赤司君の好きなもの。8

続きです。
読んでくだされば幸いです。

予感

「あら?」

その時
レオ姉さんが思い出したように声をあげた。

その声で我に返った私。

あれ?
私…

レオ姉さんが彼の元へ歩いていく姿をぼーっと、眺める。

そんな私にきずいた小太郎さんが「どしたん?」と不思議そうに首を傾げた。

ごまかすように笑って見せると、そっか、と歯を見せて笑った。



そっと、胸に手を当ててみる。

どくん、どくん…。

心臓がありえないくらいに加速していて。

「…っ」

こんなの今までなかった。
胸がドキドキして、体が熱くて…。

全部、彼を見た時から。

頭がぽーっとする。

勇気をふりしぼり、ちら、と赤い髪の彼へ視線を向ける。


「…っ!!!」

目が合ってしまい、

ぼんっと、一気に熱くなる顔。

恥ずかしいのに
そらすことのできない視線。

だめだ。
私、普通になれぇぇ!



「レオ、話はあとでいいかい?」

「え?いいけど…、どうかしたの?」

もだえている私へ近寄る影が一つ。

えっ?
ぴしっ、と体が固まるのがわかる。

えっ!?
こ、これってーー


『君、顔が赤いよ?』

『へっ!?そ、そんなことないです』

『ふっ…、嘘つきにはお仕置きをしないとね』

なんてことになっちゃったりして…!

自分で考えておきながら、
恥ずかしさに暑くなる。
真っ赤に染まったほうを両手で抑えていると。

彼は一歩一歩確実に歩みよって来る。

それに気づかず、体を
くねくねさせる私。


「レオ、体育館の鍵はしっかりしめておくんだよ」

「はいはい、分かってるわよ」

「ならばいい」

彼とすれ違った瞬間ー

「…明日から、放課後体育館」

「…!?」

すれ違いざま、私にしか聞こえない声で呟いた言葉。

放課後体育館…?

ぱっ、と振り返る。


すでに彼の姿は見えなくなっていた。

「歩くのはやっ!」
いないはずの彼の姿を追うように、彼が出て行った扉を見つめていた。

「まったく、征ちゃんは…!」

「レオ姉さん…」

「征ちゃんが、気に入ってる子がいるって言うから連れて来たのに」

え?

隣に立ったレオ姉さんは、口をぽかーんと開ける私を見て
くすっ、と笑った。

「征ちゃんが気に入る子なんて、珍しいとおもったら…」

すっ、とレオ姉さんの手が私のほうへ伸びて来てー


「あーー!!レオ姉いけないんだー!」

「うるさいのが来たわね、もう帰るわよ」

「なんだよー!赤司にちくってやろーっと」

なんて、二人が話してる間も顔が暑かった。

赤司…くん。

今でも彼の後ろ姿が脳裏に焼き付いている。

どきどきと刻まれる鼓動が、何かが起こる予感を感じさせていた。

赤司君の好きなもの。8

赤司君の好きなもの。8

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-05-24

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