黒バスショートストーリー集

ある小さな話

赤の反対は、青 炎を反対は、水 とか、よく小学生の頃耳にしたものだ。

あまり深くは覚えてないけど、それは全くのウソだという。

赤の反対は、補色の緑 炎の反対?そんなの無い。(多分


たとえるなら、俺は炎のような赤。アイツは……水、のような青…

でもその青は、綺麗なきれいな水よりも濃く、深い深海のようでもあった。

俺はその深い深い海に潜りこんで、アイツを探して手を伸ばす。


辿り着いたのは、広いコートの大きな空間。


そう、ゾーンだ。

俺達の領域、誰もが入ることを許されない。

赤と青、2人混じり合うこの世界。


とっくに俺は、その青に溺れていたのかもしれない。


赤の反対が青でなくても、青の反対が赤でなくても。

花か毒か

何でもかんでも壊したがる手のかかる彼は、ワシの手の中じゃ小さい花みたいなもんや。

毒を吐き捨てて、誰かさんの手足を絡め取る。

でもホントは心の奥底で、小さな儚い花を咲かせ、持っている。

小さな花を、心に持っている。


「アンタの、そういうなんでも知っているような振る舞いがムカつくんだよ。」


そうやってまた今日も毒を吐く。

あぁ、そんな顔せんといてぇな。

手から零れ落ちた毒々しい紫色の小さな花。

生意気な口から出る蜘蛛の糸。


…そう、じゃあワシはその全部をかっさらっていって、蜘蛛を捕らえる

もう1匹のクモになってやるわ。


「ふはっ、アンタらしいな。……上等です。捕まえてみてくださいよ。」


無防備に両腕を広げたその彼の首筋に、噛みつくようなキスをする。

映った特別

俯瞰視したいわけじゃない。

ただこの瞳に映ったあの人を、俺は愛おしく眺めていたいだけ。

出会ったあの日、練習試合でのコート上。

体育館に鳴り響くブザーと、ホイッスルの音、動くたびに揺れるバッシュと、皆の髪。


「俺、今日は右から6番目の子のために頑張るよ!!!」


その声の先には、とても綺麗な黒髪と、切れ長の瞳。

このときから、俺はすでに夢中になっていたのかもしれない。


ただ、あのひとの視界に俺はいないんだと、

その一言でよく分かった。

だからね、

いつか俺があの人の特別になれたらいいなって思ったんだ。

あの人が女の子のためじゃなくて、俺のために頑張ってくれたら…

……なんて。ちょっと変かな?

俺は瞳の向こうで、貴方を待っている。これからもきっと、ずっと。

キズアトの意味

先輩の足が、今日も見事に脇腹にヒットする。

その細い足があまりにもきれいなものだから、蹴られていたことも忘れて

それに見いっちゃう。


「…うっわぁ……」


家に帰って、その痕を見る。

今日の蹴りは強かったせいか、いつにもまして痣が広い。

でも、俺は改めて思う。

先輩のこの蹴りは、俺を教育することの一環であり、


何より、愛情表現のひとつなのだと。

気持ち悪いかもしれないけど、これで先輩の愛が伝わるって言うか、

安心するって言うか。


どんな形でもいい。これで先輩のことを思っていられるなら。


「…ただ、早く治って欲しいッスね。」

ひとつのドリンク

「あっちぃー…。」


日差しが強く照りつける、蒸し暑い体育館。

タオルで汗を拭いても拭いても、滝のように汗は止まらず流れ出る。

2リットル近く持ってきたスポーツドリンクも、もうすぐなくなりそうだ。


「こら高尾、そんなとこでだらだらすんな!轢くぞ」

「ゲッ、宮地先輩…」


床にへばりつく俺のすぐ上に宮地さんの威圧感溢れる顔が。


「宮地さん!もうすぐドリンク無くなっちゃうっすよ!」

「あ?んなもん知るかよ、少なくとも俺は分けてやんねーぞ。」

「ケチー…」


そう言って汗だくで走っていく先輩の顔が少し遠く感じて。

ホークアイには宮地さんの姿ばかり映っている。

追いかけちゃう、そんな夏休みの部活。

こっそりと先輩のドリンクを飲んでしまった。

黒バスショートストーリー集

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!!

今回は執筆がだいぶと時間かかりましたがいかがでしたか?

作者は受験生ですので、ゆっくり時間をかけて執筆いたします。

他のアニメでも執筆していきたいのでよろしくお願いします。

黒バスショートストーリー集

*黒バス腐向け小説です ・好きなCPのSS(ショートストーリー)を詰め込みました。 ・黒バス、腐向けが嫌いな方はブラウザバックしてください。 ・CPは、青火・森月・黄笠・宮高・今花

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-19

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. ある小さな話
  2. 花か毒か
  3. 映った特別
  4. キズアトの意味
  5. ひとつのドリンク