ドタバタ!Carディガン≪第二巻≫複雑な心境【リメイク版】
前回【リメイク版】の続編です。
第3話 複雑な心境
俺は、突然やってきた少女・水橋花に学校に入学したあげく、彼氏なんて言ってくれちゃって。理沙ちゃんに
誤解されてしまったのが唯一の仇である。今日の放課後にでも事情を説明しなきゃ。
――――今日こそ、誤解されたままじゃ嫌だ!
「おはよう。」
いつも通りの挨拶で教室に入った俺。また、いつものように喧嘩をしている龍と彩月。
「あんたはね、勉強もできないくせに。」
「俺はお前よりかはできるね。」
「言ってくれるじゃない、このアホが!」
「なんだと!」
「…」
なんだ、この一瞬空気がどんよりしたような感じは…また、何か嫌な予感がする。そして、
先ほどまで喧嘩していた二人が俺に近寄ってきた。
(えぇ!喧嘩は?今日はそんな気分じゃないのにぃ。)
「ねぇ、ねぇ、水橋さんと集ってどんな関係なの?」
(やっぱりそうきたか、そうと思ったのだが…いや、待てよ。俺が好きなのは理沙ちゃんであり変わりはしない。
花が彼氏だっていったとしても……ってあいつの事何考えてるんだよ。まぁ、ここでは面倒なので適当に否定しておく。)
「いや、誤解だって。花が、いや、水橋が…」
(廊下から急いで走っていく音が聞こえた。人間の走るスピードじゃない、ひょっとして花か…)
「おっはよー、龍君に彩月ちゃん。あとしゅうー会いたかったよ~」
やっぱりそうだ、そうきたか、この女は恥というものが知らんのか。
いきなり、花が飛びついてくる。それにこのやわらかい感触は…俺まで変になっちまうじゃないか。
「やめろって、俺彼氏じゃないし…」
ここで、いったん否定しておく。否定しないと後々ラブコメでよくある、「やっぱり私の事が好きなんでしょ。」アピール
そういうアニメ見るとますます腹が立つ。
「えぇー、私は彼氏だと思うけどな…将来結婚したいし。」
こ、こいつ突然何を言い出すのか。彼氏はよくはないが、それ以上に結婚だって!冗談じゃない。
「け、結婚って…」
二人の邪魔をしたくないがという気持ちもありつつ小悪魔のように邪魔をしたい龍と彩月。
「結婚は否定するけど、彼氏は否定しないんだ…」
(げっ、やべっ。そこんところは考えてなかった。ここはとっさのアドリブを。)
「そ、そんなんじゃないって。」
(あぁ、こんな言い訳じゃ聞いてくれない。頼む聞いてくれって無理か…)
そう思ったのもつかの間、こいつ(龍)は相当バカなようだ。
「そ、そうなんだ。彼氏じゃないし、結婚もしないのか。」
この甘ったるい状況よりかは助かるのだが、この二人だと余計に悪い雰囲気になりそうで怖い。
その勘も100%的中したのである。
「花ちゃんと集って結婚とかそこまで言ってる訳?このバカップルは進化してるね~」
半分冗談に聞こえるが、彩月が言う場合は100%嫌がらせにしか過ぎない。断じていう。
「ねぇ、藤本くん。お話し中悪いのだけど…」
お話などしていない。この女どもが勝手に話を振ってくるだけだ。けど、新堂さんには感謝している
だって、この人がいれば安心だ。そう思ったのもつかの間だった…
「藤本君と水橋さんってそこまで進歩してたんだ。」
新堂さんが意外なところに食いついた来た。新堂さんに誤解されるのはこれから1年間厳しい…
「いえ、違います。勝手に言うだけで。」
さすがに、これでは納得したいだろう。まだ秘策はある!
「そうなんだ、そういうのじゃないんだ、分かった。」
っていうかあっさり納得してるし、逆に困るんですけど…
8時20分、そろそろ朝読書の時間だ…
「おーい、席付けよ。朝読だ!」
担任の先生がそう言うとやっとクラスが静まりかえった。これでひとまず安心だ。
これから授業か、理沙ちゃんに言う機会はあるぞ。
―――――放課後
って放課後になっちまったじゃねぇか。(泣)
そんな泣き言を言ってる場合じゃない。決めたんだこのファイヤートルネードシェイクな気持ちを!
(前回に増して、中二病度が上がっているようですね。)
「ねぇ、理沙ちゃ、違った渡辺さん。」
理沙ちゃんこと渡辺理沙はこっちを振り返った。
「藤本くん、何か御用でも?」
勇気を振り絞って言った。
「俺、花とは何も関係ないんだ。だ、だからご、誤解されたくないっつうか。」
よし、やっと言えた!けど、理沙ちゃんの反応は予想外だった。
「別に誤解だなんて思ってないよ、私の事は渡辺さんなのに、水橋さんの事は花って呼んでるし
一緒に住んでもいるし…藤本くん、私といるより顔がいきいきしている気がする。だがら…」
だから何なんだ。
「だから、お似合いだと思うよ、藤本君と水橋さん。」
俺は、何も言葉が出なかった。だって、好きな相手にお似合いだって言われるんだから
何か複雑な心境で俺は固まってしまった。
オリジナル小説「ドタバタ!藤本一家」【朱莉編】
私、藤本朱莉。聖南中等学校に通う2年A組、藤本集の妹です。
学校では成績は自分で言うのもなんだけど、結構上にいます。一度学年1位&テスト満点もありました。
家には母親は海外に、父親は単身赴任なので、実質二人暮らしです。洗濯、炊事などは全て私がします。
集がすることはお風呂掃除などだけです。兄は色々不器用なので…
けど、兄は結構いい所もあるんですよ、少し前の話なんですけどね…
当時、私は聖南第一小学校の5年生でした。その日は学校が早く終わる日だったので、今日は夕食に
手間をかけようとしたんです。私は学級委員長だったので6時半とかあったので夕食に手をかけることができず、カレーとか
シチューとかでした。「今日は何にしようかな?手巻き寿司がいいかな?最近温かいものばっかりだしな…」
そう思って家に帰りました。そうすると急に目がクラクラしてきて私はたおれたんだと思います。私が目をさました時は
いつもの兄ではなく、真剣な兄でした。そして兄は「大丈夫か朱莉?お兄ちゃんが手巻き寿司を作ってやったぞ。」と
言ったのです。今日が私が作るはずだった料理でした。私は気になって尋ねると
「俺が帰ってくるとき、お前がたおれてたから部屋まで運んだら、集に手巻き寿司をつくんなきゃ。って言ったからせっかくなら
俺が普段朱莉にお世話になっているからたまには作ってみたよ。」といいました。手巻き寿司は決して形の良いものではありませんが、
兄が私のためにここまで考えていてくれていたなんて私は兄の事を見直しました。普段は私の方ができると思っていたのですが、兄も
意外と頼りになる人と初めて思いました。私は素直じゃないのではっきりは言えない性格なので集本人には言えませんが、
「おにいちゃん、だーいすき!」
と言いたいです。
ドタバタ!Carディガン≪第二巻≫複雑な心境【リメイク版】
約一週間ぶりに【リメイク版】を投稿させて頂きました。第一巻【リメイク版】の続編という形です。次回は第三巻【リメイク版】も投稿する予定です。
原作(編集前)の第三巻にも続きますので【リメイク版】第三巻が待ちきれない人は先に原作をお読みください。次回、第三巻【リメイク版】でお会いしましょう。