妖し狐伝 最終話 帰世
藤森朱里(ふじもり・あかり)・・・主人公。16歳の誕生日を迎える高校1年生。母と二人暮らし。
父は小さい頃に亡くなったと聞かされて育った。負けず嫌いのがんばり屋。母想い。
藤森ほのか(ふじもり・ほのか)・・・朱里の母。しっかりもの。焔の素性を知った上で愛し合い、朱里を授かる。
矢神風汰(やかみ・ふうた)・・・朱里の幼馴染。矢神神社の息子。やんちゃな性格。朱里を好き。
焔(ほむら)・・・・・・狐の一族の長である。妻子ある身でありながら、ほのかを愛している。
篝(かがり)・・・・・焔の息子。両親ともに狐の純血であるが、冷たい夫婦仲の間で、次期長となるべく育てられる。
野心が強く、冷静沈着。
疾(はやて)・・・・鴉一族の次期長。手柄を立てたいという野心がある。
環(たまき)・・・蛇一族の娘。妾の子。
異界の門を抜けると、元の世界に戻っていた。
深呼吸をし、戻ったことを喜ぶ朱里。
苦しそうに体をさすりながら、思い出す風汰。
朱里 「ふぅ・・・やっぱこっちの空気は違うわね!」
風汰 「お前はともかく、正直、俺、よくカラダが持ったなあって思うわ」
ほのか「風汰くんは秘めてるモノがあるわ。小さな頃から感じてたもの。
お父さんに負けない宮司さんになれるわ。あなたが矢上を守ってね」
風汰 「まじっすか!はい!!俺、めっちゃがんばります!!」
風汰に抱えられながら、諭すほのか。
ほのかの言葉に、飛ぶように喜び、やる気をみなぎらせる風汰。
突然すっとんきょうな声を出す朱里。
朱里 「って今何時??学校遅刻しちゃうんじゃない??」
風汰 「やっべぇ!早く準備しろよ」
朱里につられ、バタバタと慌てる風汰。
そんなふたりを見て、呆れたようにクスクス笑う篝。
篝 「相変わらず(笑)バタバタと騒々しいな、お前は」
朱里 「なによぅ!あ、兄さん。いろいろありがと。・・・一応・・・言っとく」
照れながら言う朱里。
急に真面目な顔になる篝。
笑い合って吹き出すふたり。
篝 「うむ。もらっといてやる・・・ぷっ、ははは」
朱里 「あははは」
まっすぐ朱里を見つめて言う篝。
素直に受け入れ、ツンデレのように言う朱里。
篝 「じゃあな、朱里。俺は遠くからいつも見守ってる。何かあれば強く念じろ。
必ず助けに来る。」
朱里 「うん!わかった。何かなくても・・・来たっていいんだからね!兄さん!」
篝 「お前はうるさいから嫌だ」
朱里 「なんですってええええええ!このぉ・・・篝ィィィ」
篝 「おっと!危ない!では私は退散するとしよう。ではさらばだ、我が妹よ」
おどけたやり取りをするふたり。追いかけ合う。
別れる寂しさを残すまいと、追いかけ合うまま笑顔ですっと消える篝。
消えたほうを見ながら呆然と寂しさを感じる朱里。
吹っ切るように忙しさを演じる風汰。
朱里 「・・・行っちゃった・・・」
風汰 「朱里っ。おばさんまだ横にさせないと!あとは親父たちが見てくれるから
俺たちは全力でいっそげえええええええ」
朱里 「うわっ!待ってよぉ、風汰ぁ」
自転車で学校へ向かうふたり。
【THE END】
妖し狐伝 最終話 帰世