私と 祖父と
『私と祖父と』
私は 小さい頃から 甘えるのが下手だった
2つ上の姉の存在が そうしてしまったのだった
姉は 私と違い 甘えるのが上手だった
お母さんのすぐ隣は いつも姉が居た
お父さんの膝にも いつも姉が居た
どこの家庭でもあると思うけれど
自分の居場所はない と 私は小さな胸を痛めていた
素直になれない 天邪鬼な私
本当は 抱きしめてほしいのに
本当は じゃれ合いたいのに
「やめてよ」って せっかく伸ばされたその手を 払ってしまう
払ってから・・・ひどく後悔をする
だんだんと 心と 行動が 反比例する
そんな私を 祖父は見ていた
見ていてくれていた
「わしは お前がいちばん可愛いよ」
って 特別な言葉をくれる
「お前は小さな頃から身体が弱くてなぁ・・・大きくなるか心配だった」
って 微笑う
「おいで・・・」 と座ったまま 手を広げる祖父の膝の上には
素直に座ることができた
私だけに向けられる 無条件で愛される 絶対の安心感が そこにあった
水泳大会で1位を取ったときも
合唱コンクールでソロを歌ったときも
テニスでいい成績を納めたときも
いつも 祖父が見ていてくれた
ねぇ おじいちゃん・・・
私が病気になったことを もう悲しまないでください
私が見ていないところで もう泣かないでください
どんな姿になっても
おじいちゃん・・・あなただけは
最期まで 私を愛していてください
あなたの太陽みたいな愛情の中に
いつまでも・・・居たいのです
※天邪鬼・・・あまのじゃく
微笑う・・・わらう
最期・・・さいご
私と 祖父と
愛する祖父へ・・・