無心論

今僕が持っているもの
今僕が思っていること
全部洗いざらい吐き出して
いつもみたいに虚飾しよう

無色透明の鮮やかな彩りは
他が為に似合っているのだろう
その間にカラフルを挟んで
僕なんか見えなくなっちゃえばいいのに

哀しくなった
苦しくなった
いいえ問題ありません
そう感じていたのは
誰かが見てくれていたからなの

もう大丈夫だよ
泣く必要なんてないんだよ
此の世でたったひとつ
僕の中にだけ生きてるの
どうせ誰にも見つけられないなら
憂い叫んだって無駄だから
いっそ私利私欲を引き連れて
この世界を暴き出してみよう

笑っちゃったってほらダメダメ
怒っちゃったってもうカラカラ
意味と理由そりゃ置いてきたから
思い出したら振り返りなよ

踵蹴って直ぐ半ターン
言ったよ"なんでもなかったでしょ"
何がいいのどうしたいの
過去の事は訊いてないんだよ

嗤いたかった
とても愉しかった
いいえ問題ありません
そう思ったのは今で
過去は何も変えられやしないから

ほら大丈夫だね
泣く原因なんてバカでしょ
その瞳に映る世界の
どこにもあなたはいないの
いつか外れた場所で笑ってても
そんなこと僕は知らない
だからこの五感全て引き連れて
全軍一体総攻撃

さあさひとつひとつ暴いてみよう
なにひとつ変えられやしないから
始めよう楽しい間違い探し
確かめてありふれた世界の欠片たち
その一片があなたと僕で
密かに世界から抜き取るんだ
そうしたら物語の栞にして
書き換えていくんだよ何もかも

心臓がひとつありました
鼓動は存在のドアを叩きました
すると君はノックを返しました
そこに感情が芽生えました
神は全てを知っていました
人類映えある呪いとともに
世に残酷な色を灯しました
僕は全てを知っていました
人生映えある生殺し
僕は全てを知っていました
存在することの間違いを
僕は全てを知っていました
扉を前に立ち竦み
心臓は鼓動をやめましたとさ

無心論

せのなごみ

無心論

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-06-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted