鑑賞記録-唐組第53回公演「桃太郎の母」より


新宿にある花園神社に設営された紅テントにて観劇。
友人が唐組芝居に出演する話をききつけた。偶然にも現在、自身桃太郎に関する演劇公演にて東京23区を巡っていることもあり、「桃太郎」その題字に惹かれ、境内に忽然と出現、存在感をたれ流している芝居小屋<紅テント>へ、「ではどんなものか」と興味本位で足を運んでみた。
これがまたまったく解らない。“解らない”けれど面白い。“面白い”が、熟考すれば何がどう具体的に面白いのか、説明のしようがないような面白さなのである。いわばテント内に潜り込み、あの時間を共有してみなければ伝わらないだろう、と端から感じてしまう面白さである。
唐作品の神髄を詳細に述べられるほど知見者でないが、そもそもが登場人物も外観も言葉の端々にいたるまで、唐十郎の超個人的ロマンチシズムで形成されている。それも超ド級である。わずかに「桃太郎」の要素を感じとれはするが、それはもはや普遍的な童話「桃太郎」とは程遠い。唐十郎という鋭利なナイフでずたずたに捌かれた全く別物の物語である。すべからく我々には理解できないのである。が、そんな理解を軽々飛翔し、我々が知りえない天空世界へ引っぱり上げてくれる魔力があることに間違いはない。つまりは全てが<想定外>。いやまて、となると唐十郎存在そのものが<想定外>という論になるか。なんだかもう訳が解らない。

鑑賞記録-唐組第53回公演「桃太郎の母」より

鑑賞記録-唐組第53回公演「桃太郎の母」より

「新宿にある花園神社に設営された紅テントにて観劇。 ……」

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-09

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