独りぼっちの影は笑う
べそかき泣きむし笑顔にしちゃえ
夢を届けて笑顔に変える
それが僕らのお仕事さ
だって僕らは仲良しピエロ
みんな笑顔に変えちゃうぞ
みんなみんなドリーミー
暗闇の中に立っていた
回りは木で囲まれていて丸い空間が広がっている
さっきまで火がついていた焚き火の後から、煙が漂っていた
足元では右の頬に雫のマークをつけた弟が心地よさそうに寝ている
あの日からどれくらいたったんだろうか
ずっと閉じ込められていたあの部屋から飛び出して
何日も何日も歩いてきた
それでも何も見つからない
僕らがここへ来たのには理由があるはずなのに
求めているものが見つからない
目を閉じると勝手にあの頃が戻ってくる
毎日働かされて傷ついたあの頃
弟が動けない分も頑張っていたあの頃
いつかきっと幸せになれると信じていたあの頃
寝る前にはよく歌って弟を喜ばせていた
歌って踊って笑わせて
いつか一緒にやろうって言って
指切りをした
いつかのための約束
だけどそれは叶うことなく
弟の体調は悪くなるばかり
それでも元気づけようと
悲しくさせちゃいけないと
笑ってごまかし続けた
僕が笑わせたかったのは誰だった?
目が覚めた
暗闇は変わらない
楽しかったあの頃は消えて、よくわからない現実が戻ってきた
僕はこれからどうしたらいいんだろう
ねぇ、教えてよ
” ”
「・・フティ、ラフティ!!」
「・・・っ!?」
「遅いよラフティ、僕もう支度できちゃったよ。」
夢
どれが本当なんだろう
「ごめん・・・今支度するよ。」
「・・・ラフティ?どうかしたの?」
「なんでもないよ。大丈夫!」
「・・・ラフティ」
「いこうか、ウィクティ」
ウィクティは、しばらく口元をもごもごさせ、なにか言いたげな様子でこちらを見ていたが、やがて諦めたのか、前を歩き出した
ごめんね、ウィクティ
ボソリ、そうつぶやいて、おいら―ラフティは歩き出した
目の前の弟の足元の存在しない影を求め、足を踏み出した
『幸せを探して』
―絶対に守ってみせる、今度こそ。
独りぼっちの影は笑う