鑑賞記録-BONBON組 第十五回公演「べっかんこ鬼」より
武蔵小金井にある現代座小ホール三階にて観劇。
素舞台上に役者が現れ、台詞を語り舞いおどり、ときに肉声で音楽も奏でながら空想上の物語世界を表出させる。コロス的役割として艶やかな衣装に身をつつんだ山の風(役)たちは、まさしくその代表である。まるで能舞台を観るよう。
物語を売りとする作品であるから、そうした想像力に華を添える、ある種形式的な様子は観ていて心惹かれる。がしかし、作品の中核を担う「べっかんこ鬼」と妻「ゆき」の人間の在り様は、例えば銃で撃たれた鬼が目のまえで死に絶え、その別れに涙するゆき、二人きりの場面にしても、感覚的沸点を超越するにはなかなか技巧ばかりでは対応できまい。
観客に“観せる”こと。同時に、観客とは舞台上で起こる事件をただ目撃し体験するだけの存在、という考え。ただ要所で使いわければよい話である。
鑑賞記録-BONBON組 第十五回公演「べっかんこ鬼」より