仲間

仲間

太陽は、年期の入ったアスファルトを溶かすように熱した。
山間の小さな村に走る、片側一車線の道の標識の下。
村中に響き渡るような蝉の声に囲まれ、少年は足元の石を蹴飛ばした。
開発に置いていかれたこの村のように、少年もまた、周りに置いていかれた。
そんな少年を嘲笑うかのように、カラスは鳴き声を上げ山に消えてゆく。
少年は空を見上げた。
空はこんなにも青いというのに。
風はこんなにも優しく吹いているというのに。
太陽はこんなにも力強く照らしているというのに。
少年は、自分の足を見つめた。
「このままでいいのか。」
心の中ではそう言っている自分がいる。
もう一度空をみると、夕立を降らせそうな積乱雲はなかった。
少年は、気付いたときにはもう走り出していた。
清らかな清流。
木造の分校。
未舗装の裏道。
少年は、石段の下で立ち止まった。
上からは、仲間のふざけあう声が聞こえた。
少年は、神社へと続く長い長い石段を駆け上がり始めた。
「おーい!!」

仲間

仲間

最初の一歩が踏み出せない、そんなあなたに送る作品。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-17

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