ミドリ

ミドリ

「ミドリさん、コーヒー煎れてくれる?」
「ミドリさん、これコピー10部よろしくね」
「ミドリさん、備品のチェックお願いね」

ミドリさんは事務型アンドロイド。正式名称はミドリNo.12。
この職場に配属されて一ヶ月。働き者のミドリさんはすっかり職場の皆に頼られているのです。

真面目なミドリさんはその事を嬉しく思い、誇りに感じています。
ミドリさんの名前は、本物の緑に由来している。本物の葉っぱの三種類のキサントフィルと言う成分がミドリさんの体内には利用されている…らしい。

ミドリさんは本物の緑の写真を職場の人に見せてもらった事があり、その自然の緑の偉大さにたいそう感心した。

ホンモノノ緑、スゴイデス。パワーヲ、癒シヲカンジマス。

いつか本物の緑を見て触る事がミドリさんの小さな願いになりました。
そして本物の緑に恥ずかしくないように、仕事を頑張る覚悟です。

今日もまた、残業続きの職場の人達。
「オツカレサマデス」
言われなくてもミドリさんは皆にそう声を掛けて、コーヒーを配ります。

「ミドリさんありがとう、癒されるよ」
そう言って貰えて硬い金属の顔が少し赤くなった様なミドリさんなのです。

ミドリ

ミドリ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-25

Copyrighted
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