僕の憧れた一人暮らしは怪物によって壊されました。2
二作目です。
前回より短いですが、内容はだいぶカオスになっています。
前回を読んでくださった方も読んでいない方もぜひ見てみてください。
僕達はなんとか大家の攻撃を収めることができた。『崩れ荘』の住人達も登場し、さらにカオスになっていく
午後八時頃。
 先ほどの騒ぎも収まり『ルミさんを慰める会』が再開された。
 ルミさんの部屋で『崩れ荘』オールメンバーで食事をすることはたまにあることだった。
「ていうかルミさん。あれホントやめてくださいよ。死ぬかと思ったんですから」
 「あぁ?そりゃ悪かったけどよ。遅れる方も悪いんだろうが」
 「遅れただけで地雷仕掛けます?普通」
 それで目の前のチロルが吹っ飛んだのだ。まぁ今は再生し、鍋に入ったレバーを食べている。さすが吸血鬼。
 「ありゃチロルも来ると思ったからやったんだよ。威力も抑えたし。あと廊下の修理、お前が出せ」
 「はぁ!?自分で仕掛けたんですから自分で出してくださいよ!こっち被害者ですよ!」
 「じゃあ家賃十倍だ」
 「絶対に訴えてやる!」
 まさに暴君。さすがは小学生ながらチロルを血祭りにあげた人だ。
 「まぁまぁ胡桃ちゃん。落ち着きなよぉ。でも遅れた胡桃ちゃんだってわるいでしょ?」
 「でもサヤカさん、遅れたのは悪いですけどこれはないでしょう」
 「まーそうだよねぇ」
 この人はお隣さんの槇嶋サヤカさん。おっとりとした性格でよく夕飯とかおすそ分けしてもらっている。ルミさんと同じくチロルとは知り合いらしい。
 ちなみにルミさんと同級生。でも年齢を言うとルミさんから鉄拳が飛んでくるので自粛。
 「確かに遅れた山神も悪いがこれは横暴と言えるな。かわいそうな山神には僕が少し援助をしてあげよう」
 「いや、それは悪いっすよソウマさん」
 「気にするな。どうせ女から貢がれた金だ。パーっと使って何が悪い」
 「貢がれるってうらやましいっすね!このヒモ男!」
 「助けてあげようと思ったのにひどいいわれようだな」
 そしてこのヒモ男は一階に住んでいる龍之原ソウマさん。自他共に認めるイケメンで大抵恋人の家に泊まっているので帰ってくることは少ない。しかもその泊まる恋人の家は毎日違うとか。うらやまし過ぎる。彼女がいない歴=年齢の僕には憎むべき相手だ。
 「ほらほらほら!そんなこと話してるうちに肉全部食っちまうぞー!」
 「だめですよトラオさん!この肉は全部この私のものなのです!」
 「お!勝負するのかチロルちゃん!」
 「上等です!」
 「よっしゃー!負けねぇぞ」
 『崩れ荘』残りのメンバーはこの大剛山トラオ。名前にふさわしくバカでかい体格で、身長は190センチを超えるとか。前に相撲をして遊んだところ僕が3メートル上まで投げ飛ばされたほどの力持ちである。
 「分かったよ。もういいよそんなウダウダ言うな。今日のことは目を瞑っといてやるから」
 「むしろこっちがルミさんの犯罪的行為に目を瞑ってるんですけどね」
 まあ丸く収まってよかった。いや、まだ腹立たしいけど。
 そんなことより鍋食べよう。まだ一口も手をつけていない。・・・ってあれ?
 「鍋にキャベツしか入ってないじゃないすか!」
 「全部俺とチロルちゃんで食っちまった」
 「チッ。同点ですね・・・・・・」
 コイツ等いつの間に食いやがった。まだ数分と経っていないぞ。
 あのレバーも山盛だったのに。
 しょうがないのでキャベツを食べる。うぅ・・・・・・肉が食べたかった・・・・・・・・・。
 「ルミさんもキャベツ食べてくださいよ。トラオさんとチロル、肉しか食べてないんで野菜が大量に残ってるんですよ」
 「いんや、私は酒さえありゃいいわ。サヤカと食え」
 「えー。もう私お腹いっぱーい」
 「あざといぞサヤカ。大食漢だろーが。お前小学校の頃のあだ名『人間ポリバケツ』だろーが」
 「その口を閉じろおおぉぉぉぉ!」
 「ええええええ!どうしたんすかサヤカさん!」
 いきなり廊下でのルミさんみたいに豹変した!?サヤカさんの過去に触れることはタブーなのか?
 サヤカさんとルミさんが取っ組み合いを始めてしまった。トラオさんとチロルはいつの間にか寝てるし。じゃあソウマさんに頼むしか
 ピリリリリリリ ピリリリリリリ
 「あぁ電話だ。ちょっと席を外すぞ」
 そう言って席を外すソウマさん。あの着信は彼女からと見た!さらには多分月曜担当のヨウコって人だな。羨ましいぞコンチクショ―。
 なのでモッサモッサとキャベツを食べる僕。
 ジャ――――――――
 あれから一時間ほど。僕はチロルと後片付け中。
 サヤカさんとルミさんはさっきから酒を飲み比べを始めた。今二人とも缶を十本以上空けている。死ぬぞ。
 トラオさんにも手伝ってもらいたいのだが何故か今筋トレをしている。ソウマさんはまだ電話をしている。携帯利用料金大丈夫か。
 ジャ―――――――― ジャバジャバジャバ・・・・・・
 「いやーお腹いっぱい食べられましたねー」
 「僕はキャベツでだけどな」
 「好き嫌い言っちゃいけませんよ胡桃さん」
 「レバーしか食べなかったお前がよく言えるな」
 ジャ―――――――― ガチャガチャ・・・・・・
 「しょうがないでしょうが。血が吸えないんですから鉄分摂らなきゃ」
 「そういえばお前、鉄分摂らなきゃどうなるんだ?死ぬのか?」
「いえ貧血で倒れます」
 「病院行けよ」
 超繊細だな。吸血鬼ってのは。
 「いや、病院って十字架あるじゃないですか」
 「十字架はどうなるんだ?近づけないのか?」
 「いえジンマシンがでます」
 「アレルギーか」
 全然怖くないな。
 「なのでみなさんが思っているのとは吸血鬼の生態は違うんですよ・・・・・・あッ」
 ガッチャ―――ン
 「あーあ。皿割ったー」
 「・・・・・・・・・ルミちゃんにバレる前に証拠隠滅をし」
 サクッ
 「ぎいいいやああああああああああ!!頭に包丁がッ!包丁がぁぁぁぁ!」
 「胡桃ぃ~。お前弁償なぁ」
 「分かりましたー」
 これはこっちが悪い。主にチロルのアホが。
 「うぅ~・・・・・・。ルミちゃんは手加減がない・・・・・・・・・」
 「お前がどう再生するのか分からんよ・・・。廊下の地雷で吹き飛んだ時とかな」
 「ストレイツォみたいにですが」
 「だいぶ気持ち悪いな!」
 そしてこれの意味が分かる読者さんがいるといいのだが。
 「・・・・・・よし。洗い物終了」
 やっと終わった。
 もともとルミさんのキッチンが汚れていたから掃除をした分時間がかかった。
 「ルミさ―ん。僕らそろそろ帰るんで」
 「あぁ?もうちょいゆっくりしてけよ」
 「こんな酒臭くてカオスな所にいたらおかしくなっちゃうんで」
 「あっそ。じゃあまたなー。会費とかは後日徴収しに行くぜ―」
 「分かりました―。それじゃ」
 ガチャリとドアを開けて外に出て階段を上る。
 ひやりと冷える夜。さっきの騒がしさが嘘のようだ。
 「今日は楽しかったですね」
 「そうか?散々な目に遭った気がするけど」
「もう素直じゃないんですから」
 あんなに騒がしい晩ご飯。
 いつもはチロルと二人の夕食だ。
 二人で食べるのは嫌じゃない。でも・・・大人数で食べる方がいい。
 騒ぎ合って、暴れまくって、たくさん話して、たくさん笑って・・・・・・。
 「・・・・・・楽しかったかもな」
 「え。胡桃さんあんな扱いで楽しかったんですか?もしかしてM?」
 「もうレバー買わんぞ」
 「すみませんでした」
 せっかく正直に言ったのに台無しにするやつだ。
 
 そんなことを話していると部屋に着いた。
 鍵をあける。
 「いやっほーいゲームだー」
 「おい!靴は脱いで入れ!」
 そう注意して入ろうとする。
 「胡桃」
 振り向くとルミさんがいた。
 「なんです?」
 「チロルのことだが・・・」
 ルミさんが真面目な顔で話す。
 「チロルとはたくさん遊んでやってくれ。なんつーか・・・アイツ吸血鬼ってことからまともに友達ができなくてな。だからアイツは誰かと一緒に居ることが一番幸せらしいんだ」
 「・・・分かってますよ。チロルは遊んでる時・・・・・・なんというか、純粋な笑顔をするんで」
 「そうか・・・。すまんな。一人暮らしに憧れていたんだろ。それをチロルに邪魔されて怒ってるんじゃねーかって思ってたんだよ。アイツは私の友達だからさ・・・・・・幸せでいて欲しいんだよ」
 ルミさんはいつもの豪快さに似合わず、寂しそうな顔をした。
 「確かに一人暮らししたいです。ずっと憧れたことですから。でもまぁ・・・しょうがないですからね。もともとここはチロルの部屋なんですし」
 「・・・・・・ケッ。素直じゃないなお前」
 「さっきチロルにも言われました」
 意外とこの二人は共通点が多いのかもしれない。
 たくさん騒いで、それなのに少し寂しがり屋なところとか。
 「まぁいいや。じゃ、言いたいことはそれだけだ」
 クルリと後ろを向き、階段を下りていく。
 「あ、そうだ。皿の弁償代二万な」
 「高くないっすか?!」
 なにも言い返さず階段を下りていく。
 「素直じゃない、ね・・・」
 たくさんの人と食べるのが楽しいとか、アイツと遊ぶのが楽しいとか。
もしかしたら僕は誰かといたいのかもしれない。一人暮らしがホントは嫌なのかもしれない。寂しいのかもしれない。
 変えなくちゃあな。この甘えを。一人暮らしに憧れていたのなら。親に無理言って一人暮らしを許可してもらったのなら。
 「でもまぁ・・・」
 今はこのままでいいか・・・。
 この居心地がいいままで・・・。
 「胡桃さぁ―ん何してるんですかー?一緒に対戦しましょうよー」
 部屋の中から同居人の声が聞こえる。
 「分かったー!ちょっと待ってろ―」
 扉を閉めて居間へ向かう。
 「遅いじゃないですかー。早くしてくださいよ―」
 テレビの前ですでにセッティングしてチロルは待っていた。
 「すまんすまん。じゃあ僕はこのキャラで」
 「・・・なんか・・・・・・・・・」
 チロルが顔を覗き込んで言う。
 「楽しそうですね」
 楽しそうだって?そりゃ誰かといるってことは
 「楽しいさ」
続く。
僕の憧れた一人暮らしは怪物によって壊されました。2
ジョルノです。
二作目です。
何人か登場キャラを増やしました。
これでさらにカオスになっていく予感・・・。
最後らへんは少し書きそびれたところがあります。そんなところはキャラの心情を考えていただけると分かるかも。
ジョルノでした。