世界設定妄想記 03 国王の城

400年祭という盛大な宴の終わりから16年。
少年は人間の国を統べる国王から、城へ向かうようにとの勅命を受けた。
国の枢機院は密かに密偵を差し向けてこの少年を監視をしていたのだ。

うわさは立ち所に広がった、辺境の村で予言の子が生まれたと。
ある者は「産まれる時にに光輝く金色の星が降ってきて村中を明るく照らした。」
またある者は「切ったへその緒が花に変わって100日咲き続けた。」とか
中には「赤児が泣き出すと草花が至る所で咲き始め、動物達が寄り添うように集まってくる。」などなど
目撃者多数の中で事実と虚構がないまぜになりながらも、その噂話は広く国中に広まっていった。

そんな中でとうの家族はごくごく普通の家庭生活を営んでいるらしかった、というよりも
子の幸せを守るためそうするより他に無かったのだ。両親は決めていた。
「例えこの子が平和に導く勇者だとしても、普通の子のように生きて悩んで喜んで、誰かの幸せを守る事が出来る強い子に
育てよう。」と。
そして産まれた時の瞬間は決して口外はしないと。

出発の日の朝、少年は両親に別れと感謝の言葉を述べ足早に故郷の村を後にした。
別れの際に寂しさと悲しみを悟られまいと懸命に振る舞ったが、母からの最後の抱擁で目頭がじんわりと熱くなった。
泣いて心配させたくない、少年は必死に涙と戦い心の中の葛藤を押し殺して家を出た。

国王と王女が鎮座する前に少年が辿り着いたのはそれから数週間後の事である。
「そなたが件の少年か。よくぞ参られた、面を上げよ。」
跪き忠誠を誓う少年に国王は謁見を許可した。少年は言う
「辺境の村にて国王様のご勅命を授かり馳せ参じました。何なりとお申し付けください。」

少年の冒険はここから始まった。

世界設定妄想記 03 国王の城

世界設定妄想記 03 国王の城

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-31

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