴールドだっけ?…まあ、その花の名前からきているみたいだ。
全く姉さんの脳内はどうなっているんだろう?これが漫画脳?
「そうそう、さっき明が優舞探してたわよ。」
「明が?」
3章ペット 1
「っで?話って何?」
茜に明が探してると伝えられたあと、俺は明が探していそうな、図書館とかに行くことにした。案の定、明は図書館に一度俺を探しにきたようで、クラスの図書委員がそのことを教えてくれた。
今は渡り廊下。
「えっと、たいしたことでは無いんですが、
優舞君って犬を飼い始めたんですよね?」
茜...明にも話したのか
「うん..まあそうだけど。」
「それでその話を両親にしたところ、是非ともそのワンちゃん達を連れてうちにきて欲しいと。」
......?何故そのお父様とお母様までそのことを知っているんだ?
「別に構わないよ、いつ?」
「今週金曜日お休みではないですか、その日の午後がいいと。」
「分かった。じゃあ翔とか誘ってみるか」
「朝のホームルーム始めるぞー、席につけー」
朝の高山の一喝
....
「今日の予定だ。今日は月曜日、六時間授業で..えーっと...」
「先生ー老化ですかー?」
「うるせーぞ東山、まだ俺はそんなに年ではない。...放課後に部活動報告会があるぞー。それぞれ顧問に聞いておくように、分かったかー」
チャイムが鳴り響く音と共に朝のホームルームが終了した
「ちぇー高山のやつ時間きっちり終わらやせやがって」
翔が口を尖らせて言った。
「あっそうだ翔、今週の金曜日暇か?」
「別に部活無いし塾無いし暇だぜー。」
「じゃあ午後明ん家行く?」
「オッケー分かったじゃあ1時優舞ん家集合な。」
このあと、何故明の両親まで俺が犬買ったって知ってるのかあいつに聞いてみると、
「企・業・秘・密、キラッ」と答えられた。
ちなみに最後の『キラッ』は手でジェスチャーしていただけで、本当に言ったわけではないが。
2
「空乃ちゃん起きなさーい!お母さん仕事行ってくるから、昨日お願いしといたことしときなさいよー!」
「はぁ〜い...。」
「眠い...昨日徹夜だったからな....昨日お願いしといたこと...?...ああワンちゃん達のことか...。」
ワンちゃん達は、平日は私が世話をして、休日と祝日は優ちゃんが世話することになっている
昨日、お母さんにお願いされたこと...?
「あれ?何だっけ?」
確かワンちゃん達のことだと思ったんだけど...?
「まあ何でもいいや...二度寝しよう...............zZZZ...」
......
......
「キャンッキャンッキャンッ」
「うるさ....、何なの...?折角安らかに二度寝していたというのに...。」
薄々目を開けて見ると、自分の上にスカイとフレルドが乗っていた
ていうか、重っ
「どうしたの?」
「キャンキャンッ」
「まあ話が通じるわけないか。」
犬だし...
「とりあえず、起きますか。」
下に行こうと階段にいくと、フレルド達も一生懸命ついて来た
かわいい
「小動物って大変だねー。」
通じるわけないのに何故か話かけてしまう
...ダイニングに着き、水を飲もうと冷蔵庫にいくとメモが貼ってあった
ーーーーーーーー
空乃ちゃんが今日すること!
ワンちゃんのお散歩
ワンちゃんにおやつをあげる
追記
リードとかおやつとかは、ワンちゃんのハウス近くに置いてあります。
ーーーーーーーー
「ちゃんとメモを残しとくとか、どんだけ信用娘をしてないのよ。」
...まあ忘れてたけど
「今何時だろ?....ヤバッもう10時なの?」
ほんっとに最近ババくさくなったなと自分でも思う
一応まだ20代なのに
「散歩ね...」
確か犬が幼い頃はたくさん散歩させちゃいけなかったはず
「まあ家の周辺でいいよね。」
3
朝ご飯を食べ終えた私は、スカイとフレルドを散歩させることにした
ルートは、特に決まってはいないけど...
まあ…いいよね
「いってきまーす。」
と言っても、家には誰も居ないし、返事がくるわけがない
「キャンッキャンッ」
「はいはい暴れないの。」
今日は雲がほとんど無い快晴
しかも夏なのに風があって結構涼しい
絶好のお散歩日和だ
「キャンッキャインッキャンッ」
2匹共外に出るのは久しぶりなので楽しみなのだろう
さっきから甲高い声で吠えまっくている
「結構お散歩もいいかも...以外と気持ちがいい。」
何となく、川辺の土手とか歩いてるお年寄りの気持ちが分かった気がする
...本当に年寄りくさくなったかもしれない
そんなしょうもない事を考えていると、何処からかチャイムの音が聞こえてきた
「近くの小学校かしら?」
今頃子供達が給食だと騒いでるころだろう
…私は給食なんて好きじゃなかったけど
「絶対お弁当の方が美味しいと思うだけどなぁ」
まあ、でも毎日お弁当を作るお母さん達の事を考えると給食の方が良かったのかも
「結構歩いたし、お腹が空いてきたな...。」
私の体内時計は正確である
「....帰ろう..。」
私は来た道を歩いて帰ることにした。
4
金曜日午後1時…
俺達2人は新海駅にいた
キャンッキャンッ
スカイとフレルドは初めて見る光景だからか、はしゃいでいる
「何度見ても明の家はでけーなぁ」
「ああ、そうだな…」
実を言うと俺はすでにだいぶ疲れている
「優舞何でそんな疲れてんだ?」
「言っとくがお前のせいでもあるんだからな」
無自覚なのがムカつく
「…まあいい、さっさといくぞ」
「おうっ」
10分後
巨大な門の前につき、立ち尽くす2人
「これどうすれば開くんだ?」
「ちょっと待ってれば開くだろ」
ドンと小さな地響きがしたあと少しずつ重そうな扉が開いていく
俺らが感心していると渋い声が聞え、声の方向を見ると、前回皆と来たときに出迎た人とはまた違う人が立っていた
「ようこそお越しくださいました。優舞様と翔様ですね?明様が中でお待ちになっています。」
「優舞くん、翔くんようこそ。上がってはぐれないよう僕についてきてください。」
一見おかしな会話だが、明についていかないとすぐ迷ってしまうから結構重要なことである
(前回来たときも加奈が何度も迷子になっていた)
エレベーターで地下1階に下がると様々な動物たちの声が聞こえてきた
「なんだここ⁉︎」
俺も結構驚いたのだが、翔は声に出てしまっている
「ここでは、もし何者かに襲われた時のために動物を育てているんです。」
「この階全部がその施設なのか?」
「いいえ、この階は大きく分けて3部屋に分かれていて、奥の部屋から順に
1部屋目 管理室
2部屋目 動物広場
3部屋目 警備動物育成
です。」
翔が俺をつつき
「なあ、動物広場ってなんだ?」
と聞いてきた
「知るか、てか俺に聞くな」
「後で行くと思うのでその時また説明しますね。」
5
ー動物管理室ー
「お父様、お母様、優舞君と翔君をつれて来ました」
明のお父様とお母様は、管理室の奥の
渋い部屋に座っていた
...片方は寝てる..?
「ありがとう明」
いかにも上品そうなお母様だ
「それで優舞君、わんちゃんは何処にいるのですか?」
忘れてたが俺はスカイとフレルドを見せに来たんだ
「スカイー!フレルドー!おいでー!」
「ワンッキャンッキャンッ」
廊下で遊んでた2匹が走ってきた
俺と翔は、犬を1匹ずつ抱えてお父様とお母様に見せる
パチッ
いきなりお父様の目が開いた
「おおおおおー!動物の臭いがするぞよ!」
うわぁ変な人だ
「フレルド、行け」
翔って意外に冷静だよな...
「スカイも、行け」
「う~むやっぱり動物は良いものだ。ありがとう。」
「あ、ああどうも」
2匹がこっちに走って来る
満足したようだ
「何で1階丸ごと動物園にしたのか分かった気がするぜ。」
確かにこのお父様じゃなぁ
「あのー何故ここに呼んだのか教えてくださいますか?」
さすがにこれでは話が進まないと危機感があった俺は聞いてみる
「そうだったそうだった、今日優舞君を呼んだのは他でもない。」
やっと話が進んだ
「そうそう話が変わるのだが、最近名前を省略するのがマイブームでな、」
話を変えないでくれ…
「君の名字を教えてくれるか?」
「えっと、笠井。笠井優舞です。」
「うむ…『ゆ』だな。」
一文字!?ってか、名字聞く必要あったか?
「俺は『う』だと思うな。」
「ちょっ翔までやらなくていいから!話がややこしくなる!ってゆーかそれならお前も『う』だろーが!」
「あっ確かに、じゃあ…「考えなくていい!」
…何で俺だけこんな疲れてるんだ。
6
「う~む『う』か、私は『ゆ』の方が...」
というか話がずれすぎてるんだけど
「あなたそろそろ本題に戻ったらどうです?」
お母様ナイスツッコミ!
「あ、ああ、すまんすまん君達を呼んだのは他ではない。今日はその二匹の健康検査をしたいとおもっていたんだ。」
「あぁそうですか、ありがとうございます。」
で、終わらせられるほど俺は今冷静じゃないんだけど
「あの~理由を教えてもらえませんか?」
「あ、それは僕から説明しますね。」
明はいつの間にかホワイトボードを用意しており、ボードには犬の病気の事、怪我の事、定期診断の事、(その他もろもろ)が分かりやすく書かれていた。
「これからスカイとフレルドにはエレベーター1番手前の、警備動物育成室内第二否警備動物犬科専用診断室兼研究室略して『犬』に、いってもらいます。」
よく全部噛まずに言えたな...明...
「もしかしてこの略称考えたのお父様ですか?」
「うむ、よく分ったなぁ翔君、それを考えたのは私だ。」
「さすがです!その略称は俺では思いつきもしませんでした!弟子にしてください!」
翔!?そっちに行くなぁ!ってかまた話をずらすな!
「はい、説明は終了です。優舞君、翔君、警備動物育成<省略>略して犬に移動しましょう。」
やべぇ2人につっこみしててほとんど聞いてなかった...
7
ー警備動物育成室内第二否警備動物犬科専用診断室兼研究室ー
「皆様、定期検診にようこそ。」
あんだけ長い名前をつけるだけあって、すごそうな機械が所狭しに並べられている
「早速スカイ様と、フレルド様の検診を始めたいとおもいます。」
「よろしくお願いします。」
っていうか犬にも様つけるのか
「これって何分位かかるんだ?」
翔は敬語を知らない
「そうですね、ざっと6時間位ですかね。」
えー....長ーい
「マジかよ...来なきゃよかったぜ。」
翔は遠慮を知らない
「 終わるまでどこか遊びに行きませんか。」
「おっナイスアイディア明!それじゃ行こうぜー!」
ー地下1階 第2部屋 動物園ー
明の提案で、動物園にやって来た俺達は意外な広さと人の多さに驚いていた
「ここって明の家の地下なんだよな?」
まあ、家って呼べるレベルじゃないけど
「はい、そうです。ここ第2部屋は、動物園です。」
「じゃあなんでこんな人があふれてんだ?」
「それはですね....」
明は少し話が長いところがあるので要約するとこう言うことらしい(要約しても長いが)
明のお父様は動物が大好き→動物をいっぱい飼いたい→飼える場所がない→なら造ればいい→地下1階が空いてるではないか→造ろう動物園♪→警備動物育成もそこでやってしまおう→利益もほしいな...→そうだ!客を入れよう
→→→観光スポットになったよ
ということらしい
「すげーなお前のとーちゃん。」
「たしかに自分の欲望をこんな形で実現するなんて..常人ではありえないぞ。」
「そうですかねー?おじいちゃんの方が...」
俺には最後の方はよく聞き取れなかった
「まあ、いいや早く動物見にいこうぜ。」
8
動物園には、よく見る猿やキリンの他に、アイアイやオカピ、キーウィなど、珍獣も多くいた。
寝ているのもあり、食事をしているのもあり、だ。
......って楽だな羨ましい
「お前のお父様何者なんだ!?」
と言いながら、翔は動物を見ている。
3時間半後 現在5時半
意外と広かった動物園を見た俺たちは、すっかり疲れきっている。
ていうか空腹で倒れそうだ。
「あの、良ければ夕食食べて行きませんか?」
これは明の提案。
「別に俺は構わないけど、翔は大丈夫なのか?」
「いいんじゃね?多分」
えらく軽いな......。
「じゃあ、食堂に行きましょうか」
すっかり疲れていた俺達はなすがままに食堂へ連れて行かれ、そこで豪華なディナーとなった。
感想を3文で言うと、
美味しかった、感動した、この世の物とは思えなかった。
っていうか、眠い......寝たい、、zzz
睡魔で倒れた俺の耳に研究員の声が届く。
「笠井様、検査が終わりました」
研究員は持っていたスカイとフレルドを下ろした。
4章文化祭 1
ここ最近は文化祭の話をよく耳にするようになってきている。ここ、宇都等高の文化祭は『シレスティアル祭』、通称スティア祭。
やはり高校の文化祭となると華やかなものなんだろう。中学の頃の文化祭は想像とはかけ離れたもので、楽しくなかった訳ではないが少し物足りない感があった。その分高校の文化祭というのは前から興味があったし、この時期になるのが待ち遠しかった。
この学校では、2日目に合奏コンクールというものがあるらしい。俺は楽器が好きだったから、小学校の音楽会では毎年違う楽器を演奏していた。今回は木琴希望である。
俺の所属する料理部でも文化祭で何をするか盛り上がっている。でもやっぱり料理部なんだから、料理を食べてもらうのが妥当だろう。今年の文化祭で稼いだお金は、ほとんどが来年の部費になるらしいし、しっかり計画を練る必要がある。
ー第3家庭科室ー
「今からミーティングを始めたいと思います」
料理部部長、佐々木 和樹(かずき)先輩の話から、ミーティングが開始した。
話が逸れるが、料理部の引退が決まるのは7月頃だ。料理コンテストに出場し、優勝しようが予選落ちしようがこの辺で引退になる。今年の3年生は、部長が県大会出場を果たしたが、全国まで届かなかった。
「今回のミーティング内容は、文化祭の出し物についてです。まず何をするかですが、出来るだけ料理に関係する出し物でお願いします」
「優舞は何したいんだ?」
「俺の希望は特にないかな」
俺の横にいるのは滝澤 龍斗(りゅうと)。同じ部活だったのがきっかけで友達になった。黒が強い茶髪で、スタイルがいい。普段は不真面目だがやる時はやる、好きな事ならばどこまでも集中出来る、そんな男だ。でも勉強は苦手。本人いわく『勉強が俺を嫌っている。俺の事が嫌いな奴を好きにはなれない』...らしい。まあ、これは単なる言い訳ただ単に勉強が嫌いなだけである。
たまに集中しぎて周りが全く見えなくなることがあるが。
2
「明は何がしたい?」
前に座っていた明に尋ねてみた。
「僕も優舞君と同じ意見です」
「優舞のせいでみんななげやりになっちゃったぞ、責任とれよなー」
「はぁ?俺のせいじゃねーだろ」
「えーっと、じゃあ由美さんの意見は何かあります?」
明が今話かけているのは池内(いけうち)由美(ゆみ)。俺たちと同じ一年生で、龍斗と同じ中学出身だ。この2人は結構仲がいい。黒が強い茶色のショーットカットが特徴。
寝るのが大好きらしく、起きてる時より寝てる時の方がよく見る。成績は俺より下。国語と英語が得意で、茜とほとんど対極にいるといっても過言ではない。
実は俺はあまり仲良くないから、全部龍斗や明に聞いた話だったりする。
「私も無い」
そして、無駄な事は絶対言わない。......いや、めんどい事は絶対言わない。
「ほら優舞、責任をとって一年代表として案出しな」
「なんでだよ、俺は絶対悪くねーだろ?」
「それ良い案」
由美が言った。
「............俺の案に文句いうなよ」
確か部長は料理に関する事がいいって言ってたような?じゃあレストランとか出店とかしかねーだろ。俺出店やだし、無難にレストランでいいか……。
「はい」
意を決して手を挙げた。
「どうぞ」
「......レストランがいいと思います」
部長が黒板にレストランと書いた。
......結局他に案も出ず、料理関係ならそれが妥当なのではないかという意見もあり、レストランに決定した。
そして一緒に文化祭一年部員運営代表というのは役もやらされる事になったのである。
この部では一年がほとんど仕事をしないといけないらしく、一年代表というのは一番大変な役なんだそうだ。
仕事がびっしり書かれた、する事リストと呼ばれる紙を渡されるらしい。
「......龍斗」
「なんだ?」
「お前経費係な」
といっても、この係は経費を計算する係ではない。経費以外にも食材確保や設備整備、ポスター作りまでしなくてはならない係だ。
「嫌に決まってるだろ?そんなめんどい係」
「ほう?代表命令が聞けないと?」
「うっ、......復讐のつもりか!」
「どうだろうな」
3
クラスでも文化祭の出し物を決めていた。
「それではみなさん何か案を出してください」
クラス長である明が、教壇に立って司会進行をしている。
「早く決めろよー」
担任の高山の声が教室中に響き渡った。
「予算はどのくらいですかー?」
茜は経費などにも結構うるさい。
「経費ですか?えっと足りなければ家から出します。ただ個人的には800億程度に抑えていただけるととありがたいですかね」
なんだか、セミの声がよく聞こえた。
「はっせん……おく……程度……?」
誰かの驚きの呟きが聞こえる。
「……なあ、それって、一万より小さいのか?」
翔は混乱してしまったようだ。
無理もない。たかが高校の文化祭の、たかが40人ほどのちっぽけな出し物に、億を出すと言うのだ。混乱しない方がおかしい。
しかし、明を除き、クラス2人だけ動じてない人間もいた。
「800億か……できるだけ多く使いたいから……花火とか巨大お化け屋敷とかもいいかな?」
茜である。
そして加奈は爆睡である。
いろいろあったが再び話し合いを始めることになった。
「出し物はコスプレ喫茶がいい!」
「いや、お化け屋敷だろやっぱ」
「だったら文化祭終わったらみんなで遊び行かない?」
「それいいかも!行こ行こみんなで!」
話し合いにより、出し物はコスプレ喫茶(妖怪)、そして文化祭が終わった後のシルバーウィークに、クラス旅行で沖縄に行く事になった。
何でか知らないけど高山は一切ダメとは言わず、唯一言ったことは、高山は旅行には行かないということだけである。
「えっ?じゃあ誰が引率で行くの?」
クラスの女子がこう言った時__
教室の扉が開いた。
「引率はこの私DESU!」
「あ、オタ……いや、加奈のお姉さん!」
翔が言った。
モノクロな日々
地名などは、県名以外オリジナルにしたいと思うので、ご理解願います。
後付け設定もあるかと思いますが、これからよろしくお願い申し上げます。