ドミノファイターズ

中村、友人A、友人Bの3人はドミノを作ろうとする
しかし、思わぬ敵が……

今年もあとわずか・・・
高等学校1-2組の中村はいつもの言葉を発していた
「おまえら今年なにやった?」
中村はなにやら大きなイベントをやりたいらしく、2ヶ月前からこの言葉を発していて、すでに口癖になっている
いつもはなにも思い浮かばず、この件については保留になるのだが、今日は違った
友人A「ドミノなんかどう?手軽にできそうな感じがするよ」
中村「それいいね~」
友人B「特に異議は・・・なし、ということで行動開始しますか」
かくしてこの3人は青春をドミノに捧げることを誓った

なんとか校長の許可が下り、3人は6階を貸切にすることに成功した
中村「さて、そろそろ作り始めますか」
そう言い、持っていた袋からドミノを廊下にばら撒けた
数にして100個ほど
友人A「はぁ?こんなんで満足するわけ?」
中村「なわけねぇだろカス。手始めはこのくらいが丁度いいだろが。すでに、家にあと2000個ほど用意しているから安心しな」
そんなことを話している間に、友人Bは黙々と作業に取りかかっていた
友人A「おっ!珍しくBがやる気になってんじゃん」
友人B「・・・いや、ただ単に早く帰りたいだけ・・・」
中村「・・・俺らも始めるか」
友人A「だな」

初日は、3人でドミノ100個を20分で完成させてしまった
友人A「廊下はまだまだ残ってるな」
中村「目標はドミノでこの廊下を1往復だから、そこんとこよろしく」
友人A「この調子だとなんだかいけそうな感じがするぞ」
友人B「これならギネスもいけるんじゃないか?」
・・・
中村「じゃあ今日はもう帰るとするか」
友人B「やっと帰れる・・・」
3人は階段を下りていった
念のために、階段にキープアウトと書いてある紙を貼っといた
部外者に侵入されて壊されるのをなるべく避けるためだ

次の日の朝、3人は6階に向かった
中村の話によると、今日は500個持ってきたらしい
つまり今日のノルマは500個
そんなことを話しながら6階に向かい、3人は信じられない光景を目の当たりにする
せっかく並べたドミノが全部ぐちゃぐちゃになっていた
中村「誰だ・・・これをやったのは」
友人B「きれいに1列に倒れてないってことは、誰かが意図的に壊したんだな」
友人A「お、おい、廊下の向こうに誰かいるぞ」
そこにいたのは、こっちを見て小さく微笑んでいる宮本と友人C、Dであった
中村「み、宮本・・・」
宮本「クックックッ」



中村「まさか・・・宮本が?」
宮本「・・・そうだ」
中村「どうして・・・どうしてだよ!!」
宮本「楽しくドミノ作りをやっているお前らが憎くて憎くてしょうがなかったからだ」
中村「意味わかんねぇよ宮本!!・・・なんでだよ・・・」
友人B「あっ!もしかして仲間に入りたかったのかな?www」
宮本「そんなわけではない。とにかく、俺の目の前では楽しくドミノをやるな」
友人A「お前がどっか行けばいいんじゃないの?結果的に目の前から消えてることになるwww」
宮本「うるせーーー。話し合いじゃわかってくれそうにないみたいだな。ならば今ここで消してやろう。行け、C,D!!」
そう言ったとたん、CとDは中村達の方へ走って接近していった
友人A「中村、こいつらは俺らがなんとかする。お前はドミノ作りだけに集中しろ!!いくぞB!!」
友人B「やっほーーーーい」
中村は急いでその辺に散らばっていたドミノを並べ始めた
友人D「させるかーーー!」
友人Dが中村を殴りかかろうとしたところを友人Aが止める
友人A「お前らの相手はこの俺だ!!」
それからA、B、C、Dが適当に乱闘する
途中、先生が乱闘を止めに来るものの、誰かの顔面パンチをくらいその場で気絶する

4人が戦闘不能になっていた
AとBを心配した中村はそいつらに近づた
その瞬間、うしろからガシャガシャという音が聞こえた
中村が並べたドミノを宮本が蹴ったのだ
宮本「どうやらお前と俺との一騎打ちの勝負らしいな」
中村「てめぇだけは絶対に許さねぇ!!俺らの夢をぶち壊しにした罪は重いぞ!!」
宮本「受けてたとうじゃねぇか」
中村&宮本「おらあぁぁぁぁぁぁぁ」



この2人は激しい戦いを繰り広げていた
両者ほぼ互角
宮本「なかなかやるじゃねぇか」
中村「フッ、まだまだーーー!!」



そして、この戦いにやっと決着がついた
中村の右ストレートが宮本の顔面に直撃し、その場に倒れこんでしまった
中村はぼろぼろになった身体でゆっくりとドミノを作り始めた
宮本「や、め、、、ろ」
ドミノを5つ並べ、そして先頭にあるドミノを倒した
カタカタカタカタ
中村「---------!!」
宮本「くそっ」
中村はその場でガッツポーズをし、宮本は渾身の力で廊下を殴った

宮本「シクシク・・・」
中村「なぁ、教えてくれないか。そこまでドミノを憎む理由を。」
友人C「・・・宮本さん、この際話したらどうです?」
Cは宮本の方に顔を向けて言った
どうやらCとDは話をするだけの体力を回復したらしい
友人D「・・・そうですよ宮本さん・・・」
そして、とうとう宮本が重い口を開いた
宮本「・・・あれは3年前のこと。俺にはたった1人の弟がいた。弟はそのころドミノにはまっていて、1人、公園でドミノをつくっていたんだ。だが、夢中にドミノを作っていて、知らず知らずのうちに公園からはみ出していた。地面が土からコンクリに変わったことにも気づかないくらい夢中に。道路にまで作っていた矢先、運悪くトラックが猛スピードで近づいてきたんだ。そのあとは大体予想がつくだろ?そして、弟は・・・弟は・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁぁあ」
叫び声を出したあと、泣きながらこう続けた
宮本「だから俺はあの日、この世から駆逐すると誓ったんだ!!弟の命を奪ったこのドミノをな!!」
近くに転がっていたドミノを力なく廊下に叩きつけた
宮本「俺はお前らがドミノ作りを諦めないかぎり、いつまででも邪魔してやる。絶対に・・・」
黙って聞いていた中村がその口を開いた
中村「なあ、それってホントにドミノが悪いのか?」
宮本「!?」
中村「それって注意を怠った弟さんのほうが悪くないか?」
宮本「・・・確かに、言われてみればそうだ!」
中村「正気を保て宮本。はじめからドミノが悪かったんじゃない。どれもこれも全部弟さんが悪いんだ」
宮本「・・・弟が悪いのに俺は真実を受け止めず、ただただドミノを妨害してきたのか、俺たちは・・・。中村、それからAとB。どんなに謝っても謝りきれないことだが、謝らせてくれ。ホントに申し訳なかった。」
宮本はぼろぼろの身体を無理やり起こし、土下座した
中村は宮本に歩み寄り、そっと肩に手を置いた
中村「気にすんなって。俺たち、友達だろ。」
宮本「・・・お前は、こんな俺をまだ友達と言ってくれるのか?」
中村「ああ、ドミノなんてまた作ればいいだけの話じゃん」
宮本「うぅっ、なかむらーーーーーー」
宮本は中村に抱きついた
2人は友情を分かち合ったのだ
そして、この決戦は幕を閉じた

2ヵ月後、学校中の廊下にドミノが並んでいた
中村、宮本、その他4人、合計6人でこの長いドミノを作り上げたのだ
宮本「よし、お前ら、いくぞ」
中村「いつでもOKだぜ」
宮本は学校中の生徒が見守るなか、先頭のドミノを倒した
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ・・・・・
廊下のそばの階段ではチアガールが応援をしていた
「GO、ドミノボーイズ、GO!!」
中村、宮本「いっけーーーーーー」

1番最後のドミノが倒れたとき、学校中歓喜であふれた
6人は成功を喜んだ
?「いや~すばらしかったよ君たちのドミノ」
中村「誰ですかあなたは?」
?「私は日本ドミノ協会副会長の塩谷だ」
宮本「ドミノ協会のお偉いさんがこんなとこまで来られるとは、一体何の御用ですか?」
塩谷「実はですね、近々こんな大会を開くんですよ」
塩谷から渡されたパンフレットには「来たれ!!ドミノ大会」とでかでかと書かれていた
宮本「まさかこれって・・・」
塩谷「はい、日本1位を決めるドミノ大会でございます。ぜひとも今回の大会にドミノボーイズの皆様を招待したいのです。もちろん、選手として」
中村「日本1位のドミノを決めるドミノ大会・・・」
宮本「これは出場するっきゃないよな」
中村「だよな。お前らは?」
ABCD「どこまでもついて行くぜ!!」
塩谷「てことは・・・」
中村&宮本「ドミノボーイズ、出場します!!」
まだまだ、彼らの青春という名のドミノは続くのであった

続かない(´・ω・`)

ドミノファイターズ

ドミノファイターズ

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-12-18

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