照れ屋な彼女
大学3年生。21歳にして初めて告白されました。しかも女子高生に。
それはそれは可憐な女の子。
しかし彼女はそれはそれは・・・
それはそれは可憐で
「あの・・・」
「えっと・・・」
「その・・・」
もう小一時間くらいはこうしているだろうか。「あの」と「その」と「えっと」を繰り返す女の子を前に彼女の次の言葉を待つくらいしかできない。
話があると呼び出され頬を真っ赤にしてド緊張で言葉を絞り出そうとしている様子を見るともう察しはつく。本人の意志を尊重して黙って待つことにしたのだが。
「すいません。また今度言います。すいません」
「いいの?今度で用事があったんじゃない?」
「でも、もう時間がだいぶ過ぎてしまって・・・」
「いいよ待ってるよ」
「でも・・・」
「言葉で言いにくいことなら紙に書いてみて」
紙とペンを渡すと実にシンプルにわかりやすく書いて見せてくれた。
『好きです』
「うん。ありがとう」
そういうと彼女は滝のように涙を流し膝から崩れ落ちた。
学生アパート
ここは大学が紹介してくれた学生アパート。家賃の半分は学校が払ってくれているので格安で住める。寮ではないので門限はないが、出入り口に大家さんがいてあまり遅くに帰ると注意される。まぁ、その程度。
住んでいるのは大学生だけでなく、大学付属の高校生もいる。授業の時間帯が違うのであまり会ったことはないが。
俺は高校生の弟の佐野岬と2人部屋に住んでいる。その最近になって岬が急に同級生だという女の子を連れてきて「レンちゃんだよ。仲良くしてあげてね」と紹介されるから、ついにお前にも彼女ができたのか兄より先にと思っていたが、どうやら俺に好意を持ってくれていたらしく先日告白をされた。岬はレンちゃんの協力をしていたらしい。
しかし、彼女はどうやら極度の照れ屋だったらしく、
「兄さん、レンちゃんが好きな食べ物はありますかって」
「・・・エビフライ」
「じゃあ今度お弁当作ってきますねだって」
「・・・うん、ありがとう」
岬を介さないと俺と話せない。複雑すぎる。
岬に聞いてみると教室で前に出て発表した時に緊張しすぎて倒れたらしい。そんな子が告白してきたんだから相当勇気を出したのだろう。
照れ屋な彼女