らばスト!5

「リン!くそっ!」
殴られて吹き飛ばされたリンを力を振り絞ったカイが受け止めた
「帰るぞムク。」
『了解』
「あらっ?どこにいくの?」
突然聞こえた姿無き者の声そしてその直後、ムクのユリを掴む腕が砕けた。
『っ!?』
「っがは…」
「大丈夫?ユリ?」
再び姿無き声が響く。
「エナね…ありがとう…」
するとユリの傍らに一人の少女が現れた
『どこからきた?』
「ソイツの能力、「亜空」だ。そうだろ?ギラテ・エナ?」
エナと呼ばれた少女がふり返る
少女はエルと同じくらいの背丈だが黒のショートパンツ黒のパーカ
目を引くのは天女の羽衣みたいな黄色いマフラーだ
「私のフルネームを知ってるのね。能力も筒抜け?」
「もちろん。亜空間に行き来できる能力。亜空間にいなければ無力だがそれだけではないな?
亜空間からこちらに出せるのは全身から指までの細部まで自由自在。
ムクの腕を砕いたのは打撃の瞬間に移動時に生じるエネルギーを腕に、あるいは手に纏わせて打撃」
「すごい…そこまで詳しいとはね…どうして?」
「厄介な力を見過ごすと思ってよ?」
直後エナの背後からベノムに向けてライフルが撃たれた
「生身なら効くだろ!」
カイのライフルがベノムの心臓に当たった
「安心しろ。お前の弾など躱すに値しない。」
撃たれたはずのベノムがカイの背後にいた。
まったくの無傷で…
「寝てろ」

「カイ!」
リンが叫ぶ
「大丈夫かリン…さん」
「おい…トウキ…」
リンの下にナツとトウキが駆け付けた
「おぉナツ…全て倒したか」
「トウキがね」
「それよりリン…さん!」
「トウキ君…呼び捨てでいいよ」
「いえ!そんなことよりリンさん!ハルを見ませんでしたか?」
「ハルがどうしたの?」
「さっきから見当たらないんだ。」
「そうなのか?ナ…ツ?」
ナツの姿がない。いや居た。かなり遠くに居た。
「ちょ…っとぉ!ナツ!一緒にいてよ!」
トウキが赤面して叫ぶ
「えぇ…そっちの方がいいんじゃないの?」
「それよりハルがいないって…」
ベノムたちの方で爆発が起きた。

「この煙幕では視界もままなるまい。退くぞムク」
そういうと転門が開いた
「腕は治すがその内に……だからな。」
『了解』
「待って!」
ユリが引きとめる。
「なぜ帰るの?捕獲せず」
『お前に構ってなどいられない。それに能力もわからないお前など価値もない
さらに付け加えると捕獲優先度の最上位を捕獲している』
「ご苦労ムク」
「なっ!一体だれが…」
「こいつだ」
生き残りと思われるムクが転門の脇から現れた
ぐったりしてその両脇を抱えられているのは…
「ハルちゃん!」
「コイツさえいればお前たちなど微塵の価値も…」
転門をくぐったベノムがこちらを見据える
「無いんだよ!」

らばスト!5

らばスト!5

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-03

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted