にじみおちる
ぬりつぶしたような虚無感
にぎりつぶした背徳感
ぼくのてのひらにあるのは、空虚だけ
ひっそりと植えつけられた恐怖を、ぬぐいとることができずに
したたりおちる雫を追うたび、さみしさは何倍にもふくれあがる
あのとき
たしかにぼくでいたならば
きっと、にじいろの月はぼくを見捨てたりはしなかった
ここにいるのは、ぼくだけなのだ
くっきりとした存在であるのは、ぼくだけなのだ
ただ
もう、時間はない
逃げることもできず、抗うこともできず、
虚無にひきこまれていくぼくを、どうか
たすけることはしないでください
にじみおちる