心が死ぬ前に
処女作です。
ジャンルは何が良いんだろう。一応恋愛なのかな。
果たして俺の思いは届くのだろうか。
俺は現在高校2年生で工業高校に通っている。
ある人が好き過ぎて忘れられないのでこの学校を選んだ。
工業高校は一応共学なのだが、ほぼ男子しかいない。それは俺にとっては好都合だ。女子がいたら何かと気を遣うし、キャーキャーうるさい。
そして何より自分の家から遠いいという事で選んだ。なので知り合いもいなくて綺麗サッパリ学校生活を始められる。
自分にとっては気が休まる空間である。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「禿げ!」
俺の隣の席の男が俺を呼んだ。ちなみに俺は禿げていない。髪が人より少し薄いだけだ。
「なんだよ胸毛」
俺も言われたままだと悔しいので言い返した。こいつは胸毛が濃い男だ。だからと言っておっさんくさいという訳ではない。身長も高くスポーツもできて、なかなか爽やかなやつである。
「うるせえよ、あのさぁ今日暇? 」
「まぁ暇だけど、なんかあんの?」
そして、隣の席の男は恥ずかしそうにして口を開いた。
「実は彼女にプレゼントをあげたいんだ」
あ・・・。明日はクリスマスだ。もうすっかり忘れていたわ。まさか隣の席のこいつに教えられるとは
「いいよ、じゃあさっさと行くぞ」
特に俺はバイトとか部活をやっていなくて家に帰ってもただパソコンをいじるかオンラインゲームでチャットとかをするだけなのでオッケーした。
さっきから隣の席の男と言っているが一応こいつは俺の親友だ。
人付き合いの苦手な俺に対しても気さくに仲良くしてくれた人だ。こう書くと照れ臭い。
そして早速俺と健斗はさっそく電車に乗って、冬の街に行った。クリスマス前日と言う事もあり街はイルミネーションだらけだ。テレビ塔に電球をつけてクリスマスツリーをイメージしているらしい。その電球は交互に色を変えていき、さまざまなパターンで光っている。なかなか綺麗なものだ。大通りにもクリスマスツリーや噴水などがある。前日なのに噴水の周りにはカップルがかなりいる。水に濡れちまえ。一応言っとくが嫉妬ではない。
そして街を色々探索してから、アクセサリーショップに来た。健斗は色々悩んで決めたようだ。彼女へのクリスマスプレゼントに選んだのはなんと骸骨の男と女が抱き合っているネックレスだ。それもまた男の骸骨と女の骸骨は別々のもので、いわばペアルック的なものだ。二つがくっ付いて一つの完成品になる。
これは如何なものかと説得したが、もうこれと決めたらガッツしいくタイプなので遅かった。
それを渡して別れを告げられてくれ。まぁ冗談だけど。
そしてクリスマスの次の日、学校で健斗にどうだったか尋ねてみた。
「あのグロテスクなブレスレット渡したのか? 」
茶化すようにして訊いた。
「まあな。キモイとか良いながら喜んでたよ」
そういって首元の男の骸骨を見せてきた。やっぱしキモイだろどう考えても。
「そうか、良かったじゃねえか」
健斗が幸せそうなのは本当に嬉しい。そして俺に意外な事を切り出してきた。
「お前も彼女とかそろそろ作ったらどうだ? 昔の事はもう忘れようぜ、過去の記憶をリープし続けるのはつらいだろう」
健斗がこういうのには理由がある。俺には中学の頃付き合っていた人がいた。それも休み時間本を読むかPSPで狩るという仕事をする、ということぐらいしかすることが無い俺には、不釣り合いな人だった。
彼女は元気で勉強もできて本当にパーフェクトだった。だがそんな夢のような時間は長くは続かない。夢であるからすぐに目覚める時が来る。目覚める理由は色々ある。大抵は目覚まし時計がなって起きたくないのに起きるか、親に無理やり布団を引きはがされ起きるかのどちらかだろう。
だが、俺の場合はどちらでもなかった。ある男のせいで彼女は死んでしまった・・・。心が。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
授業も終わりいつものように彼女と帰り道を行く。
「あの現社のプリントどういうテーマにした? 」
宿題で現代社会のテーマを決めて、自分でそのことについて調べて新聞を書くという作業がある。
それについて彼女は可愛く笑顔で尋ねてきた。
「うーん。俺はロボットとか機械が好きだからそれについて調べようかな」
「へぇーいいじゃん。私は昔あった事件とかについて調べよっかなー四日で」
・・・。ダジャレを踏んできた。
「いいんじゃない。ダジャレ以外は・・・」
テヘと彼女は頭に手を当てる。
こんな何気ない日々がずっと続くと本気で信じていた。
そして翌日学校に行くと俺は信じられない光景を目のあたりにした。
教室にはいつも通り同じクラスの奴らがいる。だが可笑しいいつもと景色が違う。そう彼女の席には違う野郎が座っていた。
「お前っ!!誰だ!なぜ景子の席に座っている? 」
「誰だって俺はもともとこの席だよ。景子ってだれ? 」
誰?この男ラリってやがる。周りにいる奴にも問いただす。だが皆反応は変わらなかった。俺だけ違う世界に来てしまったような疎外感を感じる。急に体全身から冷や汗が出てくる。
なんだというんだ?俺と景子の過ごしてきた時間は妄想だというのか?昨日の会話もすべて夢だったと言うのか?
すべてが信じられなくなった。自分の立っている地面もユラユラと落ちつかない感じになる。
この日は気持ちが悪くなったと言って学校を休んだ。
突然すぎる。なぜこの世界から彼女は消えたんだ?突然に・・・。俺に何も言わないで。
そして家に帰り布団の中で蹲ってそのことをずっと考えているとチャイムに音がした。
重たい体を無理やり起こし玄関に向かった。
チャイムを押したのは健斗だった。
「
お前今日どうしたんだ?急に景子とか言って暴れだして」
どうやら健斗も忘れているようだ。三人で良く遊んだ仲だというのに。
「お前も忘れているんだな・・・」
そして俺は一から景子との出会いを健斗に話した。最初は俺を変な目で見ていたが、最後まで話すとどうやら信じてくれたようだ。
「じゃあ景子は神隠しかなんかに合ったということなのか? 」
「いやこれは神隠しではない。神隠しは行方不明になったという事実は残る。だが景子が居なくなったということは俺以外誰も知らなかった」
「お前がまるで異質のような感じだもんな」
「ああ・・・」
一体この世界はどうしてしまったのだろう?俺と言う人間を残してすべて変わってしまったというのか?
色々訊きたい事がありすぎて俺の頭は爆発しそうだ。
そして俺は不意に机の上を見た。一枚の手紙が置いてあった。
その手紙の中には一枚の紙が入っていた。
『貴方に会えてよかったよ。すっごい楽しかった。・・・景子』
気のせいかこの言葉を書いた紙は濡れていた。
心が死ぬ前に
続編ありです。