ラバすと!9
「みんな!とりあえず散開!」
虚離宮内部にて巨大な何かの塊に追われる羽目になったハル奪還チーム
その中のだれかが叫び、各々に散開したユリ達であった。
「みんな大丈夫かしら?」
ユリは単身、塊から逃げたユリはため息をついた。
奪還のために編成したチームを早々に散らすことになったのは偶然の累積なのだ
落ち込むユリの前方から重い足音が聞こえてくる
「誰?」
ユリは囁くような小さな声で呼びかけたが返事がない
ユリは警戒しながら足音の方へ向かうと――
「何者だ貴様!」
太い男の声が響いた
それと同時に周囲に明かりが灯った
「え?と?あなたh――」
「おぉ!これは失礼!女性とは気付かなかった。私から名乗ろう」
近くにいたには男、まだ若いらしく所々に違和感を感じる
「私の名はヴェルデゥーゴ、ベノム様の親衛隊の長を務めている。以後良しなに。麗しき…汚いネズミめ!」
突然口調が荒くなり腰から剣を抜き、斬りかかってきた。
親衛隊を名乗るだけのことはあり若干華美な服装をしており、短い緑髪が若さをかんじさせる
「貴様らのことはベノムさまから情報が入っている!生きて帰れると思うなよ!」
「参ったなぁ。みんなどこだ?なぁ?」
「はい!…そうですね!…」
「トウキ?話し方変じゃない?」
「いえ!まったく!」
ユリが敵と遭遇した頃、リン&トウキペアは仲間を探し彷徨っていた
追ってきた塊はいつの間にかいなくなっていた
「そーいやトウキのらばストってなんだっけ?イリュージョン……?」
「あっ!イリュージョンボムです。具体的には自分を中心にした半径7m以内にある5㎝の空間
そのなかにある窒素を爆発させるんです。
威力は…ベノム人形を壊せるくらいなんですけど、範囲が狭すぎて命中率が悪いんですよ。」
「ふーん…難しいな…?」
「それよりリンさんの能力は?」
「私のは熱を纏って具現化するだけだよ。だから太陽みたいな気分になれる。」
「へーなんだかすごいですね!」
「おーい!そこのお人!」
「!?」
「トウキ気をぬくな!」
リンが囁いた。
それとほぼ同じタイミングで一人の女が現れた
「呼び止めてすまない。私の名前は暮羽(クレハ)だ。」
暮羽と名乗った女性は見ているこっちが恥ずかしくなるような立派な胸を張った
ぼさぼさした金髪ロング、花魁が着るような豪華な着物
身長は180cmはあるだろうか、それに巨大な胸
あんまり発育がよくないリンがうらやまし気に見ていたので相当な大きさだ
が
一番目を引くのは胸ではなく、暮羽の額から延びる一本の角
そう。暮羽は見た目は人間だが人間ではなく鬼と呼ばれる種族なのだ
「えーっと…何の用でしょう…か?」
トウキが角と胸をチラ見しながら答えると
「その前に……少年、揉みたい?」
「いえ!そのようなふしだらなことは…決して!」
「そうなの?まあいいわ。それよか君たち侵入者だよね?」
「っ!?」
二人が一斉に臨戦態勢に入った
「まあそうカリカリしないでよ。目的は君たちを捕えることだがそんなことは実に簡単だ。」
「アンタ…何が言いたいの?」
「鬼と人間が戦うなんて結果は一目なんたらら…だからハンデをつけてあげようかと思ってね。」
「なっ!?」
「私はこの瓢箪の中の酒を一滴も地面に落とさず戦ってあげる。もちろんおとしたら私の負け。肉弾戦でも動けなくなったら私の負け」
「随分大盤振る舞いね…後悔するわよ?」
「結果はわからんぞ?貧乳?」
「ユリ…どこ行ったのかな?」
エナも他のメンバー同様単独で行動していた。
亜空を使い、亜空間に入ってユリを探すも視界が悪く、抜け出して探し歩いていた。
その時
『ユリを探しているのならもう遅いよ。』
エナの背後にツバメが降り立った
「誰?そしてどういう意味よ?」
エナにはユリはもう敗北してしまったかのように聞こえ、内心舌打ちした
『さあ?どういう意味でしょう?想像に任せるわ。』
「私は遊んでる暇無いの。さっさとどいてちょうだい。」
『行かせない。』
ツバメが言いきった直後エナの姿が消えた
『亜空ね…無意味よ…』
次の瞬間ツバメの眼前にはエナが、エナの眼前にもエナがいたのだ
『これが私のらばスト…』
ラバすと!9