ヴァンパイアストーリー ○No.2○

「ねぇ、陽斗君はどこから来たの?」
「海の向こうのすっごく遠い所です」
「……」
「あらおばさん子供じゃないから国名言ってくれればわかるわよ?」
「あ、すいませんそれは企業秘密なもので」
「……」
「企業秘密って、そんなにすごいことしてたの?」
「まぁご想像にお任せします」
いつもの、食卓。
…昨日までは。
今は1人の男がずっと前からそこが男の席だったように平然と座っている。
金髪で服は黒づくめだ。
「……ごちそうまさでしたッ」
やや強めに椅子から立ち上がる。
「ん、月子ちょっと待ってよ」
「誰があんたみたいな女の人を誘惑してはにやにやしてる人を待つもんですかッ」
「ぇ、ちょま、俺にやにやしてたか!?」
「してましたー!」
「まあまあふたりとも仲良く…」
「お母さんは黙ってて!!」
月子はそのまま怒鳴った勢いで自分の部屋に走っていってしまった。
「あー…すみませんお母さん俺もごちそうさまです」
「あの子が迷惑かけてごめんなさいねぇ」
「いえいえ、楽しいからいいですよ」
「ならよかったわ。これからも仲良くしてあげてね」
「はい」
そう言うや否や、陽斗も駆け出して行った。

(あいつ、なんで怒ってんだ…?)
階段を上がりながら陽斗は考える。
(俺何も悪いことしてねぇよな?)
だがいくら考えても答えはでてこない。
そこでふと、1つの考えが浮かぶ。
(あいつ、学校でいじめられてんのか…!?)
陽斗はそう結論づけ、疑わなかった。
自分の考えた1案でしかないというのに。
「月子ーーーー学校楽しいかー?」
言いながらノックもせずに月子の部屋のドアをあける。
「わ、ちょ、えッ!?」
言わずとも月子はパニック状態。
「ちょ、ノックくらいして…」
「そんなことはいい、学校は楽しいかって聞いてるんだが、」
「ぇ?まぁ楽しい…けど…?」
月子はどもりながらも答える。
(これは心配をかけまいと強がっているんだな!)
「としたら俺は月子の学校に行くしかないな!」
「は…?なに馬鹿なこと言って…」
「いい、もぅなにも言わなくてもいい。お前が苦しんでるのはわかってるからな!」
「苦しむってなんの話…」
「早速編入届けを出さなくては!!」
「はあ?ふざけるのもいい加減に…」
月子がいいかけたものの、陽斗の耳には入っておらずものすごい勢いで去っていった。
「な、なにが起こったの…?」
しかも月子の言葉には1度も耳を傾けてくれなかった。
(………とてつもなく、嫌な予感がするんですけど…)

ヴァンパイアストーリー ○No.2○

ヴァンパイアストーリー ○No.2○

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-12-14

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